防災
2020年9月4日更新
保育園の防災計画(3)|みんなの防災計画[17]
文・長堂政美
保育園の防災の3回目は、実際に災害が起きた際の行動を定めた「災害時の初期対応」について。園長や職員の役割をしっかり決め、保護者や行政などと連絡を取り合いながら、安全・確実な避難を目指す。
役割決めて安全に避難
PDCAサイクルで有効に
仮に津波警報が発表され、襲来まで時間的余裕があるときは、まず、園内で施設災害対策本部を設置します。園長や、情報収集班・避難誘導班・救急救命班などに分けられた職員らが、役割ごとに行動し安全確実に避難できるようにします。
市町村との連絡は、市町村の保育担当部署とやりとりをすることになります。そこから「施設が被災した」「孤立しているので救助してほしい」「避難所への移動手段がない」などが、重要情報として市町村の災害対策本部に渡されます。
そのため電話やメールが遮断されたときに備え、ツイッターやLINEといった災害時でも通信可能な連絡手段を、保育担当者との間に確保しておくことが必要です。
位置情報も共有
災害時、保護者は大切なわが子を施設に迎えに行こうとします。しかし、津波が襲来するという深刻な事態のなかで、子どもを迎えに行こうとする行為は大変危険です。そのため、保育園では防災計画の内容をあらかじめ保護者に対して説明し、保護者が迎えるには自分の命を守った後に、一時避難場所、または指定避難所で迎えるよう周知を図りましょう。
また、保護者と、SNSなどを活用した連絡体制や、スマホの位置情報(GPS機能)を伝え合えるような体制を作り上げておくといいですね。
訓練で繰り返し検証
これまで防災計画について説明してきましたが、立派な計画を文面化したとしても、訓練で実証することなく場当たり的に計画に基づいて行動することは危険です。命を守る行動に思わぬ結果をもたらすことも考えられます。
そのため、大切なのが、Plan(防災計画を作成)、Do(訓練で実行)、Check(訓練結果に基づき計画を検証)、Action(改善)の「PDCAサイクル」。このサイクルを訓練で繰り返し検証し、結果に基づいた防災計画にすることによって、みんなの防災計画が災害時に有効なマニュアルになると考えます。
ながどう・まさみ/NPO法人防災サポート沖縄理事長、元沖縄市消防長
電話=098-923-4442
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1809号・2020年9月4日紙面から掲載