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2020年8月7日更新

保育園の防災計画(2)|みんなの防災計画[16]

文・長堂政美
保育園の防災計画の2回目は、「平常時における施設の防災」について。地域を巻き込み、共助の体制づくりを進めるのが大切だ。行政とのやりとりに普段からSNSを使っていれば、災害時にも連絡が取りやすくなる。

共助の体制を整える


行政との連絡にSNS活用

防災計画は、施設の災害リスクに応じた(1)基本的な考え方、(2)平常時における施設の災害対策、(3)災害時の初期対応-から構成されます。
(1)は前回紹介したように、計画の趣旨をはじめ、警報・注意報の種類に応じて対応するための判断基準など、基本的な考え方を示しています。
それに対して(2)は、災害時に迅速な対応をするための「平常時にしておく備え」を示します。

共助で自助を補完
そもそも施設が防災計画を作る目的は、自分たちの事業所は自分たちで守る「自助」にあたります。しかし、乳幼児を抱える保育園では、職員一人で3人の乳幼児を抱えるなどして、迅速な避難行動をとることは極めて困難です。
それを補完するため、自主防災組織、自治会、通り会、銀行、店舗、整備工場などの避難支援協力が欠かせません。「共助」体制づくりが防災計画のポイントとなります。

地域巻き込んだ委員会
沖縄市にある保育園で、私が作成に関わった津波避難計画の場合、最初に施設防災委員会の設置について定めています。
委員会のメンバーは、園長を中心とした情報収集班、避難誘導班、救急救命班などの職員、保護者の代表、避難誘導を支援協力する地域の代表、一時避難場所の関係者、専門的アドバイスを受けるためのアドバイザー(内閣府防災スペシャリスト、防災の実務経験者、災害派遣任務を有する機関で在職した人など)で構成。地域を巻き込み、共助の体制を整えます。
そして、防災計画の具体的な内容について、委員全員で共通認識を持ちながら協議していきます。平常時における災害対策でいうと、「施設の避難経路および避難場所などを示した防災マップ」「災害時をあらかじめ想定した避難経路検証シート」「防災訓練の実施」などです。
見落としがちなのが「地域・家庭・関係機関・行政との連携」。災害時は一般的な電話やメールが遮断されることもあります。そのため、行政担当職員との連絡手段として、災害時でも利用できるツイッターやLINEなど、SNSによるやりとりもできるようにしておきましょう。





ながどう・まさみ/NPO法人防災サポート沖縄理事長、元沖縄市消防長
 

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1805号・2020年8月7日紙面から掲載

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