特集・企画
2020年4月24日更新
「ちょっとぜいたく」建設会社10周年の挑戦|HOTELに習う空間づくり[11]
当連載では県内のホテルを例に、上質で心地良い空間をつくるヒントを紹介する。
(本館)ザ・ペリドットスマートホテルタンチャワード
(別館)ザ・ペリドットスマートホテルタンチャワードビーチサイドヴィラ(恩納村)
谷茶ビーチ沿いのホテルなので海の青を基調にした、別館のキッチン付きツインルーム。約37平方メートル。クイーンサイズのベッドが2台入っている。1面だけ大胆な柄の壁紙を入れて客室に個性を付けると同時に、非日常感を演出している
ベッドも浴槽も大きめ
ホテル名の「ペリドット」とは鮮やかな緑色の宝石。8月の誕生石でもある。同ホテルの設計・施工、運営を行う(株)上咲組の創立月が由来だ。宝石言葉は「夫婦の愛」「安心」「平和」「幸福」。
「私たちが目指す空間にぴったり合った」と話すのは同社の上間整(ひとし)社長。建築会社として、一戸建て住宅やマンションなどを数多く手掛けてきたが2016年、同社10周年の挑戦としてペリドットが表す「絆と安らぎ」を体現したホテルを作ろうと決めた。
「今までもホテルの設計・施工の経験はあったが、クライアントから受注された仕事だった。でも今回は経営や運営まですべて自社で行う。『こんなホテルがあったらいいな』を詰め込んだ」
客室は本館22室・別館4室の計26室。「数より、各室の広さにこだわった」。客室の8割を占めるツインルームでも30平方メートル以上ある部屋が多い。「住宅建築でもリビングやダイニングは広く取るようにしている。メインの部屋は、ゆったり過ごせるようにするべきだ」との思いを反映した。
さらに子どもと添い寝してもゆったりできるクイーンサイズのベッドが2台入ったツインルームや、ジェットバス・肩湯・打たせ湯付きのグレードが高いシステムバスを導入した部屋もある。
「空間をより広くするために、ベッド側の壁にはヘッドボードとサイドテーブルの機能を持たせています。設備や空間使いに工夫を凝らし、我が社ならではの特徴を打ち出しました」。
本館キッチン付きツインルームの浴室。広めの浴槽と、ジェットバス・肩湯・打たせ湯など癒やしのスパ設備付きのシステムバス
大胆壁紙で個性と非日常
外観は、光を放つような黄色。緑豊かな恩納村で、パッと目を引く色だ。3年前に建てた本館だが、昨年8月にオープンした新館と一緒に塗り直した。「訪れる人に分かりやすくし、かつパワーを感じる色にしたかった」
そして室内。空間色の8割は茶色や白で落ち着いた雰囲気を醸す。籐(とう)製のソファや照明、木目調の床なども相まってアジアンリゾートのよう。
そこに少しスパイスを利かせた。壁の1面だけは濃い色や大胆な柄の壁紙にしている。各部屋ごとにその色を変えることで個性を出すと同時に「住宅ではあまり使わないようなクロスを用いて、非日常を演出している」。
インパクトのある色や柄でも空間になじんでいるのは基調色を決めているから。本館は「ペリドット」に則(のっと)り緑色、海のそばにある別館は青色をベースにしている。ベッドの足元に敷いたベッドスローやカーテンなどのアクセントカラーと、先の壁紙の色調を統一することでまとまりのある空間となっている。
観光事業を始めて3年を迎えた。建築会社というベースを強みに、“ちょっとぜいたく”なホテルを提供する。「さらなるブランディング力の強化を図り、地域や県の発展に貢献する企業でありたい」と上間社長は結んだ。
同ホテルで1番広い、別館2階のスペシャルルーム。約91平方メートルあり、10人まで宿泊可能。「家族や仲間と集いを楽しんでほしいから、広い部屋にはなるべく和室を設けるようにしている」と上間社長
本館のデラックスルーム。62平方メートル。8人まで宿泊できる。
こちらも和室とキッチン付き本館のツインルーム。シンプルな部屋だがクイーンサイズのベッドが2台入っている
本館の外観夜景。黄色が目を引く。
昨年8月にオープンした別館。下=を塗装するときに塗り直した
(別館)ザ・ペリドットスマートホテルタンチャワードビーチサイドヴィラ(恩納村)
谷茶ビーチ沿いのホテルなので海の青を基調にした、別館のキッチン付きツインルーム。約37平方メートル。クイーンサイズのベッドが2台入っている。1面だけ大胆な柄の壁紙を入れて客室に個性を付けると同時に、非日常感を演出している
ベッドも浴槽も大きめ
ホテル名の「ペリドット」とは鮮やかな緑色の宝石。8月の誕生石でもある。同ホテルの設計・施工、運営を行う(株)上咲組の創立月が由来だ。宝石言葉は「夫婦の愛」「安心」「平和」「幸福」。
「私たちが目指す空間にぴったり合った」と話すのは同社の上間整(ひとし)社長。建築会社として、一戸建て住宅やマンションなどを数多く手掛けてきたが2016年、同社10周年の挑戦としてペリドットが表す「絆と安らぎ」を体現したホテルを作ろうと決めた。
「今までもホテルの設計・施工の経験はあったが、クライアントから受注された仕事だった。でも今回は経営や運営まですべて自社で行う。『こんなホテルがあったらいいな』を詰め込んだ」
客室は本館22室・別館4室の計26室。「数より、各室の広さにこだわった」。客室の8割を占めるツインルームでも30平方メートル以上ある部屋が多い。「住宅建築でもリビングやダイニングは広く取るようにしている。メインの部屋は、ゆったり過ごせるようにするべきだ」との思いを反映した。
さらに子どもと添い寝してもゆったりできるクイーンサイズのベッドが2台入ったツインルームや、ジェットバス・肩湯・打たせ湯付きのグレードが高いシステムバスを導入した部屋もある。
「空間をより広くするために、ベッド側の壁にはヘッドボードとサイドテーブルの機能を持たせています。設備や空間使いに工夫を凝らし、我が社ならではの特徴を打ち出しました」。
本館キッチン付きツインルームの浴室。広めの浴槽と、ジェットバス・肩湯・打たせ湯など癒やしのスパ設備付きのシステムバス
大胆壁紙で個性と非日常
外観は、光を放つような黄色。緑豊かな恩納村で、パッと目を引く色だ。3年前に建てた本館だが、昨年8月にオープンした新館と一緒に塗り直した。「訪れる人に分かりやすくし、かつパワーを感じる色にしたかった」
そして室内。空間色の8割は茶色や白で落ち着いた雰囲気を醸す。籐(とう)製のソファや照明、木目調の床なども相まってアジアンリゾートのよう。
そこに少しスパイスを利かせた。壁の1面だけは濃い色や大胆な柄の壁紙にしている。各部屋ごとにその色を変えることで個性を出すと同時に「住宅ではあまり使わないようなクロスを用いて、非日常を演出している」。
インパクトのある色や柄でも空間になじんでいるのは基調色を決めているから。本館は「ペリドット」に則(のっと)り緑色、海のそばにある別館は青色をベースにしている。ベッドの足元に敷いたベッドスローやカーテンなどのアクセントカラーと、先の壁紙の色調を統一することでまとまりのある空間となっている。
観光事業を始めて3年を迎えた。建築会社というベースを強みに、“ちょっとぜいたく”なホテルを提供する。「さらなるブランディング力の強化を図り、地域や県の発展に貢献する企業でありたい」と上間社長は結んだ。
同ホテルで1番広い、別館2階のスペシャルルーム。約91平方メートルあり、10人まで宿泊可能。「家族や仲間と集いを楽しんでほしいから、広い部屋にはなるべく和室を設けるようにしている」と上間社長
本館のデラックスルーム。62平方メートル。8人まで宿泊できる。
こちらも和室とキッチン付き本館のツインルーム。シンプルな部屋だがクイーンサイズのベッドが2台入っている
本館の外観夜景。黄色が目を引く。
昨年8月にオープンした別館。下=を塗装するときに塗り直した
取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1790号・2020年4月24日紙面から掲載
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この記事のキュレーター
- スタッフ
- 東江菜穂
これまでに書いた記事:350
編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。