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2020年4月3日更新

業務用の力を地域防災に|みんなの防災計画[12]

文・長堂政美
災害時に命をつなぐ物品を詰め込んだ災害時非常持ち出し袋。しかし、高齢者、女性、乳幼児のいる人、障がい者など、立場によって、優先的に入れておきたいものが変わってくる。それぞれの立場で必要なものの例を紹介する。


沖縄市胡屋自主防災組織の島田薫会長(右から4人目)と、同組織との防災協定を締結した事業所の代表者ら。胡屋地域内に事業所を持つ、建築・管工事などのミズト建設、給排水衛生設備・水道施設工事などのもろみ、LPガス・石油販売などの町田石油ガス、電気・空調設備工事などのBanana concept、バイク修理のチューニングショップ知念、自主防災用品や動態管理システム販売などのサンコー、消防設備工事などのエノビ防災技研、鉄鋼業の丸孝工業の8社が協定を結んだ=沖縄市胡屋自治公民館、3月19日

■自主防災組織と事業所との防災協定 
家庭用資機材では限界も​

重機で救助スムーズ
自主防災組織は、区域内の世帯で構成されていることが一般的です。

しかし、仮に、「災害対策基本法」の第2条第1号に規定する大規模災害(暴風、洪水、地震、津波など)、または、これらに至らない比較的小規模の災害が発生したとき、自主防災組織内の世帯および世帯が保有する資機材のみで災害防除活動を行うには限界があります。

例えば、地震で倒壊した家屋の下敷きになった人を助けるとなった場合、人力や家庭用機材だけでは時間がかかり過ぎたり、救出が困難なケースも出てきます。

そこで有効なのが、区域内にある事業所と自主防災組織間で締結する防災協定です。事業所の持っている人的・物的資源を訓練・災害時に利活用できるようにするのです。先ほどのケースでいうと、建設業者が所有する重機などがあれば救助もスムーズになります。

期待される効果として、
①公助に時間がかかるなどの局面において、適切な共助活動が実施できる。
②地区の住民および同地区内の事業所等が自発的な防災活動を推進する観点から、地域の人命、財産を守るために、主に共助(助け合い)を行うことについて定めた地区防災計画の作成につながる。
といったことが挙げられます。特に、地区防災計画の作成は、「災害時に、誰が、何を、どれだけ、どのように対応すべきか」等を規定するため、地区の実情を反映した具体的な取り組みにつながります。


どの業種でも役立つ
沖縄市の胡屋自主防災組織の場合、高台にあるため津波被害は想定されませんが、地震の揺れや台風などによる被害は想定されます。

そこで、3月19日に地域内に事業所を構える8社と「災害時応急対策受援・応援協定」を締結しました=写真。受援とは「支援や援助を受け入れること」、応援とは「力を貸して助けること」を意味します。

今回、同組織と協定を締結したのは、電気や機械、水道、ガス、防災設備などを扱う事業所。例えばガス会社ならプロパンガスボンベやガス窯の供給、水道工事会社なら壊れた水道管や水タンクの応急処置による飲料水の確保といったことが期待できます。

協定の対象となるのは、インフラを扱う事業所だけではありません。今後、同組織では医療関係の事業所と協定を結び、応急救護所への医師や看護師の派遣などの応援をしてもらう予定。

そのほかにも ペットショップなら避難所に家族とともに避難してきたペットたちのケア、フラワーショップなら避難所に花を飾って避難者の気持ちを和らげるなど、どんな事業所であっても、できることは必ずあるはず。

各事業所ができることや、保有する資機材の品目・数量などを防災マップに落とし込むことで、災害が起きた際も、それらをスムーズに利活用できるようになります。



■業種別 期待できる人的・物的資源の例
・建設会社…重機など建設機械やオペレーター
・ガス会社…プロパンガスボンベおよびガス窯の供給など
・バイクショップ…整備・分解工具と作業者
・水道工事…配管修理、飲料水の確保
・金属加工業…エンジンカッター、チェーンブロック等と作業者
・老人ホーム、デイサービス…福祉避難および要配慮者支援
・飲食店…非常食など炊き出し支援
・病院、医院、クリニック…応急救護所への医師や看護師の派遣
・ドラッグストア…簡易的医薬品の提供
・パン屋…非常食の提供
・ペットショップ…避難所におけるペット対策
・玩具店、フラワーショップ、書籍店…長期避難者へのケア
・理髪店…避難所での散髪

■前回の記事はコチラ​


ながどう・まさみ/NPO法人防災サポート沖縄理事長、元沖縄市消防長
 

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1787号・2020年4月3日紙面から掲載

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