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2023年9月1日更新

【6】防水工事|雨漏り防ぎ耐久性維持[マンション修繕のススメ]

文・あかみね かつじ/一級建築施工管理技士
屋上や屋根からの雨漏りなどを防ぐ「防水工事」。建物の耐久性を保つことにもつながる。近年では、遮熱機能も備えた塗料が登場。表面のトップコートを定期的に塗り替えることで防水機能を長持ちさせられる。

 
マンション修繕のススメ

ベランダや階段にも

私たちが住む沖縄は、紫外線が強い、高温多湿、雨量が多い、塩害が発生しやすいなど、建物にとって厳しい環境となっています。中でも屋上や屋根は、そんな外部からの影響を最も受けやすい場所です。そのため劣化が早く、ひび割れや塗装の剝がれといった雨漏りの原因となる症状が発生しやすい場所でもあります。雨漏りはコンクリートの剝がれや爆裂など、建物の耐久性の低下にもつながってしまいます。

そこで必要なのが防水工事です。ひび割れなどから、水が建物内部に入り込むのを防ぎます。壁面に比べて水がたまりやすい屋根や屋上はもちろん、ベランダや階段、通路といった部分にもおすすめです。


「防水+遮熱」の塗料

工法は、シートを貼るものなどいくつか種類がありますが、塗料を塗り重ねる遮熱防水が最もスタンダード。複雑な形状でも簡単に施工でき、工期が短くコストを抑えられるなどの特徴があります。

工事は建物に傷みが少ない新築~3年程度の間に行い、その後、10~15年周期で工事するのが一般的。

最近では「防水機能」だけでなく、太陽光を反射して建物が受ける熱の影響を軽減させる「遮熱機能」を備えた塗料も出てきています。室内温度の上昇を緩和できるので、夏場の冷房費を抑えることにもつながります。つまり防水工事は、建物の耐久性の低下を防ぐだけでなく、省エネ効果を期待できるとも言えます。


トップコートで性能長持ち

ウレタン防水の場合、下地を調整した後に、下塗り、中塗り(左図ではウレタンゴム層)、上塗り(トップコート)の順番で塗料を塗り重ねていきます。

この中で防水層として機能するのがウレタンゴム層です。しかし、その機能をしっかり持続させるには、その上のトップコートがとても大事。実はこのトップコートは防水層を保護するための塗料だからです。

ただし、トップコートは紫外線などの影響を受けやすいため、約5年周期での塗り替えが必要。そうすることで防水性能を長持ちさせられます。工事の周期も延ばすことができ、トータルの費用も安く抑えられるようになります。
 


Before
防水工事をする前のマンション屋上。コンクリートがむき出しになっており、紫外線によって屋上全体が熱を持っていた


After

ウレタン防水工事後。住人からは「雨漏りがなくなり、室内も涼しくなった」との声があるという

 

ウレタン防水の特徴と費用
【ウレタン防水とは】

◆ウレタン塗料など、塗料を塗り重ねていく工法。「複雑な形の場所でも施工しやすい」「工期が短く、安価」「防水層が軽く、建物への負担が少ない」「つなぎ目のない防水層ができる」などのメリットがある。一方、手作業なので塗膜面の均一性を保つのが難しい。定期的(5~6年ごと)にトップコートの塗り替えも必要。

◆工事の流れは、①高圧洗浄で汚れやカビを落とす②下地調整材で表面を平らにし塗装しやすい状態にする③下塗り(塗料の密着力を高める)を塗る④中塗り(防水塗料)を塗る=下写真⑤上塗り(トップコート)を塗る。



【費用の目安】

◆3500~7500円程度/㎡。塗料の種類や、下地の状態などによって金額は変わる。
◆トップコートだけの塗り替えは1700~2800円程度/㎡。


 ひとことアドバイス 

・どんなに性能の高い塗料でも、正しい方法で施工しないと、効果は発揮できない。施工不良でトラブルになる可能性もある。「できそうだから」と自分ではやらずに、プロに依頼しましょう。


あかみね・かつじ/TNOコンセプト(株)・本気でペイント事業部営業部長、一級建築施工管理技士
電話=0800・2000・486

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1965号・2023年9月1日紙面から掲載

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