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2023年4月7日更新

金属のさびで悪いのは「赤さび」 風通しが良くて屋根がある場所は要注意![マンション修繕のススメ]

文・あかみね かつじ/一級建築施工管理技士
県内で約3割の人が暮らす分譲マンション。居住環境や資産価値を維持するには、適切な修繕工事が重要だ。この連載ではTNOコンセプト㈱の担当者が、修繕工事のポイントや注意すべき点などを施工者目線で紹介する。初回は、沖縄で特に劣化しやすい金属部分について。



他県より腐食の進行早い

国土交通省は望ましい修繕周期の目安を、鉄部塗装5~7年、外壁塗装12~15年、空調・換気設備の取り換え13~17年としています。

しかし、海に囲まれた沖縄は飛来塩分量が多いほか、高温多湿、強烈な紫外線など、過酷な環境下にあるため建物の劣化が早いといわれています。特に金属の腐食は他県に比べて進行が早く、何もしなければ国交省の目安より短い周期での修繕・メンテナンスが必須となります。

そもそもさびは、金属の表面が水と酸素に触れることで発生します。その種類は多岐にわたり、金属によって生成過程や特徴も異なります。

例えば赤さびは隙間が多いため水や酸素が入りやすく、一度発生すると止まることなく進行し、厚みの減少や穴が開くなど欠損が生じてしまいます。

ほかにも、銅や真ちゅうに発生する青さび、アルミニウムや亜鉛に発生する白さび、人工的な処理による黒さびなどがあります。

しかし、これらは保護膜として機能するため良性のさびともいえます。
 

Before

マンションの扉枠に発生した赤さび。点々とさびが見られる「点さび」の状態マンションの扉枠に発生した赤さび。点々とさびが見られる「点さび」の状態
マンションの扉枠に発生した赤さび。点々とさびが見られる「点さび」の状態

After

さびが初期段階だったため塗装で対応。築20年という節目のタイミングで施工した。見た目もきれいになるので、マンションの価値を高めることにもつながる
さびが初期段階だったため塗装で対応。築20年という節目のタイミングで施工した。見た目もきれいになるので、マンションの価値を高めることにもつながる


意外と多い屋根下のさび

マンションには多くの金属が使用されているため、さびの発生は美観を損ねるだけでなく、赤さびであれば耐久性の低下にもつながります。

赤さびを修繕する場合、発生初期の「点さび」の段階なら、塗装でカバーすることができます。しかし放置すると素材そのものがボロボロになり、大きな予算を掛けて取り換えざるを得ない状況になってしまいます。

発生場所として意外と多いのが屋根がある場所。屋根がない部分は塩分が飛んできても雨で流されますが、風通しが良く雨が当たりにくい場所は、塩分が流されないためさびの発生につながりやすい。共用の通路や駐車場など、そのような場所が多いマンションでは特に注意が必要です。

そして何より重要なのは事前対策。管理組合で当番を決めるなどして、定期的に「汚れやほこり、飛来塩分等を水で洗い流す、あるいは拭き取る」「防さび効果のある塗料や油、グリスを塗布する」ことで、さびを防ぎ、修繕周期も長くすることができます。

外壁に取り付けられた外灯から流れ出る「さび汁」。金具や内部でさびが発生しているサイン。美観も損ねる
外壁に取り付けられた外灯から流れ出る「さび汁」。金具や内部でさびが発生しているサイン。美観も損ねる

赤さびで欠損した手すり
赤さびで欠損した手すり


 鉄部修繕の方法と費用 
・劣化状況や素材などにより金額は大きく異なる。
・初期段階の「点さび」程度なら、さびの上から塗装。水や酸素に触れないよう保護することで、さびの進行を遅らせる。外壁塗装の際にまとめて行えば費用を抑えられる。
・さびが進行している場合は取り換え。右写真の事例では、材料費20万円以上(鉄扉1枚)+施工費。

 ひとことアドバイス 
・風通しが良く、雨に打たれない場所はさびが発生しやすいので要注意。
・飛来塩分を洗い流したり、防さび効果のある塗料を塗るなど事前対策でさび防止に努める。



あかみね・かつじ/TNOコンセプト㈱・本気でペイント事業部営業部長、一級建築施工管理技士

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1944号・2023年4月7日紙面から掲載

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