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2024年5月17日更新

家族が「他人以下」に? 渡す側がまず考えて[相続計画始めよう!地主・家主の生前対策②]

家族がもめないための「幸せ相続計画」の普及・啓蒙をする「全国幸せ相続相続計画ネットワーク」。60を超える士業や企業が会員に名を連ねる。今回は同ネットワーク代表で、弁護士の久保以明さんが遺言書について説明する。遺言書が遺されていても、相続でもめるケースは多くあり、正当性だけでなく残された家族が納得できる分け方・書き方が大切だと説明する。

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家族が「他人以下」に?
渡す側がまず考えて

家族がもめないための「幸せ相続計画」の普及・啓蒙をする「全国幸せ相続相続計画ネットワーク」。60を超える士業や企業が会員に名を連ねる。今回は同ネットワーク代表で、弁護士の久保以明さんが遺言書について説明する。遺言書が遺されていても、相続でもめるケースは多くあり、正当性だけでなく残された家族が納得できる分け方・書き方が大切だと説明する。



遺言書があっても…

「家族との関係が、相続によって“他人以下”になってしまう」。そういうと、驚く方がいると思いますが、実際このような悲惨な状況を弁護士として幾度も見てきました。「残された家族がもめないと考えるのは幻想だ」と、セミナーなどでも伝えるようにしています。なぜそうなってしまうのでしょうか。

まず財産を渡す側である親が何も対策をしていないことが問題です。「まだ元気だから」と対策を先延ばしにし、遺言書も書いていなかった場合、仲の良かったきょうだいにもそれぞれの家庭と事情があり、いざ財産を分ける際、さまざまな感情が行き交います。それがぶつかり、もめてしまうのです。

相続のもめごとは関係修復が難しいとも言われますが、結果的に「他人以下」の関係になる家族も少なくありません。

では遺言書さえあれば良いのでしょうか? 実は、相続でもめて相談に来られた方の中には遺言書が遺されていたというケースも多くあります。「もめさせたくない」と思いを込めて書かれたはずの遺言書が、かえってもめ事の種になってしまうことも。

例えば、親が亡くなった後に出てきた遺言書。その存在を知らなかった家族たちは「この日付の時は、既に認知症だったのではないか」「誰がこれを書かせたのか」「本当に本人の意思なのか」などの疑念が生まれます。

仮に遺言書が正当性の認められるものだったとしても安心はできません。なぜなら、書かれた内容が原因でもめることもあるからです。


納得できる分け方書く

遺言書には財産の分け方を書きますが、分け方はどのように決めますか? 感情? 好き嫌い? 慣習? 声の大きい誰かの意見? 

つまりほとんどの方が「なんとなく」決めています。

それぞれの財産の価値や将来性を正確に捉えた上で、子や孫の将来のために的確な分け方を考えている方はほとんどいません。一般的な士業や法務局も教えてくれません。

家族みんなが納得、安心できる「分け方」を考えましょう。そのためには、まずは一つ一つの財産について正しく知ることが大切です。

そして財産の分け方が決まったら、どうしてそのような分け方にしたのか、理由や思いも添えましょう。遺言書には財産の分け方を示した本文とは別に、書いた本人の思いを伝える「付言(ふげん)」があります。法的には付言がなくても遺言書は成立しますが、思いを添えることは家族の納得ともめない相続につながります。 

最後にもう一つ。急な入院をしたとか、配偶者や親しい人が亡くなったなど、遺言書を残す側の心が弱っている時も要注意です。心が弱るとだまされやすくなります。家族だけではなく、悪質な業者が相続対策商品を紹介しようと近寄ってくるかもしれません。

相続で家族をもめさせないだけでなく、優良な財産を減らさない、そして子や孫を将来、お金で困らせないためには遺言書を書く前にさまざまな準備が必要です。時間もかかります。心も体も脳も元気なうちに一歩を踏み出しましょう。

 
【今回のポイント】
・「まだ元気だから」と動かないのはダメ
・遺言書がもめるもとに?内容はしっかり吟味を
・心と体だけでなく脳も元気なうちに対策



全国幸せ相続計画ネットワーク


【執筆】
全国幸せ相続計画ネットワーク
共同代表・弁護士法人琉球法律事務所
所長 久保以明

士業(税理士、司法書士、弁護士)を中心に、全国の相続の専門家が集う組織。「相続で家族をもめさせない」「相続で優良財産を減らさない」「子や孫を将来お金で困らせない」という信念を持ち、「相続計画」という新しい考え方の普及・啓蒙活動を行っている。

相続相談窓口:電話=050・1809・0106
https://souzoku-planning.org/

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2002号・2024年05月17日掲載

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