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2024年4月19日更新

不動産の「本当の価値」 知らないともめる種に[相続計画始めよう!地主・家主の生前対策①]

「もめない相続」を広げるために奔走してきた亀島淳一さんが6年ぶりにタイムス住宅新聞で連載をスタート。亀島さんが提唱する「幸せ相続計画」という考え方は全国の専門家の間でも支持が広がりつつあり、2023年に立ち上げた「全国幸せ相続計画ネットワーク」には60を超える士業や企業が会員に名を連ねる。そんな亀島さんと県内士業会員の皆さんが地主・家主に必要な相続の考え方について紹介する。1回目の執筆は亀島さん。

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不動産の「本当の価値」
知らないともめる種に

「もめない相続」を広げるために奔走してきた亀島淳一さんが6年ぶりにタイムス住宅新聞で連載をスタート。亀島さんが提唱する「幸せ相続計画」という考え方は全国の専門家の間でも支持が広がりつつあり、2023年に立ち上げた「全国幸せ相続計画ネットワーク」には60を超える士業や企業が会員に名を連ねる。そんな亀島さんと県内士業会員の皆さんが地主・家主に必要な相続の考え方について紹介する。1回目の執筆は亀島さん。


分けにくい不動産

「不動産が絡む相続はもめやすい」という話を聞いたことはありませんか?
 実は、裁判所に持ち込まれた相続トラブルの約8割は、不動産所有者によるものというデータがあります(※1)。なぜ、トラブルが多いのでしょうか。それは、不動産の「分けにくさ」と「本当の価値の分かりにくさ」にあります。

例えば相続人が3人いて、不動産の数が四つだと、単純に割り切れません。それが、アパート(収益物件)で、築年数や空室状況もバラバラなら、築浅・満室のアパートを相続したくなります。となると、どの物件を誰が相続するのかをめぐって、もめる可能性が高くなってしまいます。

不動産を相続する時、一般的に指標とされるのが「相続税評価額」です。例えばアパートAの方がBより評価額が高い場合は、Aの方が価値が高いと思いがちですが、実はそうとも言い切れないのです。ふたを開けてみれば、Aは空室が多くて収益が少なく、修繕が必要。一方、Bは満室で収益が手元に残り、修繕の必要もないとしたらどうでしょうか。評価額が高いAよりも、Bを引き継ぎたいと思いませんか?

相続税評価額は、あくまで税額を導き出すための基準であり、不動産の価値を正確に捉えているわけではないので注意が必要です。

※1 裁判所「2022年度司法統計」 遺産分割事件のうちの容認・調停成立件数より


本当の価値を理解して

相続で家族をもめさせないために不動産の価値を「多面的に捉え」、本当の価値を理解しておく必要があります。多面的というのは、毎年どれくらいのお金を生み出すか(収益性)、売却しようとした時にどれぐらい時間がかかるか(流動性)などを広く捉えることです。

相続税評価額は高いのに収益性も流動性も低い不動産は、「お金をたいして生み出さないし、簡単には売れない、それでいて税負担は大きい」ということになります。こういった財産が相続財産の中に隠れていると、分け方でもめてしまうだけでなく、将来、子どもや孫の生活を苦しめる恐れもあります。

複数の不動産を持っている方は、一つ一つの不動産の毎年の収支を正確に把握しているでしょうか? 「トータルで黒字だから大丈夫」と思っていても、複数人で相続すれば収支の良いものも悪いものもバラバラになります

親・子・孫、皆の幸せのためにできることを、当連載で紹介していきます。
 

 
【今回のポイント】
・相続税評価額だけで価値を判断しないこと
・収益性や流動性を含めた多面的な捉え方が大切
・個々の不動産の収支毎年、正確に把握を




全国幸せ相続計画ネットワーク



【執筆】
全国幸せ相続計画ネットワーク
共同代表・亀島淳一

士業(税理士、司法書士、弁護士)を中心に、全国の相続の専門家が集う組織。「相続で家族をもめさせない」「相続で優良財産を減らさない」「子や孫を将来お金で困らせない」という信念を持ち、「相続計画」という新しい考え方の普及・啓蒙活動を行っている。

相続相談窓口:電話=050・1809・0106
https://souzoku-planning.org/

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1998号・2024年4月19日掲載

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