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2023年10月6日更新

小規模宅地等の特例制度|相続税評価額 最大8割引き[失敗から学ぶ不動産相続⑲]

朝晩の過ごしやすさに秋の気配を感じる季節になりました。読書の秋、食欲の秋、行楽の秋。いろいろな過ごし方がありますが、今回は相続税が軽減される制度を紹介いたしますので、ご家族の相続について考えたり話し合ったりする秋はいかがでしょうか。

 

小規模宅地等の特例制度

相続税評価額 最大8割引き

朝晩の過ごしやすさに秋の気配を感じる季節になりました。読書の秋、食欲の秋、行楽の秋。いろいろな過ごし方がありますが、今回は相続税が軽減される制度を紹介いたしますので、ご家族の相続について考えたり話し合ったりする秋はいかがでしょうか。


相続税かからない可能性も

沖縄県内の不動産価格の高騰は、相続税を計算する際に利用される路線価にもしっかり反映されています。特に価格高騰が顕著なエリアに一戸建てを所有する方にとっては、相続税がいくらになるのか気になるところでしょう。相続税の負担を少しでも小さくしたいと考えている方に活用してほしいのが「小規模宅地等の特例」です。

小規模宅地等の特例とは、「被相続人(右の事例では母)が自宅として使っていた土地を、配偶者または被相続人と同居していた親族が相続すると、330平方メートル(約100坪)までの相続税評価額を8割引きで計算しますよ」という制度です。

例えば、相続税評価額が3000万円の土地は、8割引きの600万円まで割り引かれます。相続税評価額が小さくなれば相続税の基礎控除内に収まる(=相続税がかからない)可能性も高くなります。

また基礎控除を超えた場合でも、相続税は累進課税ですので、評価額が下がることで税率も下がり、税負担が小さくなることも期待できます。


同居せずとも「家なき子特例」

この特例を利用できるのは被相続人の配偶者、配偶者がいない場合は被相続人と同居する親族になります。同居する親族の場合、相続発生から相続税の申告期限(相続発生から10カ月)まで、該当する自宅の土地・建物を売却などせずに住み続けていることも必須条件となります。

また、被相続人に配偶者も同居する親族もいない場合は特別に、3年以上賃貸暮らしをしている親族も利用することができます。これを「家なき子特例」といいます。

今回の事例の場合、長男は生前の母と同居していませんでしたが、3年以上賃貸暮らしをしていたことから、本来であれば家なき子特例が利用できました。しかし相続税の申告期限を待たずに売却してしまったことから、この特例の利用ができなくなってしまいました。

不動産の相続には、適用条件を満たすことで利用できるお得な制度があります。専門家に相談し、上手にしっかり活用していきましょう。

 
【概要と経緯】
相談者は被相続人の長男。10年前に父が亡くなり、ひとり暮らしをしていた母が半年前に亡くなった。長年賃貸で暮らしていた長男は、母が生前住んでいた一戸建ての土地・建物を相続してすぐにでも住み始めたいと考えており、ほかの相続人からも同意を得ていた。
 


【どうなったか?】
昨今の不動産価格の高騰から、母が住んでいた自宅の土地の相続税評価額も高くなっており、相続税の支払いが想像以上に大きくなることが予想された。納税のための現金を準備できそうにないと判断した長男は、泣く泣く自宅の土地・建物を売却した。
 
【今回のポイント】
・小規模宅地等の特例は、相続税評価額が最大8割引きになるお得な制度
・相続が発生する直前に1週間でも同居していれば利用可能
・相続税申告期限まで土地・建物を売却していないことが条件
・同居していなくても、3年以上賃貸で暮らしていれば家なき子特例の利用が可能


用語説明
「小規模宅地等の特例」
被相続人が住んでいた自宅の土地の相続税評価額が8割引きとなる制度。配偶者や同居する親族が、相続税の負担に苦しむことなく自宅に住み続けられるよう創設された。



[執筆者]
ともりまゆみ/(株)エレファントライフ・ともりまゆみ事務所代表。相続に特化した不動産専門ファイナンシャルプランナーとして各士業と連携し、もめない相続のためのカウンセリングを行う。電話=098・988・8247
電話=098・988・8247

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1970号・2023年10月6日紙面から掲載

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