2023年9月8日更新
住宅ローン減税|省エネ基準で控除 25年まで[知っトク制度(33)]
2025年まで利用できる「住宅ローン減税」制度は毎年末のローン残高から計算して、所得税などが控除されるもの。24年1月以降は特例を除き、新築住宅を購入する際には国の省エネ基準を満たす必要がある。今回は同制度の内容や注意点を紹介する。
省エネ基準で控除 25年まで
年間最大31.5万円
最長13年の控除期間
2022年度の税制改正で25年12月31日まで延長された「住宅ローン減税」制度。新築・中古住宅の購入、増改築する際に利用できる。控除率は0・7%で所得税や住民税が減税される。控除額は毎年末のローン残高で決まり、控除期間は新築は13年間、中古や増改築は10年間となっている=表1。
24年1月以降は、国の省エネ基準を満たしていない新築住宅は同制度の対象外となる。それに伴い、借入限度額が縮小、省エネ住宅の証明が義務化されるなど利用する際には注意が必要。
表1 住宅ローン減税制度の概要
図1 住宅の省エネ性能の例
※表1、図1ともに国土交通省HP内「住宅ローン減税における省エネ性能の必須要件化の概要や省エネ基準への適合の確認方法などについて」を参照
高断熱・高効率化がカギ
省エネ住宅として認定されるには、熱の伝えやすさを示す「熱貫流率」と電気やガスなどの「一次エネルギー消費量」が基準値以下であることが必須だ。そのため、住宅の外皮(外気に触れる壁・屋根・窓)を高断熱化、給湯器や空調・照明など設備を高効率化した住宅にする=図1。
省エネ住宅の借入限度額は「認定長期優良住宅」や「省エネ基準適合住宅」など省エネ性能に応じて変わり、最大で4500万円。例えば、年末の時点でローン借入残高が4500万円の場合、控除額は31万5000円といった具合だ。
建築確認の時期で特例
ただし、特例を満たせば24年1月以降、省エネ基準に適合していない新築住宅でも同制度を利用できる。そのためには、二つの条件のうちいずれかを満たす必要がある。それは①23年12月31日までに建築確認を受けた住宅、②24年6月30日までに完成する住宅、となっている。その場合、借入限度額は2000万円で、控除期間は10年。
また、減税を受けるためには新築・中古住宅の購入、増改築にかかわらず、住宅を取得した日から6カ月以内に入居。さらに、入居した翌年には確定申告が必要となる。ほかにも、住宅の床面積や所得など細かい要件がある。
国土交通省はHPで資料と解説動画を公開しているため、同制度を利用する前には確認しておこう。
POINTS
☆「住宅ローン」減税制度が2025年まで延長。
☆24年1月以降、新築は住宅の高断熱化と設備の高効率化で、国の省エネ基準を満たす必要がある。
☆控除率は0.7%。控除期間は新築住宅で13年、中古住宅や増改築で10年。控除額は毎年末のローン残高によって決まる。
☆一定の条件を満たせば、省エネ基準に適合していない住宅でも同制度を利用できる。
編集/市森知
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1966号・2023年9月8日紙面から掲載