2022年9月9日更新
[沖縄]知っトク制度[28]|省令準耐火構造 火災保険料の負担減
万が一に備える火災保険。コンクリート造住宅に比べ木造住宅は保険料が高額です。今回取り上げる省令準耐火構造の基準をクリアすれば、建築基準法で定めた準耐火建物に準ずる防火、耐火性能があるとみなされ、木造住宅でも保険料を抑えることができます。
木造住宅でも燃えにくい構造
火を通さず出さず、火災拡大を防ぐ
準耐火構造に準ずる
省令準耐火構造とは、厚生労働省と国土交通省の共同省令にのっとり住宅金融支援機構が定めた基準です。また建築基準法で定める準耐火構造に準ずる防火性能を持つ構造として扱われます。
住宅の設計仕様書や設計図面に「省令準耐火」「省令簡耐」と記載されていれば省令準耐火構造だと確認できる。または、施工業者に証明書を作成してもらう必要があります。
戸建て住宅の火災保険はコンクリートやレンガといった不燃材料で建てられた「T構造(耐火構造)」と木材などを使用した「H構造(非耐火構造)」に分けられます=図1。建物の構造で保険料は変わり、「T構造」の方が低価格です。
三つの特徴、延焼防ぐ
省令準耐火構造の住宅は、木造住宅でもT構造に区分されます。そのためにはツーバイフォー工法や軸組工法などで住宅を建てる必要があり、その主な特徴は三つ=図2。
まず、外部から火をもらわない。隣家からのもらい火に備え、屋根は不燃材料の瓦などを使用し30分耐火。外壁と軒下には鉄鋼モルタルを2㌢以上塗り防火構造にします。
次に、各部屋を完全に区切る防火区画化です。室内で火災が発生しても拡大を抑えるため、厚さ12㍉以上の石こうボードなどを間仕切り壁や天井に使用し、防火被覆を施す。火が住宅の構造体に燃え移るまでに15分以上稼ぎ、避難や初期消火を可能にする。
最後に、他の部屋への延焼を遅らせる。火の通り道となる壁や天井内にグラスウールやロックウールなど空気の流れを遮断するファイヤーストップ材を施す。火災が発生しても、火の粉が住宅全体に広がるのを抑えるようにします。
保険料の負担6割減
H構造の木造住宅で火災と風災による汚損や破損を補償する火災保険に加入した場合、10年間の火災保険料は約42万円です。一方、省令準耐火構造になると約18万円、保険料の負担を6割抑えることができます=図3。
保険料の面で大きなメリットがありますが、省令準耐火構造の基準を満たすため建設費の増加、間取りや住宅のデザインに制限がかかります。ですが最大のメリットは、火事が発生した際に命を守る可能性が高まることです。住宅のデザインや予算などを踏まえ検討してみは。
POINTS
☆住宅ローンを組むとき火災保険への加入を義務付けられ、火災保険料は建物の構造で決まります。
☆省令準耐火構造は住宅金融支援機構が定めた基準を満たす必要があります。その特徴は三つ。
・外部からの延焼防止。
・各室防火。
・火災発生した部屋から他の部屋への延焼遅延。
☆火災保険の負担は6割軽減が可能です。
図1 戸建て住宅の火災保険構造級
※一般社団法人日本木造住宅産業協会の省令準耐火構造を参照
※住宅金融支援機構の「フラット35」、省令準耐火構造の特徴を参照
図3 火災保険シュミレーション
編集/市森知
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1914号・2022年9月9日紙面から掲載