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2020年10月23日更新

case19「入居している状態での売却」|マンション売買そうだんfile

文・友利真由美 (株)エレファントライフ代表
今年はコロナウイルスの影響もあり、住まいに対する意識が大きく変化した年とも言えます。いろいろな事情でマンションの売却を決意する方もいますが、良い条件で売却するにはそれなりの準備が必要になります。

入居中はハードル高い

相談内容
賃貸に出しているマンションを売却しようと思っていたところ、入居者が退去することになりました。少しでも賃料が入ってくると助かるので新規入居者を募集する予定ですが、賃貸中と空き家での売却、どちらが売りやすいですか?

空き家のままが売りやすい
先に答えからお伝えすると、圧倒的に空き家のままが売りやすいと言えます。

マンションを売り出してから実際に売却される(引き渡しや売買代金が手に入る)まで、短くても3カ月、長いと半年以上かかることも珍しくはありません。その間も住宅ローンの支払いはもちろん、管理費等のランニングコストなど毎月の出費はかかります。

それならば賃貸に出して賃料を得た方が得なのでは? と考える方もいますが、賃貸に出すことで空き家の状態と比較して確実に売りづらくなってしまう条件が三つあります。



購入希望者が室内を見学できない
逆の立場になってみましょう。あなたがマンションの購入を検討している時、室内を見ないで買いますか? 室内を見ずに購入する方もまれにいますが、一般的には見ずに購入するのは不安ですよね。入居者の立場になってみても、大家さんから「売却したいからお客さまにお部屋を見せてほしい」とお願いされた場合に、応じるのはちょっと厳しいかなと思います。

マンションの売却は常に他のマンションと比較検討されます。購入希望者にとっては一生に一度の買い物なので慎重になるのは当たり前。そう考えると購入前に室内を見られないのは大きなデメリットになります。


住宅ローンが組めない
賃貸中のマンションの購入は基本的に住宅ローンが組めません。そもそも住宅ローンは所有者が居住することを目的としたローンであって、金利や借入期間もかなり優遇されるお得な借り入れです。

賃貸中だと入居者が退去しない限り購入者は住めませんし、また現実的に賃料収入を得ていることから金融機関には「居住目的」ではなく「事業または投資目的」と判断されます。その場合、購入希望者は住宅ローンよりも審査基準や金利、借入期間などの条件が厳しいローンを利用せざるを得ません。


すぐに住めない
賃貸中のマンションの入居者は借地借家法で守られているため、所有者の都合ですぐに出ていってもらうことはできません。入居者が自分で申し出ない限り退去させることはできず、また所有者の都合で出ていってもらう場合は多額の立ち退き費用が発生する可能性があります。一般的に購入希望者は、マンションを購入したらできるだけ早く住みたいと思っていますから、このような条件では候補から外されてしまいます。


購入希望者にとって良い条件で
同等程度のマンションであれば購入希望者にとって有利な条件である方が選択されますし、条件が悪ければ値下げ必須となってしまいます。マンションに限らず不動産の売却は常に他と比較検討されていることを意識した上で売却の準備をしていきましょう。





 友利の結論 
・空き家の状態が断然売りやすい
・既存の入居者を退去させるには時間とお金がかかる
・常に他の物件と比較検討されていることを意識しよう
・購入希望者の立場になって考えよう


ともり・まゆみ  (株)エレファントライフ代表。「沖縄マンション.jp」主宰。不動産専門ファイナンシャルプランナーとして不動産と相続の困ったを解決する日々を送る。 電話098・988・8247

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1816号・2020年10月23日紙面から掲載

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