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2025年10月3日更新

空き家問題は相続がきっかけに 家族や親族と現状の把握から始めよう|どうするその空き家⑲

文/山入端学(全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部事務局長)

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 文/山入端 学
(全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部事務局長)

全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部の山入端学さんが、空き家問題の背景や沖縄の現状、具体的な活用方法を紹介。今回は空き家問題の現状把握から利活用、解決への道筋など包括的な出口戦略を紹介する。
 
多くの課題悩みに
有効な出口戦略を

空き家は単なる「使われていない家」というだけでなく、相続や家族の介護、仏壇やお墓の管理など、多くの課題が複雑に絡み合っています。何から手をつけるべきか分からず、悩みを抱える方も多いでしょう。

空き家問題の多くは「相続」から始まります。親が亡くなり、実家を相続することになったものの、遠方に住んでいる、住む予定がないなどの理由で、そのまま空き家となってしまうケースが半数以上です。相続登記や税金、兄弟姉妹との話し合いなど、手続きや調整が複雑で「何から始めればいいのかわからない」というケースが多くあります。

また、実家には家族の思い出や仏壇、お墓があることも多く、「処分していいのか」「誰が管理するのか」といった悩みが生まれます。介護をしていた家の場合、介護用品の整理も負担です。

建物の現況把握
法規制にも注意


では、どのような方法があるのか。例えば、「仏壇・お墓の管理」は、親族で話し合い、管理者を決めるほか、移設や合祀(ごうし)などの選択肢も検討できます。「遺品整理」は、専門業者への依頼や家族で思いを共有しながら進めることが大切です。「介護用品の処分」は、自治体や福祉施設で引き取りを行っている場合もあります。

空き家をどうするかを考えるためには、まず建物の状態や立地、利用の可能性を把握することが重要です。老朽化や雨漏り、シロアリ被害など建物の状態をチェックしましょう。交通の便や周辺環境など、立地・アクセスによって利活用の選択肢が変わります。法的規制にも注意しましょう。用途地域や建築基準法など、利活用に制約がある場合があります。

これらを総合的に評価することで、空き家の解決策の選択肢として売却や賃貸、リノベーション、解体・更地化などの可能性を検討できます。ただ、それぞれの方法にはメリット・デメリットがあり、家族の希望や資金状況、将来的な活用計画を踏まえて選択することが大切です。





さまざまな経費
大切な収支計画


空き家の利活用や処分には、さまざまな費用が発生します。売却や賃貸の場合は仲介手数料やリフォーム費用、解体の場合は解体費用と更地管理費が必要です。一方、賃貸やリノベーションで収益を得る場合は、将来の収益予測と維持管理費をしっかり計算しましょう。

そのための収支計画を作り、現状の費用、売却価格や賃料、リノベーション費用などを一覧にして比較検討します。さらに、将来的に売却するのか、賃貸を続けるのか、家族で共有するのかなど、出口戦略の中長期的な方針を決めておくことが重要です。資金面の不安がある場合は、自治体の補助金や専門家への相談も有効です。

空き家問題は、相続、介護、仏壇・お墓、建物の利活用および資金計画など、複数の課題が絡み合っています。まずは家族や親族と話し合い、現状の把握から始めましょう。分からないことや悩みがある場合は、自治体の窓口や不動産会社、相続・遺品整理の専門家など、信頼できる相談先に早めに相談することをおすすめします。

空き家問題は1人で悩むのではなく、家族と共に、そして専門家の力を借りながら、少しずつ前向きに解決への道を探っていきましょう。





やまのは・まなぶ
1969年生まれ、名護市在住。昨年、(一社)全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部を設立し事務局長就任。(同)城コーポレーション代表社員。沖縄県宅地建物取引業協会会員。北部地区宅建業者会副会長

全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部
電話=0980・43・1613

 
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2074号・2025年10月3日紙面から掲載

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