住宅ローン
2020年4月24日更新
case13「一時的な返済ストップ」|マンション売買そうだんfile
文・友利真由美 (株)エレファントライフ代表
沖縄県内はもとより日本中、世界中が少し前までは想像すらできなかった状況を迎えています。コロナウイルス感染も怖いですが、それによる経済的な影響も大きな不安。大切な家族の暮らしと住まいを守るために、住宅ローンの返済について考えましょう。
リスケで支払いを猶予
相談内容コロナウイルスの影響で給料が減ってしまい、このままでは住宅ローンの支払いが滞りそうです。どうしたらいいでしょうか?
一番避けたい「支払いの延滞」
給与減額等の影響で住宅ローンの支払いが厳しくなったとき、最も避けたいのは「支払いの延滞」です。延滞が続くと最悪の場合、残りのローン残額全てを一括で支払う「一括償還」という手続きになり、それができない場合には競売になる可能性もあります。
もし支払いが厳しくなりそうな場合は、延滞が起こる前に、支払額や支払い方法について早めに金融機関と相談しましょう。
一定期間 利息のみ支払う
相談に行くときは、まず住宅ローンを利用している金融機関に電話し、相談予約を入れましょう。「コロナウイルスの影響で給与が減ったので住宅ローンの支払い方法を相談したい」とお伝えすれば大丈夫です。
その際、金融機関からも指示があると思いますが、必要資料として、実際に給与が減額となったことが分かる「給与明細」や、勤め先からの「給与削減や自宅待機等の案内文書」などを準備してください。その資料をもとに、金融機関はどの程度の返済猶予が可能か判断することになります。これをリスケジュール(以下、リスケ)と言います。
総額増えるデメリットも
住宅ローンのリスケをすることで、住宅ローンの支払いは一定期間(一般的には半年)利息の支払いのみとなります。例えば、5年前に金融機関から住宅ローンとして3千万円借り入れしている場合、毎月の支払額は9万1800円ですが、リスケ後の支払いは利息部分のみとなるので3万3700円になります。その差額は5万8100円! 家計的にはかなり助かります=図参照。
ただし、リスケは支払いを免除するのではなく、その期間の支払いを猶予してもらうということ。猶予期間分は支払期間が延長されますし、その分、利息も多く支払うことになります。これはリスケのデメリットと言えるでしょう。
管理費等は管理組合が判断
マンションの場合、住宅ローン以外にも毎月管理費や修繕積立金などの支払い負担がありますが、これらの支払い猶予に関しては管理組合の判断によります。管理組合運営を長期的視点で見た上での判断が必要となりますが、もし支払いに不安がある方は、まず管理組合に相談してみましょう。
また、管理費等の支払いについても、住宅ローンのリスケと同様に、支払いが免除になるのではなく猶予であることを念頭においてください。支払わなくてもいいのではありません。いつかは必ず支払わなくてはならないのです。
コロナウイルスの影響は長期的になると推測されます。今後長期的に支払いが困難になりそうな場合は、不動産に詳しいFPなどの専門家にご相談ください。
友利の結論
・住宅ローンの延滞はできるだけ避ける!
・支払いが厳しい場合は金融機関へ相談する!
・免除ではなく猶予なので、いつかは支払わな いといけない!
・長期的に支払いが厳しいのであれば専門家に 相談する!
ともり・まゆみ (株)エレファントライフ代表。「沖縄マンション.jp」主宰。不動産専門ファイナンシャルプランナーとして不動産と相続の困ったを解決する日々を送る。 電話098・988・8247
これまでの「マンション売買そうだんfile」記事はこちらから。
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1790号・2020年4月24日紙面から掲載