相続
2025年9月5日更新
家族に思い伝える 「終活ノート」活用|どうするその空き家⑱
文/東恩納 寛寿(全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部幹事)

文/東恩納 寛寿
(全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部幹事)
全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部の支部会員らが、空き家問題の背景や現状、具体的な活用方法を紹介。今回は支部幹事の東恩納寛寿さんが「継承問題」を円滑に進めるために自分の考えや思いを書き記すエンディングノート(終活ノート)の活用について紹介する。
家族に思い伝える
「終活ノート」活用
少子高齢化が進むなか、「継承問題」で頭を抱えている人が増加しております。住宅、土地、財産、仏壇、お墓など継承を必要とするものはさまざまですが、元気なうちに親族や家族内で「誰に引き継ぐか」決めておかないと「もめ事」の原因となります。
継承問題以外でも生前に決めておくべきことは結構あります。老後の生活、終末期医療、葬儀、お墓の問題など、あまり考えたくないことかもしれません。しかし、「残された人に任せる」では少し無責任な気がします。
生前に家族会議を開き決めておくことがベストですが、さまざまな事情から先送りしてしまい、結局、残された家族が戸惑いながら決めていくパターンになってしまうことが少なくありません。
そして、話し合いが不調に終わり、当連載のテーマでもある空き家が増えることも考えられます。
トラブル回避へ
明確に考え示す

出版されているエンディングノート。目標とする老後の暮らし方や家族に向けて自らの思いをつづる
そこで活用していただきたいのが「エンディングノート(終活ノート)」です。
・自分の生きた証しを遺す。
・家族や残された方が困らないようにエンディングに関する自分の考えを伝える。
・自分自身の備忘録。
以上のように、エンディングノートとは「自分のこれからの人生をどう生きるか考える」ためのノートであり、しっかりと明確に書いて伝えることができれば、もめ事やトラブルを回避することができます。
しかし、大半の方がノートは買ったものの放置していたり、書き始めたが途中で断念したりしてしまいがちです。
まだ先の事だから大丈夫、何を書いていいのかわからない、将来、周辺環境や事情が変化し、内容がそぐわないものになるかもしれない-というのがおもな要因だと考えられます。
では、ノートをスムーズに書き進めるにはどうするか。ポイントを二つに絞るとクリアになります。
まず、「自分が亡くなったら家族が困ること」を想定して書き出しましょう。決めていないことはありませんか? 家の名義、相続、葬儀などで残された家族の負担になることはないのか、項目を書きだしてみましょう。
次に、「自分が亡くなったら自分が後悔すること」です。やり残したことはありませんか? チャレンジしたいこと、食べてみたい物、謝らないといけない人などを思い起こし、今後の目標として記載しましょう。
書いたこと実践
「空き家」解決も
ただし、「エンディングノートを書き上げる」ことのみを重要視してはいけません。自分の考えや思いを伝えるすべとしてノートを活用し、そのうえで書いたことを実践。最終的には自身の不安や後悔を減らし、家族の負担を軽減したうえで、エンディングを迎えることが重要なことであり理想的なゴールとなるのです。
空き家・終活の共通課題は話し合いができていない、決めていないなど意思疎通ができていないことです。ぜひ、この機会に家族で話し合いの場を設けるか、もしくはエンディングノートにご自分のお気持ちをつづってみてはいかがでしょうか。
ノートに大切なことを記し解決の道筋をつけていくことは、だれもが安心して暮らすうえでとても大切なことです。
私どものサポートが必要な場合はどんな相談でも結構ですので、お気軽にお問い合わせください。定期的に無料勉強会やセミナーも実施しており、必要であれば出張セミナーも承っております。きっと課題解決のヒントを見いだせるはずです。

沖縄県メモリアル整備協会は定期的に無料出張勉強会やセミナーを開き、終活や空き家問題の周知を図っている(画像の一部を加工しています。写真はいずれも東恩納さん提供)

ひがしおんな・ひろひさ
1976年生まれ、沖縄市在住。(一社)全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部幹事。(公財)沖縄県メモリアル整備協会終活支援部部長。終活カウンセラー1級。終活セミナー講師。
全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部
電話=0980・43・1613
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2070号・2025年9月5日紙面から掲載
第2070号・2025年9月5日紙面から掲載