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2020年9月25日更新

case18「住み続けられない可能性のある住宅の相続」|マンション売買そうだんfile

旧盆が終わり、ホッと一息つき始めたころから、弊社にも相続の相談が増えています。もめないための事前準備が必要という相続の知識が少しずつ浸透しているのを実感しています。今回は「相続で住まいがなくなるかもしれない」と訴える女性からの相談です。

配偶者居住権を遺言に

相談内容
夫名義のマンションに夫婦2人で住んでいます。2人の間に子はいません。夫は再婚で、前妻との間に子が1人います。夫の財産は今住んでいるマンションとわずかな預貯金だけで、相続が発生した場合、その子からマンション売却を迫られないか心配です。

不動産は分けづらい財産
今回の場合、相談者(現在の妻)と、前妻との子が法定相続人となり、遺言書等で指定がない場合は、法定相続割合でそれぞれ2分の1ずつ財産を分け合うことになります。財産の大半が預貯金や現金など分けやすい財産であれば、法定相続通り2分の1ずつ分けられますが、居住用不動産など分けづらい財産の割合が多い場合は注意が必要です。

法的に有効な遺言書等で指定がない限り、財産の中身がなんであれ、法定相続人に法定相続割合通りに財産を分けることを迫られますので、大半は不動産を売却せざるを得ない状況になります。



共有名義or現金化で分ける
不動産を法定相続割合に応じて分ける場合には、(1)それぞれの割合に応じて共有名義にする、(2)不動産を売却して現金化し分ける-の、大きく二つの方法があります。

それぞれの立場で考えてみます。まず、相談者は高齢であり、今住んでいるマンションに今後も住み続ける必要があります。(2)の売却となると、住まいを失うことになり、今後の生活がかなり不安定になります。
一方、前妻の子は、(1)にすると財産を手にすることも利用することもできません。相談者が亡くなった後は、相談者の持ち分がまた別の人に相続される懸念もあるため、(2)の売却を選択する可能性が強くなります。


配偶者守る「配偶者居住権」
そんな中、(1)のように、居住する住居を相続で手放すことにより生活が困窮してしまう配偶者のため、「配偶者居住権」が今年の4月から新設されました。相続発生時に住居として利用していた被相続人(今回は夫)名義の不動産に、法定相続割合によることなく、その配偶者は居住権という権利を設定できるというものです。

今回の場合、居住権を設定することで相談者は住居である不動産に住み続けることができます。また、前妻の子にとっても、不動産の所有権を前妻の子の名義にすることで、相談者亡き後は前妻の子の意思によって自由に利用処分することが可能になります。

ただし、この配偶者居住権を設定するには遺言書での指定が必要となります。遺言書がない相続の場合は相続人同士の協議によって設定できますが、配偶者にメリットの大きい制度となっているので協議がまとまらない可能性もあります。財産が居住用不動産のみで、遺された配偶者が住まいに困らないよう対策を検討されている方は、遺言書の作成と配偶者居住権の設定を行うようにしましょう。




 友利の結論 
・不動産は分けづらい財産だと理解しておく
・法定相続割合によっては、不動産を現金化するよう迫られることもある
・配偶者の住まいを守るために新設された「配偶者居住権」という制度の活用を
・遺言書の作成がもめない相続の第一歩。専門家に相談を



ともり・まゆみ  (株)エレファントライフ代表。「沖縄マンション.jp」主宰。不動産専門ファイナンシャルプランナーとして不動産と相続の困ったを解決する日々を送る。 電話098・988・8247

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1812号・2020年9月25日紙面から掲載


 

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