建築士の日
2016年7月1日更新
沖縄の建築士の自邸・事務所を拝見「仲間郁代建築設計事務所」|建築士の日
「作風息づく空間 広がる発想」快適な住環境を生み出すプロである建築士。それぞれの事務所や自ら設計した自邸には、建築で大事にしていること、家づくりや空間使いのヒントが詰まっている。3社の事務所や自邸の工夫とアイデアの源を紹介する。
安らぎ育む多彩な仕掛け
仲間郁代さん[仲間郁代建築設計事務所]色彩療法なども取り入れ、女性が美しく、安らげる住まいづくりを手掛ける仲間郁代建築設計事務所(本社・金武町)。打ち合わせ時の利便性を考え、3年前に構えた那覇オフィスは新都心地区に建つアパートの一室で、ロフトのあるワンルームだ。
代表の仲間郁代さん(44)は、「ベランダの先に小さな庭があり、掃き出し窓を開ければ風が抜けます。眺望が望めない分、季節ごとに室内の絵画などを変えて演出しています」と話す。
ロフトから打ち合わせスペースを見る。テーブルを壁から離せば、大人数でも座れる。掃き出し窓の外にあるベランダと小さな庭スペースは奥行きを感じさせる役割も/写真
白で統一された室内。「白色は光の反射などで女性をきれいに見せてくれるんですよ」と仲間さん。机や収納などはオリジナルでしつらえ、壁付けのキッチンまで扉収納で隠すことで、すっきり洗練された空間に。「机はノートパソコンに合わせて奥行きは浅め。その分、通路幅や打ち合わせスペースが広く取れ、使い勝手もいいです」とスタッフの比嘉律さん。効率良く、美しく見せる収納計画を実践する。
「建築士は、施主が安らぎを感じる〝心の種〟を育てる仕事。施主の思いや考えを引き出し、それを表現する方法をいかに増やすかが大事だと思います」と仲間さん。
打ち合わせスペースから玄関を見る。左手の扉収納内部には、壁付けのI型キッチンが隠れている/写真
大切にするのは「自分を内観できる環境づくり」。設計プランは落ち着ける自宅の書斎で手掛ける仲間さんだが、旅もアイデアの元になる。「土地ごとの建物や気候、雰囲気など、全身で感じたことが設計にも生かされます。日常から離れることで蓄積してきたものが刺激され、アイデアが浮かぶこともある」とにっこり。どこにいても仕事がしやすく、スタッフそれぞれが提案の幅を広げる時間が持てるよう、ネットを活用してスケジュールを共有する。
「沖縄でいい建物を造ることで、ホームページを通して海外からの問い合わせにもつながっています。建築は世界の共通言語。みんながワクワクできる仕事なら、挑戦していきたい」と目を輝かせた。
仲間さん(右)と比嘉さん。白を基調とした空間に、絵画やグリーンを添えて季節感を演出する/写真
※TOP写真/デスクは壁に沿ってL字に配置。左手の書棚の裏に大型コピー機を置くなど、すっきり見せながら効率的に動ける工夫がされている。奥のロフト部分は資料置き場として活用する
編 集/比嘉千賀子
『週刊タイムス住宅新聞』建築士の日 第1591号・2016年7月1日掲載
この連載の記事
この記事のキュレーター
- キュレーター
- 比嘉千賀子
これまでに書いた記事:152
編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。