緑に囲まれた店舗併設型平屋建ての家|LITTAI space works|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

オール電化|沖縄電力

お住まい拝見

お住まい拝見

2018年7月6日更新

緑に囲まれた店舗併設型平屋建ての家|LITTAI space works

[お住まい拝見・外国のようにオープン]本部町伊豆味に建つOさん(50)宅は、緑に囲まれた店舗併設型の平屋。海外の住宅のように天井が高く広々した空間で、夫婦と愛犬2匹が伸び伸び暮らす。


ヒカゲヘゴなど緑いっぱいのOさん宅。広いドッグランで愛犬のデイジー(右)、ゾーイが遊ぶ。「植物の管理は大変だけど、お客さんや友人が手伝ってくれるので楽しい」とOさん

 

周り気にせず楽しむ音

Oさん宅
補強CB造+木造/自由設計/夫婦

アカショウビンをはじめ、さまざまな生き物の声が響く緑豊かな森。その中に建つOさん宅の広いドッグランでは、2匹の愛犬・デイジーとゾーイが、Oさんの投げたボールをキャッチしたり、草木が茂る斜面を駆け上がったりと元気良く遊びまわる。
玄関も兼ねた4枚戸の掃き出し窓から室内に入ると、左右に延びるコンクリートの土間。その土間を挟んだ向こう側には居間や収納、寝室などが並び、それぞれが最大高さ約4メートルの勾配天井でつながる。「長く暮らした海外の家のように、天井が高く、オープンな空間が欲しかった」という夫婦の要望をかなえたシンプルな造りと間取りだ。
居間ではジャズのレコードがかかり、Oさんは「隣に家がないので、周りを気にせずに音楽を楽しめます」と自身もテナーサックスを響かせる。犬たちも冷たい土間にゴロンと寝転んで、気持ちよさそうな顔でその音色に耳を傾ける。

 

段差で職住を区別

敷地にはもともと妻の実家があったが、何十年も住人がおらず草木で覆われていた。Oさんは「人の暮らす風景をよみがえらせたい」と、6年ほど前に家づくりを決意。
設計は、当時、夫婦が名護市内で営んでいたトリミングサロン兼ペットホテルを設計し、「一緒にキャンプに行くほど気が合う」建築士に依頼した。
その店舗も併設させ、新築時に名護市内から移転。住居部分とは扉1枚で隔てられているものの、「それぞれ床の高さが違って、数段の階段があるおかげでオンオフを切り替えられる」。
妻(40)は「犬の毛を刈るなど神経を使う仕事だけど、自然に囲まれた環境でリラックスできる」と満足。顧客や県外から来た友人が、「居心地がいいから」と観光そっちのけで過ごすこともあるという。
ゆったりした時間が流れる空間で、Oさんは「いろいろな場所から来た人や犬が交流する場になってほしい」と願っている。



ハイサイドライトから光が入る、明るい居間。左のコンクリートの土間は「汚れても水で流せばいいので、掃除がラク」とOさん


寝室。「意味がないような気がして」と、家中の窓にカーテンはない。本棚の奥は書斎になっている


オリジナルのキッチン。あえて扉などを付けないオープンなつくりにし、通気性を良くした



ここがポイント
床上げて湿気対策片流れ天井で排熱

Oさん宅が建つ土地は、近くの湧き水から敷地の北西側を伝うように水路が通る。さらに南東側は崖になっているため、建築士の仲地正樹さんは「水路の氾濫や崖崩れの被害がない場所に建物を配置した」と説明する。
しかし、それ以上に「課題だった」のは水路からの湿気。仲地さんは、敷地の西側にある緩やかな傾斜を生かし、住居部分の床下1メートルほどをコンクリートに。「床を高くすることで地面からの湿気が入りにくくした」。
居間、収納、寝室は天井部分をつなげ、湿気や熱をたまりにくくした一方、浴室やトイレはコンクリートで囲み、居室に湿気が入らないようにした。
暑さには片流れの勾配天井で対策。熱は上昇する性質があるため、天井の高い北西側の壁面上部に、外の通気口につながる通気スリットを熱の出口として設置(下記イラスト)。「低い方から空気が入り、暖まると自然と出ていく。風が通り、湿気対策にもなる」。ベランダの軒先にある通気スリットも、屋根材と天井の間に設けた空気層を通り、同じ通気口とつながる。屋根内部の排熱にも配慮した。
屋根には波型のトタンを採用。「素材自体が軽いので柱や梁(はり)を細くでき、室内がスッキリした印象になる」。トタンには同じ波型の発泡スチロールが付いており、断熱材として機能するだけでなく、雨音も抑えられる。
そのほか、犬との生活を考慮し、掃除のしやすいコンクリート製の土間を広めに設計。木々に囲まれ、西日も入りにくいため、北西側全体にハイサイドライトを設けて光を取り込んだ。



書斎。横長の大きな窓が、まるで額縁のように緑の風景を切り取る。Oさんは「目が休まるし、春先には桜も咲いてぜいたく」と笑顔


片流れ屋根が印象的な外観。手前に店舗、奥に住居がある


水回り。居室への湿気の侵入を防ぐため、建物で唯一、四方をコンクリートで覆った。手前は土間とつながり、犬たちが外で遊んだ後は奥の浴室に直行できる


併設されたトリミングサロン兼ペットホテル。左奥の通路から住居に行ける


ベランダの柱の足元。木を長持ちさせるため、コンクリートとの接地面にオリジナル金具を設置し、水切れを良くした


通気スリットのイメージ​




[DATA]

家族構成:夫婦、犬2匹
敷地面積:997平方メートル(約330坪)
1階床面積:139.75平方メートル(約42坪)
建ぺい率:14.47%(許容60%)
容積率:14.01%(許容200%)
用途地域:未指定
躯体構造:補強コンクリートブロック造+木造
設計:LITTAI space works 仲地正樹
施工:(株)長山建設
電気:(株)松電
水道:小浜工務店
キッチン:LITTAI metal works



[問い合わせ先]

LITTAI space works
0980-51-9027
http://littai.com


撮影/比嘉秀明 編集/出嶋佳祐
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1696号・2018年7月6日紙面から掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
出嶋佳祐

これまでに書いた記事:32

編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。

TOPへ戻る