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2016年2月19日更新

眺め良い二世帯 つながり程よく|(有)アイ・エイチ・エー設計

 築40年の実家を、二世帯住宅に建て替えたOさん(42)。沖縄県那覇市の高台にある静かな住宅地に建つ住まいは、鉄筋コンクリート造2階建て。1階に親世帯、2階にOさん家族が暮らす。眺めの良い西側にあるLDKで、「休日は友人を呼んで、ワイワイするのが楽しみ」と笑う。

家族も友人も2階に集う​

Oさん宅 RC造/自由設計/家族7人



眺めの良い西側に設けた2階のLDK。窓の外には那覇の街並みと、その先に広がる東シナ海が望める。「窓を開け放つと風が抜け、夏も涼しい」と夫人。奥に続くバルコニーも家族の憩いの場になっている


Oさん宅の一番の魅力は、眼下に那覇の街並みと東シナ海を望むLDK。1階、2階ともに西側に設けた。「天気がいいと慶良間諸島まで見えます。夏には祭りの花火も。この眺めを生かしてリビングを設けたかったんです」とOさん。

特に2階のリビングは天井も高く、開放的。「休日は友人を招いてワイワイするのが楽しみ」。父親(76)も、「見晴らしがいいから、お酒もおいしい。みんなで集まるのはいつも2階ですよ」と楽しげ。

LDKの隣に設けた子ども室は、いまはひと続きで使っているが、仕切り戸を閉めれば個室に。天井高を生かして設けられたロフトで遊ぶ次女(6)に目をやりながら、夫人(41)は、「キッチンから子どもに目が届くので安心」と話す。
夫人がこだわったのは収納。玄関脇にある約3・2畳のシューズクロークは、季節ごとの雑貨や部活道具、ゴルフバッグなども収まるよう置く物のサイズを伝え、棚を造作してもらったという。家族用の玄関の役割も兼ね、「おかげで、玄関はいつでもスッキリです」。
 


孫との触れ合いが喜び

「いずれは両親と二世帯住宅を」と考え、実家の近くでアパート暮らしをしていたOさん一家。実家の老朽化が進み、建て替えを決めた。設計は、友人が紹介してくれた建築士事務所に依頼。「いろいろと相談に乗ってもらったり、提案してもらい助かりました」。

「玄関回りをきれいにしたい」との父親の希望で、アプローチには上品なタイル張りの仕切り壁が設けられた。父親が趣味で育てるヤシの鉢植えや大輪のハイビスカスも彩りに。

Oさん夫妻は共働きのため、長女(13)と次女は、学校から帰ると祖父母のもとへ。「孫と一緒に過ごすのがうれしい」と母親(74)。「とても助かってます。程よい距離で、暮らしやすい」と夫人は目を細めた。

住み始めてもすぐ1年。夫人は、「絵を飾ったり、バルコニーにちょっとしたイスを置いたり、一つずつ整えていきたいですね」とにこやかな笑みを浮かべた。



白とダークブラウンでまとめた2階のリビング。奥に続く子ども室にかけて天井を約1メートル高くし、採光、通風のための高窓やロフトを設けた。子ども室は、仕切り戸を閉めれば個室として使える



玄関脇に設けたシューズクロークは約3.2畳。家族はここから出入りする。可動式の造作棚には、バーベキューグッズや季節の雑貨なども収納できる


成長に合わせて仕切り方を変えられる子ども室。中央を仕切れば2部屋に。ロフトの下は収納で、ロフト中央の仕切り壁に小さなトンネルを設けるなど、遊び心も効いている


LDKの隣に設けられた来客用の和室。手前の収納の下には、父親が集めているやちむんを飾って楽しむ。地窓には雪見障子をつけた。


1階のLDKは、ダークブラウンで統一し、落ち着いた印象。孫との触れ合いが毎日の楽しみ


建物東側の外観。右手の芝生部分は将来、弟が家を建てる予定の敷地


アプローチのアクセントになっているタイル張りの仕切り壁は、隣家との間の塀に合わせて斜めに配置した。
右手には1階の庭に抜ける勝手口があり、来客を迎える玄関と公私を分ける役割も担っている


 

ここがポイント
眺め重視西に開く可変的に空間使う


沖縄県那覇市の住宅密集地に建つOさん宅。敷地は南北に隣家が近接し、道路から約9㍍奥まっている。東側には将来、弟の家が建つ予定もあるため、アイ・エイチ・エー設計の伊波米次さん、呉屋さゆりさんは、「Oさんの希望も踏まえ、眺めの良い西側にLDKを置く計画にしました」と話す。

鉄筋コンクリート造の躯体は、空間が広く使えるよう、柱や梁がなく、壁で荷重を支える壁式構造を採用。「施工コストも抑えることができます」。

2階部分はリビングから子ども室にかけて天井を高くし、高窓を配して採光と通風を促す。ロフトを設けた子ども部屋は、仕切り戸を開閉することでリビングと一体的に使ったり、2人分の個室にと使い方は自在。仕切り戸は収納できるから空間もスッキリ。

また、引き戸や収納は見た目の印象や使い勝手を踏まえ、既製の建具と造作を組み合わせた。「Oさん夫妻と相談して、こだわる部分、抑える部分を決めました。その結果、デザイン性を保ちながら、予算内に収めることができました」。


[DATA]
家族構成:(1階)父、母、姉
(2階)夫婦、子ども2人
敷地面積:247.42㎡(約74.84坪)
1階床面積:111.33㎡(約33.6坪)
2階床面積:120.15㎡(約36.3坪)
建ぺい率:49.36%(許容50%)
容積率:93.56%(許容100%)
用途地域:第一種低層住居専用地域
躯体構造:鉄筋コンクリート造壁式構造
設 計:㈲アイ・エイチ・エー設計
伊波米次、呉屋さゆり
構 造:㈱田中構造設計 中谷仁
建築・電気・水道:㈲Build

[設計・問い合わせ先]
 (有)アイ・エイチ・エー設計
 098・890・1325
 ホームページ www.iha‐design.jp
写 真/比嘉秀明撮影
編 集/比嘉千賀子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1572号・2016年2月19日紙面から掲載
 

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住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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