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2017年2月3日更新

築50年の2階建てを平屋に建て替え|(有)真玉橋設計事務所

沖縄本島中部の昔ながらの住宅街に建つYさん宅。築50年の2階建てを建て替えた平屋は、曽祖父の代から守り続けてきた庭の木々を眺めながら、4世代がゆったりくつろげる住まいだ。

4世代がゆったりと

Yさん宅  RC造/自由設計/家族5人​

ブラウンにこだわってコーディネートした室内は重厚感のある家具類が映え、和風庭園とマッチ。LDKと和室は合計32畳あり、親族が集まってもゆったりくつろげる


思い出の松眺めだんらん
Yさん宅には庭好きだった曽祖父から代々受け継ぐ立派な庭木がある。建て替えにあたっては、「それら思い出の木々を眺めつつ、母や兄弟、子や孫まで皆で集まってくつろげる広いリビングがほしい」とのYさんの思いが軸になった。
LDKと和室を合わせると、広さは実に32畳。夫人は「キッチンから全部が見渡せる一体感がいい。庭は昼もいいけれど、ライトアップされる夜もまたいい」と満足げだ。幅5メートルの掃き出し窓を全開すれば、白いタイル張りの床がテラスまで延び、開放感でいっぱい。「タイルは冷たくない?って聞かれますが、リビングが南向きなので冬は暖かく夏はヒンヤリ気持ちいい。庇のおかげで日差しも気にならないしね」とは夫妻の感想だ。
「収納がないと物があふれ、雑多になりがち」とウオークインクローゼットとパントリーは合わせて5畳半を確保。北西にまとめた水回りは、「無理なく行き来できて使いやすいと母も気に入ってます」と夫人。「私も天気を気にせず洗濯物が干せストレスが減りました!」と笑顔を見せた。

施工の対応が安心に
以前は築50年余の2階建ての1階に両親、改修した2階にYさん世帯が暮らしていたが、父の法事を機に建て替えを決めた。庭木は解体工事と同時に移植したものの、年代物の松とクロキは「枯らしたら大変」と動かさず、養生しながら工事を進行。Yさんは「CM担当者(※注1)が付きっきりで対応してくれたので安心して任せられた」と振り返る。
高齢の母や自分たちの将来を考え平屋にした分、面積こそ減ったものの、「すべて元あった物」で作り上げた庭ではマツやクロキがどっしりと枝葉を広げ、以前と変わらぬ姿で客人を出迎える。社交的な母は、ますます元気に。昼は客人をもてなしたりゲートボールにいそしみ、夜は自室で好きな歌や三線を楽しむ。
月に一度は長女が孫を連れて帰宅。にぎやかな4世代の集いを庭の木々も見守っているかのようだ。


※注1)分離発注工事においてコスト・品質・工程などの現場調整役を務めるコンストラクションマネジメント​


深い庇がかかるテラスは奥行き2メートル70センチ、幅9メートルと広々。写真中央奥、敷地の角に見えるのが代々受け継ぐ松。他の木々も移植し直したものばかり


リビング側からダイニングとキッチンを見る。ダイニングの壁面や玄関には、夫人が季節の花や雑貨を飾りディスプレーを楽しむ


玄関から見たポーチ。ブラウンの格子戸と植栽が相まって落ち着いたたたずまい


ここがポイント
内外つなぎ広く 公私で動線分け

行事の際はもとより、兼ねてから来客が多いYさん宅。大家族で快適に暮らすためのポイントとして真玉橋設計事務所の野里さん・比嘉さんは、「大勢で集まっても狭さを感じさせず目が行き届く造りと、家族も来客も気兼ねなく過ごせる動線計画」と話す。
集いの中心となるLDK+和室は、それ自体を32畳と大きく取っただけでなく、窓を全開すればテラス、庭まで見渡せる造りにして奥行きと開放感を演出。「通りに面しているものの植栽が目隠しになっているおかげで、家族や集まった親族は庭の木々を眺めながらゆったりくつろげる。室内からテラスまでタイル張りでつなげたことも、広がりを感じさせている」と解説する。
和室はキッチンからも目が届くよう対角線上に配置することで、「広いだけでなく使い勝手も重視」。結婚した子どもたちが家族連れで里帰りする際は、客間にもなる。
家の中央に設けたライトコートで、空間と動線を公私で分けた点もポイントだ。「ライトコートの両サイドにある扉を閉めれば、来客の際も母親や子どもたちが自室と水回りを自由に行き来できる上、サービスコートに通じる裏口から駐車場を通って外出も可能」。ライトコートのおかげで暗くなりがちな北側の水回りや廊下も明るく、風通しもいい。
また母親と夫妻の寝室はLDKを挟んで東と西に配置し、互いのプライバシーも確保した。


ウオークインクローゼットからパントリーを見る。夫妻の衣類や季節もの、行事で使う道具類まで、収納力は抜群。ほかにも随所に設けた収納が、すっきりとした暮らしに一役買っている


受け継いだ松(写真右奥)が見える和室。以前の和室に使われていたチャーギを仏壇と床の間の一部に再利用。「座っていても庭が楽しめるように」とのYさんの希望で雪見障子になっている


暗くなりがちな水回りもライトコートのおかげで明るく、風通しもいい。「夜はコートから月も見えるし、雨の日も楽しい」と夫人


外観。ポーチの目隠し壁も落ち着いた雰囲気に(真玉橋設計事務所提供)

[DATA]
家族構成:母、夫婦、子ども2人
敷地面積:635.93㎡(約192.36坪)
1階床面積:172.46㎡(約52.17坪)
建ぺい率:37.67%(許容60%) 容積率:30.67%(許容200%)
用途地域:指定なし
躯体構造:鉄筋コンクリート造壁式
設 計:(有)真玉橋設計事務所 野里雅樹 比嘉美幸 
C M :(有)真玉橋設計事務所 大城達人
構 造:与儀建築工房
施 工:(株)孝建設 その他7社による分離発注
電 気:福元電気
水 道:(有)大伸設備工業
キッチン:(株)クチーナ沖縄
[設計・問い合わせ先]
(有)真玉橋設計事務所
098-937-2777
http://www.madanbashi.com
写真/泉公/ララフィルム撮影  編集/徳正美
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1622号・2017年2月3日紙面から掲載

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