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2022年12月16日更新

[沖縄・お住まい拝見]家族に目届く広々空間|建築設計あ うん

[子ども室までワンルーム]LDK、和室、子ども室まで、引き戸を開ければワンルームになる宮城さん宅。キッチンを軸にぐるりと回遊でき「家事効率が良い。子どもたちは毎日走り回って運動会状態」と笑う。

宮城邸はオープンで、家族の顔が見える造りが特徴。キッチン横の壁にはマグネット式のホワイトボードを設置。家族のコミュニケーションや学校からのお知らせなどを張り、連絡板として活用
宮城邸はオープンで、家族の顔が見える造りが特徴。キッチン横の壁にはマグネット式のホワイトボードを設置。家族のコミュニケーションや学校からのお知らせなどを張り、連絡板として活用


キッチン軸に回遊性

宮城さん宅
CB造/自由設計/家族4人

LDKから和室まで一体となる家は多いが、宮城邸は子ども室まで大きなワンルームになる。「普段、家族が過ごす場所は広く取りたかった」と宮城さん。

オープンな空間の真ん中には、アイランドキッチンが鎮座する。左右どこからでも出入りでき、家事効率が良いだけでなく「子どもたちは毎日、ぐるぐる駆け回って遊んでいます」と夫人。

キッチンの後ろ側に浴室や寝室、物干し場などのプライベート空間がまとまり、公私の空間は引き戸で分断できる。「普段は開けっ放し。風が通るので気持ちいい」

プライベート空間も、中央にあるファミリークローゼット(FC)を軸に回遊できる造り。FCは寝室側と洗面室側2カ所に出入り口があり、「朝起きたら、お風呂場まで移動しながら身支度できて無駄がない」。さらに物干し場も、寝室側と洗面室の2カ所に出入り口があって裏座をぐるりと一周でき、光・風も巡らせる。

LDKは、アイランドキッチンを軸に回遊できる造り。キッチンの背後に浴室や寝室などプライベート空間がまとまり、引き戸で分断できる
LDKは、アイランドキッチンを軸に回遊できる造り。キッチンの背後に浴室や寝室などプライベート空間がまとまり、引き戸で分断できる
 

シューズクローゼットには宮城さんのスニーカーコレクションが飾られている。「前の家では箱に入れっ放しだったので、飾れてうれしい!」

シューズクローゼットには宮城さんのスニーカーコレクションが飾られている。「前の家では箱に入れっ放しだったので、飾れてうれしい!」
 

夫人のアイデアでつくった「ハイブリッドトイレ」。温かいフローリングにしつつ、便器周りはタイルにして「ゴシゴシ水洗いできるようにしてもらった」

夫人のアイデアでつくった「ハイブリッドトイレ」。温かいフローリングにしつつ、便器周りはタイルにして「ゴシゴシ水洗いできるようにしてもらった」

 



コレクションを堪能

土地は、実家が建つ敷地を分筆した。「難航したのは建築士探し。希望する間取りと予算との折り合いがつかなかった。2年くらいあちこちを回って、ようやくバランスが取れた提案をしてくれた建築士さんに出会い、依頼した」

宮城さんが強く希望したのは、趣味のスニーカーコレクションを収めるシューズクローゼット。壁いっぱいに棚を設けて、びっしりとディスプレー。「ここに立っているだけで幸せ」と満面の笑み。

夫人が「やってよかったのはトイレの床!」と話す。「水を流して掃除したいけど、冷たい感触は嫌だった。だから基本はフローリングなんだけど、便器周りの床だけをタイルにしてもらった」

一つ一つの空間を「どう使いたいか」しっかり考えた宮城邸。家族の笑顔が住み心地を物語っていた。


ここがポイント
公私を引き戸で分け それぞれに回遊性

宮城さん一家の希望は「家族の顔が見えるワンルーム的な家」。「来客が多いと聞いていたので、寝室や浴室などのプライベート空間は西側にまとめて引き戸で仕切れるようにした」と宮城邸を手掛けた建築士・濱崎幸夫さん。

公私を分け、「それぞれの空間の生活動線が短く済むよう居室を配置した」。公空間はキッチンを中心に据えて回遊性を持たせ、私空間は「ファミリークローゼットを廊下代わりにし、寝室と水回りをつないだ」。それにより「洗濯動線も、身支度も移動が少なくスムーズ」と説明する。

また、「希望の間取りと予算の折り合いが付かず、建築士探しが難航した」という施主に対し、濱崎さんは「コストを抑えるために構造を補強コンクリートブロック(CB)造で提案した」。鉄筋コンクリート造より安く済むが、プランやデザインの自由度が低かったり、将来的に増改築しにくいというデメリットがある。「CB造の設計経験があるので、プラン面の問題は感じなかった。増改築については家具で部屋を仕切るなど、可変性を持たせた」と濱崎さん。

半屋外空間にも工夫が光る。「洗濯干し場は花ブロックで囲って、プライバシーと通風を両立」。透明な天窓から日差しも取り込む。

テラスは5メートルもの深い軒が日差しを遮る。「軒には白いすりガラス製の天窓を設置。人が過ごす場所なので直射日光を和らげるよう配慮した」。雨天時には、ここに車を止め、ガレージ代わりに使える。「ぬれずに玄関へ移動できるよう、アプローチとつなげた」と話した。

リビングに面するテラス。5メートルもの深い軒下にあり、バーベキューをしたり、子どもの遊び場になったりするそう。軒のせいで室内が暗くならないよう天窓が三つ設けられている
リビングに面するテラス。5メートルもの深い軒下にあり、バーベキューをしたり、子どもの遊び場になったりするそう。軒のせいで室内が暗くならないよう天窓が三つ設けられている

写真右側のテラスは雨天時、車庫代わりに。軒が連なり玄関までぬれずに移動できる写真右側のテラスは雨天時、車庫代わりに。軒が連なり玄関までぬれずに移動できる
 

洗濯干し場は花ブロックで囲って、プライバシーと防犯、通風を両立。天窓もあって「風通しが良く日も差し込むので、洗濯物がとても乾く」

洗濯干し場は花ブロックで囲って、プライバシーと防犯、通風を両立。天窓もあって「風通しが良く日も差し込むので、洗濯物がとても乾く」

ファミリークローゼットは通路が2カ所あり、寝室(写真奥)と洗面室をつなぐ。「歩きながら身支度できて便利」ファミリークローゼットは通路が2カ所あり、寝室(写真奥)と洗面室をつなぐ。「歩きながら身支度できて便利」

写真右側の子ども室は、右奥の家具を移動させて二つに仕切ることもできる写真右側の子ども室は、右奥の家具を移動させて二つに仕切ることもできる



[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:324.90平方メートル(約98坪)
1階床面積:112.90平方メートル(約34坪)
建ぺい率:42.35%(許容60%)
容積率:34.77%(許容200%)
用途地域:未指定
躯体構造:補強コンクリートブロック造
設計:建築設計あ うん 濱崎幸夫
施工:和川組
構造:獏 設計事務所
電気:ライン電工
水道:榮門水道 

問い合わせ
建築設計あ うん
 電話=098・989・5770
   https://aun.jimdofree.com/


撮影/比嘉秀明 取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1928号・2022年12月16日紙面から掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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