企業・ひとの取り組み
2016年6月17日更新
百年使える家具を手作り|まっくる屋工房
兄弟で木工工房を立ち上げて22年。工房2階にあるギャラリーを訪ねれば、木の香りと伊礼聡さん(56)、範雄さん(49)の優しい笑顔が出迎える。座り心地の良いいすと楽しいユンタクが時間を忘れさせる。
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まっくる屋工房
伊礼 聡さん・範雄さん
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木の自然な造形生かす
「まっくる屋工房」の作品のこだわりと特徴は?
聡
いすとテーブルを中心に、無垢材を使い全て手作りしています。材料はクスノキやセンダンなどさまざま。県内外に足を運び、直接、丸太の原木を仕入れ、製材も自分たちで行います。木の姿そのままを生かしたデザインがこだわりなので、木それぞれの木目や形が表れるよう、原木から板になるまでの工程は最も神経を使います。
範雄
デザインは同じように見えても、使う人それぞれの体型に合わせてサイズを調整するなど、使う人、使う場所に合った心地よいものとなるよう心掛けています。現場の確認やヒアリングも可能な限りしっかり行い、一つ一つ使う人の顔を思い浮かべながら丁寧に、心を込めて作っています。
作品を手にする人たちの反応やニーズは?
聡
最近、工房設立当初のお客さんの子が、結婚や新築を機に注文してくれるケースが増えてきました。いい物を大事に長く使うという価値観を持った若い人も多く、世代を超えた長いお付き合いがあることを、とてもうれしく思います。
範雄
作り手の気持ちは作品に表れる。大事な家族との時間を共に過ごす家具を手掛けるのだから、元気なときに楽しく作るようにしています。
今後の目標は?
範雄
木に癒やされるのは世界共通。まっくる屋工房のいすの魅力を世界に広めていきたいですね。
聡
僕らも日々挑戦しながら、100年使える家具を今後も作っていきたいと思います。
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工房兼ギャラリーは兄弟たちと手作りで建てた/写真
「椅子からはじまる物語」
工房から著書を出版
まっくる屋工房の著書「椅子からはじまる物語」(写真)が6月1日に出版された。
工房の作品紹介や、制作工程、制作に掛ける思い、まっくる屋の家具で暮らす家族へのインタビューなどが、迫力あるたくさんの写真と文章でつづられている。文章の多くを手掛けた聡さんは、「木工作品にフォーカスした工房発行の本は、県内では初。木工家具制作に取り組む者の思いを伝えられたら」と思いを語る。範雄さんも「ぜひたくさんの人に手に取ってもらい、まっくる屋の家具がある暮らしの風景を届けたい」と話した。
いれい・さとし(右)
1960年那覇市生まれ。94年、弟の範雄さんとまっくる屋工房を立ち上げる。趣味は読書、カフェ巡り、食べ歩き。
いれい・のりお(左)
1967年那覇市生まれ。県工芸指導所で木工を学ぶ。家族は妻と2匹の愛犬。趣味は潮干狩り。魚介類の乱獲に心を痛める。
まっくる屋工房
沖縄県南城市玉城前川419-1
098-948-3379
取 材/赤嶺初美(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1589号・2016年6月17日紙面から掲載
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