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2021年7月2日更新

【プロがつくる庭】砂利+人工芝の庭 U字通路で広がり

このコーナーでは、プロが作った庭を紹介する。​設計・施工/金勢造園

Nさん宅の庭(八重瀬町)

分かれ道つくり
さらなる奥行き

さまざまな木が正面に

八重瀬町に住むNさん(75)宅の庭は約55坪と広々。中央には本部砂利が敷かれ、その周りには根元を人工芝で覆われた木々が並ぶ。

砂利の上に設けられた通路は、くねくねと小さく曲がりながら大きなU字型を描く。そのため歩を進めるごとに、シロガジュマル、クロキ、カキ、シマヤマヒハツ、ハリツルマサキ、クロトン…と正面に現れる樹種が入れ替わる。庭全体をぐるりと見て回ることができ、広い庭がより広く感じられる。Nさんは「景色が変化して楽しいし、どこから見ても上等」と喜ぶ。

通路脇にはケラマツツジやコバノサンダンカ、ジャワサンダンカなどがある。「花の季節が少しずつ違うので、いつも何かしらの花が咲いていますよ」。取材時はジャワサンダンカの花が、白と緑の世界に鮮やかな赤色を添えていた。

通路を進むと、一方は建物に、もう一方は井戸へと向かう分岐点に差し掛かる。道が分かれていることで、それぞれの道の行き先を想像してしまう。広い庭にさらなる奥行きを感じさせる仕掛けだ。


▲Before
After

砂利の上を、コンクリート製の通路がくねくねと曲がりながら進む。通路脇の幼木は、「将来、木が育った時に、随所で通路を隠して奥行きを演出する」と知念さん


通路の分岐点。右奥にある井戸の水は散水に利用している


今にも咲きそうなジャワサンダンカの花


草刈り不要で手入れラク

土入れ替えてツツジ植栽 

もともとNさん宅には木で囲まれた芝庭があった。しかし、広い庭なので植物の成長の早さに手入れが追いつかず、すっかり荒れた状態に。そこでNさんは趣味で集めていたタイムス住宅新聞の切り抜きの中から、好みの庭を手掛けた造園会社に連絡し、「管理しやすい庭にしてほしい」と相談した。

相談を受けた金勢造園の知念政徳さんはまず、庭全体に防草シートを敷いた。さらに、上から砂利を敷き、草刈りなどの手間が掛からないようにした。

一方、既存の木が並ぶ部分は、防草シートの上に砂利ではなく人工芝を敷いた。「落ち葉を掃除する際に、砂利だとほうきでの掃き掃除などがやりにくくなる」とその理由を説明する。

通路脇では植栽部分だけ土を入れ替えた。「本島南部の土はアルカリ性で、ツツジなどには合わないから」だ。そのため植栽部分の土は弱酸性の鹿沼土と、中性の赤玉土を使用。周りの土と混ざらないよう地中まで仕切りも入れた。

Nさんは「手入れもラクだし、見た目もきれい。孫たちを呼んで月見会でもやりたいねぇ」と満足そうに話した。  


Nさん宅の庭の全景。周囲の木々に水をかける際も、歩きやすい通路は役立っているという


庭から建物側を見る。周りの木々がないことで、自然と通路脇の幼木に視線が向く


ツツジを植えた部分。弱酸性の鹿沼土に入れ替えたため、
もともとあるアルカリ性の土と混ざらないよう塩ビ製シートで周りを囲んでいる



砂利の周りにあるさまざまな種類の木々。
既存のものをそのまま生かした。いずれも根元まできれいに人工芝で覆われている



クロキに着床したランの花。
Nさんはお祝いでもらったものなどを着床させ育てており、他の木にもある


​設計・施工/金勢造園



毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1852号・2021年7月2日紙面から掲載

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スタッフ
出嶋佳祐

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編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。

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