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2021年6月4日更新

【自分でつくる庭】30年かけて手作り 大樹が見守る中庭

このコーナーでは、施主自ら楽しみながら作った庭を紹介する。

金城直也さん・弘美さん宅の庭(宜野座村)

遊び場やコンサート会場に

ホルトノキ中庭。大きなホルトノキが目を引く。夏にはセミが集まり、直也さんが楽器の練習を始めると、セミも鳴き始めるという。落ち葉は根元に集め、乾燥を防いでいる


家族と育つホルトノキ

宜野座村の金城直也さん(66)弘美さん(63)宅には、家をぐるりと囲む庭がある。新築当初から30年にわたって手作りしてきた庭は、村のオープンガーデンでも多くの来場者を魅了していた。

門を開くとベゴニアの鮮やかなピンクが出迎え、直也さんが並べたれんが敷きの通路へと誘う。通路の両脇ではユーフォルビアなどの小さい花が風に揺れ、イングリッシュガーデンの雰囲気だ。

ツルでできたアーチをくぐると一気に視界が開け、広場のような中庭。高さ6~7㍍ほどのホルトノキが大きく枝を広げ、心地よい陰を中庭へと落とす。弘美さんは「1㍍ちょっとの木が、30年でこんなに大きくなるなんて」と驚く。

その下ではこれまで、子どもたちがプールで遊んだり、直也さんが近所の人と結成した楽団のコンサートを開いたりと、さまざまな光景が繰り広げられてきた。ホルトノキは家族とともに育ってきたとも言える。直也さんは「次は孫のために木にブランコを付けよう」と新たな家族を思い、目を細めた。

中庭に面したデッキ
中庭に面したデッキ。一角には、直也さんがDIYしたテーブルがある。
直也さんは「本を読んだり、朝食をとったり。私の書斎です」


中庭で開いたコンサート
中庭で開いたコンサートの様子。直也さんの友人や後輩などで結成した楽団「Ensemble Affetto」(アンサンブル アフェット)が、たくさんの人の前で優雅な音色を響かせる(2015年頃、金城さん提供)

アプローチ
アプローチ。突き当たりを左に曲がるとれんが敷きの庭につながる


落とし種で果樹が豊富に

建物の裏手は、敷地の外にある木々の影響で少し暗く、森の中を散策しているような気分になる。

日が当たりにくいため以前は何を植えても枯れていたが、弘美さんの姉が琉球石灰岩などを使ってアレンジ。日陰でも育つインパチェンスやリュウノヒゲなどを植栽し、彩りも出した。

ニオイバンマツリやヤコウボクなど香りのたつ木も随所にあり、「眠るときに甘い香りが漂ってきて幻想的」と弘美さん。シナモンの葉をスムージーに入れて飲んだりもしているという。


上につく実は鳥のもの  

昔から植物や自然が好きだった直也さん。「チョウが来る庭にしたい」と花を植え始め、仕事から帰った後に2時間ほど手入れするのが日課だった。家族の協力もあり、少しずつ理想を形にしていった。

「今は食べられる実をつけるものが多い」と直也さん。実際、ヤマモモやホウロクイチゴ、ビワ、ミニグアバ、ジャボチカバなど種類は豊富だ。そのほとんどは鳥が運んできた種から成長したという。

「自分で植えても育たないけれど、落とし種は環境が合う場所で芽を出すので大きく育つ。だから切らずにそのまま育てますし、実がついた時には、上の方を鳥、真ん中をコウモリ、僕たちは下につく実を食べるんです」

チョウだけでなく、キノボリトカゲやコゲラなどさまざまな生き物が訪れるようになった庭。夫婦は庭を通して、自然との共生を楽しんでいる。


イングリッシュガーデン風の庭。
アプローチの隣にあるイングリッシュガーデン風の庭。
れんがは直也さんが敷いて通路を作った

ツル植物で作ったアーチ
いつでも花が咲くように、複数のツル植物で作ったアーチ。
くぐった先に中庭がある


裏庭。
裏庭。木の陰になっていて涼しい。
植物の根元や鉢の周りに琉球石灰岩が置かれ、自然の森のような雰囲気


裏庭から表の駐車場へと続く通路。柵もDIYで作った
裏庭から表の駐車場へと続く通路。柵もDIYで作った

落とし種から育ったビワ
落とし種から育ったビワ。実がなると、上を鳥、下を人が食べる。ほかにもさまざまな果樹があり、取材した5月中旬はヤマモモ(下写真左)やミニグアバ(同右)が実を付け始めていた

ヤマモモミニグアバ



毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1848号・2021年6月4日紙面から掲載

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スタッフ
出嶋佳祐

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編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。

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