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2019年11月28日更新

数品種植えて味比べ|ハルサー×野菜ソムリエ[3]

文・奥間美佐江
ニンジンやタマネギなど、料理によく使う根菜を植え付ける季節。野菜を育てるところから食べるところまで楽しむ野菜ソムリエの奥間美佐江さんは「ニンジンなら数品種植えて味比べしたり、種まき時期をずらして長く収穫を楽しんで」と話す。




ジャガイモの土寄せをする奥間さん。イモを大きくするため、1カ所から出る茎の数が3~4本程度になるよう「芽かき」(芽を抜き取る)もする

 根菜の植え付け 
11月の立冬を過ぎた頃から、風が涼しく、過ごしやすくなりました。暑さでバテることなく畑仕事を進めています。ただし油断は禁物で、脱水症状をおこさないよう、夏と同様にこまめな水分補給を心掛けています。水や温かいお茶、時にはシークヮーサードリンクなどを十分に用意して畑に向かいます。

タマネギは小球が便利
10月~11月にかけて私が種まきや植え付けをしたのは、ニンジン、タマネギ、ニンニク、ジャガイモなど。これらは料理にとても良く使う便利な野菜なので、毎年植えています。

ニンジンはいくつかの品種を植えて味比べを楽しみます=下写真。種まきから3カ月ほどで育つため、数回にわけて種をまくことで、1月~5月前半にかけての長い期間、収穫することもできます。

いろいろな種類のニンジン。黄色がテーブルスティック、紫色がバイオレットハーモニー、赤くて長いものが本紅金時ニンジン

タマネギは種から育てると、種まきから収穫までの半年間がとても長く感じます。大きく育つのが待ちきれないので、今年は小球=下=を購入し、植え付けました。日当たりのよい場所を好み、追肥と中耕(ちゅうこう)(株と株の間を耕す)をしながら育てます。

タマネギの小球。12月中に植え付ければ、しっかり育つ

島ニンニクは8年くらい前に農家さんから分けてもらったものを毎年この時季に植え付け、春に収穫して常温保存と冷凍保存。1年間自宅で使う分をまかなっています。連作障害や病害虫に強くて育てやすく、他の野菜との相性が良いのでコンパニオンプランツとしても活躍しています。1月には葉ニンニクとして収穫し、野菜炒めなどに使うことができます。

ジャガイモは種イモの発芽にばらつきがあり、植え付けた場所が青々とするまでに時間がかかることがあります。土寄せをしながら育て2月~3月に収穫をするのですが、今年春に収穫したジャガイモはケラに食べられて穴があいてしまい、残念な結果でした。原因がよくわからないので、今回は半年以上何も植えず、堆肥と元肥を少なめにした所に植えてみました。

アブラナ科の野菜は虫が付きやすく、上手に育てられないのであまり植えていませんが、虫よけネットを二重にし、泥はねを防ぐための防草シートを敷いて育てます。風通しを良くするために畝幅(うね)や植え付け間隔を大きくしたり、早めに収穫することもあります。


 育てるポイントとおすすめレシピ 
 ニンジン 
島ニンジンと金時人参は東洋系、オレンジ色の五寸ニンジンはヨーロッパで育種されたもので、βカロテンを含み抗酸化作用があります。みそ汁の具やサラダ、鍋料理までいろいろ使えて重宝する野菜。種まき時には保湿をしていますが、収穫時期は多湿にすると病気になりやすいので乾燥気味にします。


▲2
種まき直後の保湿。ニンジンの種をまいた後は、乾燥しないようにネットをかける。本葉が出たら(写真2の状態)取り外す


ニンジンの間引きと土寄せ。ニンジンは、多めに種をまいて間引きしながら育てる。本葉2~3枚の頃に1回目の間引きをして、1~2センチくらいの間隔にする。混みあった所をハサミで切り取り、残すニンジンを傷つけないようにする


間引き後にニンジンの頭が出ないように土寄せをするが、固いジャーガルでは土寄せが難しいので、購入した培養土を使用している目の間引きをして、1~2センチくらいの間隔にする。混みあった所をハサミで切り取り、残すニンジンを傷つけないようにする


ニンジンのポタージュ。ニンジンを牛乳でコトコト煮て軟らかくなったらミキサーにかけて滑らかにする。塩、コショウで味付けする。牛乳と濃いめの鶏がらだしで煮ても良い



 ローゼル 
ローゼル(アオイ科)にはビタミンCやクエン酸が含まれ、疲労回復や美肌によいとされます。5月に種をまいてから約半年で収穫でき、花が落ちた後の愕(がく)と苞(ほう)を食べます。お茶やジャム、生のローゼルを塩漬けにして梅干しの代用としています。

ローゼル。手入れはほとんど不要だが、小さな虫がつくことがあるので、よく洗ってから料理する



ローゼルのドレッシング。ローゼルを湯通しして刻んだ後、オリーブオイル、リンゴ酢、塩、コショウと混ぜ合わせる


 この時季の手入れ 

 ジャガイモ 
浅めに植えて、茎葉が伸びるのに合わせて数回に分けて土寄せをしながら育てる。植え付けから約1カ月後に追肥・土寄せ。種イモより上にイモがつくので、それらが土から出ないようにする

雨で土が流れ、種イモが見えている状態、
           

植え付けたばかりで土寄せする際は、葉が隠れない程度に土をかける

 エンダイブ 

エンダイブ(レタスの仲間/キク科)は収穫前に株全体をまとめてひもで縛る、または遮光ネットを使用して育てると、白く苦味が少なくなり食べやすくなる。

ただし、雨が続いて湿度が高くなると腐敗病で葉が溶けてしまうので注意が必要。カリウムとカルシウム、緑の葉にはβカロテンを多く含む。サラダやオリーブオイルで炒めてもおいしい



 タマネギとニンニク 

15センチ間隔で植え付け、葉が10~15センチほどに伸びたら1回目の追肥をする。2回目の追肥は2月頃。土が乾燥しないようにレモングラスの敷き草をしている



 サトイモ 

夏の間大きく茂っていた葉が小さくなったら収穫。大きめの芋を種イモに選んで植え替える。深く耕して畝を作り、谷に植える。まずは親芋の葉を大きくしたいので、脇芽が出てきたら早いうちに土をかぶせて脇芽の成長を止める(下写真)。その後は2~3回に分けて土寄せを行う

          




 キャベツ、スイスチャード 

キャベツやスイスチャードなどの葉野菜は、防虫ネットと泥はね防止のシートを使用すると育てやすい。黄色くなった下葉は早めに取り除く



 アブラナ科の苗 

アブラナ科の野菜は苗を育てる時に不織布をかける。目が細かいので、アブラムシが入りにくい


 


おくま・みさえ/野菜ソムリエプロ、沖縄野菜プロジェクト協同組合理事


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1769号・2019年11月29日紙面から掲載

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