防災
2019年11月1日更新
落下・転倒・移動物に注意|みんなの防災計画[8]
文・長堂政美
災害が起きた場合の行動を紹介する本シリーズ。今回は「地震編」。落ちてくるもの、倒れてくるもの、移動してくるものから身を守るのが基本となる。それらを防ぐため、事前に家具などを固定しておくことが大切だ。
■災害が起こったら③(地震編)
沖縄でも震度7の可能性
人が飛ぶほどの衝撃
科学的な知見に基づき、2009年~13年にかけて県が行った「沖縄県地震被害想定調査」によると、沖縄では、最大で震度6弱~震度7までの地震が予測されています。
震度7は人が立っていることができず、飛ばされることもあるくらいの衝撃で、屋内では固定していない家具が移動したり倒れたりします。屋外でも、壁のタイルや窓ガラスが破損する建物が増え、補強されたブロック塀ですら破損するものがあると言われています。
また、沖縄に多い鉄筋コンクリート造の建物であっても、壁や柱、梁などの部材にひび割れや亀裂が多くなり、耐震性が低い場合だと1階や中間階の柱が崩れ、倒れるものも出てきます。
日本ではそんな最大震度7の地震が、1995年の阪神淡路大震災以降6回も発生しています。また、2010年2月には糸満市でも震度5弱の地震がありました。
沖縄でも大きな地震の可能性があることを忘れず、家具の転倒防止や非常持ち出し袋の準備などで備えておきましょう。
車は徐々に減速
実際に大きな揺れが起きた場合には、身を守ることが最優先です。基本は「落ちてくるもの・倒れてくるもの・移動してくるもの」に注意しましょう。
屋内の場合だと、棚や棚の上に置いてあるもの、キャスター付きのワゴンなどに気を付けましょう。屋外では、看板やガラスの落下、ブロック塀の倒壊などに注意し、それらがある場所はできるだけ通るのを避けてください。
車で移動しているときに地震が発生した場合、急に止まると衝突の危険があります。ハザードランプを付けながら、徐々にスピードを落とすのがポイントです。道路左側に駐車して、揺れが収まるまでエンジンを切って待機しましょう。
■地震への備え
①自宅内では「落ちてくるもの・ 倒れてくるもの・移動してく るもの」から身を守るため、 冷蔵庫・タンス・食器棚などの 背の高い家具を固定=下写真。 転倒防止に努める(固定具は100 円均一店でも販売している)
②常に一定量の食品を備蓄するため、日常の食品を多め(3日~ 1週間分)に買い、賞味期限が差し迫った順に消費し、不足し た分を新たに買い足す「ローリングストック」を日ごろから心 掛ける
③建物が地震で損壊したりすると、避難所に移動することになる ため、性別・年齢等に応じた非常持ち出し袋を準備しておく。 一般的なものとして非常食などがあるが、例えば高齢者であれば、薬、口腔(こうくう)ケア用品、眼鏡、つえなども必要にな る。被災時の避難所生活をイメージして枕・毛布の準備も必要
④大規模地震が起きたら、市町村内の小中学校が避難所となる。 津波の心配のない高台の避難所の体育館などを把握し、避難経 路も確認しておく
⑤万が一、安否確認ができないときのことを考慮して、災害伝言ダイヤル171の使用方法を練習しておく。毎月1日と15日は練 習で使用できる
■大きな揺れへの対応
①家具などの下敷きにならないよう自分の命を守る。就寝中であ れば枕と布団を利用して身を守る。特に「落ちてくるもの・倒 れてくるもの・移動してくるもの」に注意する
②揺れが収まったら、電源ブレーカーを落とし、ガスボンベのバルブを閉めるなど、自宅の出火防止を行う
③火を使用していても、すぐに大きな火事にはならない。揺れが収まってから落ち着いて消火する
④屋外に避難するため出口を確保する。万が一、大きな揺れで出入り口が変形しているときは、次の揺れを利用して開けてみる
⑤履物を確保する。無ければ、新聞紙・段ボール・布などを足に巻いて避難する
⑥看板の落下、ガラス破片の落下、ブロック塀倒壊の心配のない広場に避難する。たとえ避難の途中であっても、上記のような場所に近づかない
⑦エレベーターは地震で停止するおそれがあるため、階段を使用する。階段では転げ落ちないよう壁に身をよせて避難する
⑧万が一、建物・家具などに挟まれたら、助けを待つことになる。大声を出すと体力を消耗してしまうので、周囲の家具などをたたいて居場所を知らせる。飲まず食わずで、人間が生きられる限界は72時間といわれているので、極力体力の消耗を控える
⑨車は広い場所や、道路の左側に寄せて駐車する。避難のため車から離れる際は、緊急車両通行時に移動できるよう、キーを付けたままにしておく
ながどう・まさみ/NPO法人防災サポート沖縄理事長、元沖縄市消防長 098-923-4442
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1765号・2019年11月1日紙面から掲載