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2019年10月18日更新

公私に求める質 年齢・環境で変化|ロンドン住まい探訪[7]

文・比嘉俊一

▼勤務時代の住まい(ノースロンドン)


勤務時代のマンション外観。住んでいたのは3階。部屋ごとで所有者(オーナー)が異なる物件だった


▼学生時代の住まい(イーストロンドン)

勤務時代と学生時代で住まいを比べると、プライベート空間(図面内青色部分)と共有空間(黄色部分)の広さに違いがあったのが一目瞭然だ。部屋の広さの配分は、同居人らと共有する空間・時間と、個室で過ごす時間といった生活のバランスに表れていたように思う


ノースロンドンでの勤務時代③
シェアする楽しさが充実感に
ノースロンドン・Stoke Newingtonでの住まいは、マンションの1室(2LDK)を英国人の社会人とフラットシェア(ルームシェア)した。ロンドンは家賃が高く個人で1室を賃借するには経済的負担が大きいことは背景としてもちろんあったが、学生時代よりも英語力をより向上させたい気持ちと、それ以上に人種や価値観の異なる人と住まいを共にする生活への刺激と楽しさを求めていた。私の場合は、同居人となんとなく相性が合えば、年齢や国籍の違いはあまり大きな問題にはならなかった。また、学生から社会人へと環境が変わり少し落ち着いた環境で暮らしたいという気持ちの変化もあって、2人暮らしはちょうど良い変化であった。

学生時代を過ごしたイーストロンドンの住まいと比べて、私の個室はベッドスペースが多少狭くなったものの、トイレとシャワールームが備え付けられていた。5人でキッチン・トイレ・バスルームを共有した以前と比べると、プライベートな空間はかなり充実していた=図面。また、大きめのソファが備え付けられたリビングとダイニングも以前の住まいにはなかったスペースで、金曜の夜に同居人とビール片手に映画を見たり、別フロアの住人や友人と集まって食事をする楽しい空間であった。学生時代は作業スペースの優先順位が高かったこともあり共有部の充実より部屋の広さを求めたが、社会人になると個人の部屋の広さより共有部の充実のほうにシフトしていた。年齢や環境によって個人で過ごす空間と共有する空間に求める広さやバランスが変わり、それらは誰かと暮らして共有(シェア)する楽しさへとつながっていった。「住まいのシェア」は新しい住まい方としての可能性が大いに広がるように思う。

同じマンション内でヤドカリ
私個人的には少し変わった「住まいのシェア」も経験した。ある日の仕事帰り、借りていた部屋の玄関扉の鍵が開かなくなった。部屋の所有者の支払いが滞り、部屋が差し押さえられ、結果的には同居人ともども強制退去となった。家無し子である。途方に暮れるとはまさにこの状況を指すのだろうと思うが、普段から仲の良かったマンションの住人に声を掛けてもらえ、部屋が決まるまでの数週間はヤドカリのように一つのマンションの中で住まいを転々とした。今でも忘れられない「住まいのシェア」である。



借りていた部屋のリビング。家具などは全てオーナー側が準備していたため、同居人と2人で住むには何の問題もなかった



同じマンション知人宅にてクリスマスディナー。料理やワインを持ち寄りワイワイと。12月25日は公共交通機関がほとんど動かないため、家族や仲間内と過ごすのが一般的。クリスマスホリデーは20日頃から休みに入り、日本のような正月休みはないものの、1年で最も長い休みだった
 

 

ひが・しゅんいち/1980年生まれ。読谷村出身。琉球大学工学部卒業後、2005年に渡英。ロンドンでの大学、設計事務所勤務を経て、16年に建築設計事務所アトリエセグエを設立。住み継がれる建築を目指す

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1763号・2019年10月18日紙面から掲載

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