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沖縄建築賞

2018年11月23日更新

From沖縄建築賞[4]

県内の優れた建造物・建築士を表彰する「沖縄建築賞」(主催・同実行委員会)。当連載では、入賞作品発表時に掲載し切れなかった詳細部分について紹介する。今回は、第4回入賞作品の中から、住宅部門奨励賞を受賞した根路銘安史さん設計の「知念の家」と、一般建築部門奨励賞を受賞した前田慎さん設計の「愛和保育園」を取り上げる。

沖縄建築賞

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第4回(2018年)住宅部門奨励賞
知念の家 根路銘安史/アトリエ ネロ

垂木に足場板 家中結ぶ屋根

根路銘安史さんが設計した平屋「知念の家」は、基礎から柱までは鉄筋コンクリート造、屋根は木造の混構造だ。

大きな屋根の骨組みに使っているのは足場板。2枚で1枚を挟み込むようにしてつなげたものを並べており、接合部で折れ曲がった骨組みが連なる独特な表情を生んでいる。上からガルバリウム鋼板で覆い建物全体を覆った。

そのため室内=下平面図=は、沖縄の伝統的な住宅のような間取りで仕切られているものの天井部分で全体がつながる。声で家族の気配を感じやすくするだけでなく、熱気を効率よく逃がす役割もあるという。

傾斜のある地面と基礎との接地面積は、周囲の地形や風景となじませるため最小限に抑えた=下断面図。そこから四方にスラブを伸ばし窓で囲むことで、通風を確保し、外と内との緩衝体とした。

審査委員は「畑を耕し、ヤギを養う施主家族の、オープンなライフスタイルに合った住まい」として評価した。

平面図


▲施主の母の実家をイメージし、間取りは沖縄の伝統的な民家形式に

断面図

▲傾斜地のため、基礎と地面との接地面を最小限にし、地形の連続性や近隣との交流を図った。建物の表側は浮いたようにスラブが伸びているため、土間からの眺めが良いだけでなく、地面との間は物置きとして利用できる


足場板を接いだものをいくつも並べた屋根の骨組み



ガルバリウム鋼板で覆い完成した屋根。屋根で受け止めた雨水は集められ、畑の散水などに使える



二番座から、土間・一番座を見る。室内から屋根の骨組みが見えるようになっている




▲スラブが伸びた部分を利用した土間(上)と裏座。窓を両方とも開けると土間側から入ってくる風が、裏座側へと抜けていく。施主は「エアコンがいらないくらい涼しい」と話す



第4回(2018年)一般建築部門奨励賞
愛和保育園 前田慎/アアキ前田(株)


既存建材で顔 新工法を提案
2階部分の外壁をぐるりと覆う、数千個もの花ブロックが目を引く「愛和保育園」。40年前からある園舎の建て替えということもあり、建築士の前田慎さんは「昔からある県産建材で、なじみ深いデザインの花ブロックを使った」。

大々的に花ブロックを使用するに当たり、前田さんは固定するためのフレームから設計。表からはフレームが見えないようにした。審査では「風が通って涼しいし、デザイン的にも良い」と、既存の建材による新デザインの工法の提案に注目が集まった。

「子どもたちが自由に絵本を読めるように」という施主の要望に対しては、1階廊下に絵本棚を並べて「絵本通り」とし、一角に読み聞かせの丘を設置。絵本との距離が近く、好きなときに好きな体勢で読めるようにした。

また、将来的に地域に開くことも想定されていたことから、2階は可動式の仕切りを設置。広さを変えられるように工夫した点も評価された。



▲裏側から見た花ブロック。きれいに並んだフレームに、花ブロックがはめ込まれているのが分かる


▲製作中のフレーム。設計も前田さんが手掛けた


▲絵本棚が並ぶ「絵本通り」(写真左)と「読み聞かせの丘」。座ったり寝ころんだり、小さな空間にこもったりと、好きな体勢で本を読める


▲戸で仕切った、普段の保育室の様子
                     

▲各保育室の戸を開け放ち、ホールとして使っている様子


▲2階から1階をのぞける窓。子どもたちの好奇心を育てる

国内外で5つの賞
愛和保育園は国内外で高く評価され、沖縄建築賞一般建築部門奨励賞を含めて合計五つの賞を受賞した。沖縄建築賞以外の賞は以下の通り。
・ K-DESIGN AWARD' 18/WINNER(韓国のデザイン賞)
・キッズデザイン賞/子どもたちを生み育てやすいデザイン部門(主催・キッズデザイン協議会)
・日事連建築賞/一般建築部門奨励賞(主催・日本建築士事務所協会連合会)
・The Architecture MasterPrize/教育建築部門奨励賞(アメリカの建築賞)
 

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1716号・2018年11月23日紙面から掲載

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