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2017年11月17日更新

考えよう!沖縄の省エネ住宅[04]|沖縄独自の省エネ基準を「省エネ住宅基準 その実態は②」

文・松田まり子/「建築物省エネ法」施行に伴い、沖縄で住まい造りを考える上で知っておきたい点を、NPO蒸暑地域住まいの研究会の松田まり子さんにつづってもらう

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省エネ住宅基準 その実態は②

沖縄独自の省エネ基準を

県内住宅の実態を調査

今年3月から10月までの期間、沖縄県土木建築部では「沖縄らしい気候風土適応住宅形成事業」を行いました。その事業では、昨年、建築物省エネ法が施行されたことを踏まえて、沖縄における住宅の実態調査や省エネ基準の適合状況、課題の整理等を行い、最終的には「沖縄らしい気候風土適応住宅認定基準案」を策定する目的がありました。

事業当初、調査を進めるにあたってさまざまな疑問や課題にぶつかりました。基準を満たさない住宅は本当に省エネではないのか?外皮基準に合わせるために費用を追加して施工することは意味があるのか? 費用対効果は一体どうなっているのだろうか。基準値ってそもそもなんだろう。

産官学一体となった専門委員会を開催し、仕様や工法について検証、協議を行い認定基準案の構想について検討を重ねました。

また県建築士会、県建築士事務所協会、日本建築家協会沖縄支部の建築3団体を中心に実際設計を行っている住宅設計者を募り「沖縄らしい気候風土適応住宅を考える会」を全3回にわたって開催しました。この考える会では、設計者自ら実際今設計している案件や過去に設計した住宅の省エネ基準計算を行って実情を把握し、沖縄らしい認定基準とはどうあるべきなのかなど、ディスカッションを行いました。

基地内にある住宅で使われている花ブロック。
基地内にある住宅で使われている花ブロック。
屋上緑化された宜野湾市の住宅。芝を張り、草木も植えられている
屋上緑化された宜野湾市の住宅。芝を張り、草木も植えられている

 

屋上緑化 省エネには不利?

省エネ基準をさらに分析していくと、実際に現場で行っている日射遮へい技術の多くは、現行の省エネ基準では評価されていない、もしくは逆に不利に評価されてしまうことが分かりました。

例えば、屋上緑化は断熱の効果があるなどと認識されることが多いですが、実際は水分を含んだ土壌はコンクリートの熱伝導率と変わらないかそれよりも大きくなるので、断熱効果という点では外皮基準の計算では無断熱のコンクリートと同等以下とされます。一方で屋上緑化は、植物や地盤からの蒸発散作用に伴う潜熱を利用する事により屋根面温度の上昇を抑制する効果があります。また、植物による影や葉による日射反射(もしくは日射吸収)にも省エネ効果があるのではないかと想定はできるものの、その評価法はまだ確立されていません。同様に外壁に影をつくる花ブロックの評価もまだ確立されていないので、評価できていません。本土とは、気候も風土も大きく異なる沖縄では独自の認定基準が必要なのかもしれません。今後、沖縄の省エネ技術である日射遮へい効果の評価法をさらに深く掘り下げていく必要があります。

次回は「沖縄の省エネ住宅とはどうあるべきか」、いち早く課題に取り組み、実際に宮古島でエコハウスの設計を行った伊志嶺敏子さんにお話を伺ってみましょう。


「沖縄らしい気候風土適応住宅を考える会」のポスター
「沖縄らしい気候風土適応住宅を考える会」のポスター
 


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1663号・2017年11月17日紙面から掲載

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