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2016年6月3日更新

健康・美化活動で地域再生【南城市つきしろ自治会】|共に支える地域のチカラ②

「ゴーストタウン」と風評されたまちを、住民主導の地域づくりで活性化し、2013年に「地域づくり総理大臣表彰」を受賞。県内外から注目を集める「つきしろ自治会」を訪ねた。

空き地が多く、常に管理しないと草ボーボーになって、不法投棄などで困ります。

南城市つきしろは、1975年に民間企業が造成、開発した住宅地で、かつての佐敷町、知念村、玉城村にまたがる高台にある。800区画のうち実際に家が建っているのは半数で、空き地の地権者のほとんどは本土在住だ。
以前は、住民間の結束が弱く、放置された空き地は草木が生い茂り、不法投棄が常態化するなどの課題があった。つきしろ自治会では地域の一体感と住民同士の信頼関係を築こうと、8年前から健康づくりを軸とした地域づくりを進めた。健康づくり推進部を発足し、各戸を訪問。特定健診受診を呼び掛け、『健康NEWS』を毎月発行、医師を招いた講演会も開き啓発活動に取り組んだ。
その結果、特定健診受診率は、12%(2007年)から65%(2011年)に向上。新城辰夫自治会長(76)は、「子どもと一緒に家族で参加できる講習会やイベントを開くことで、働き盛りの受診率も上がった。他の地域活動への参加も増え、公民館へ気軽に足を運んでもらえるようになった」と喜ぶ。

自助努力が成功の鍵
自治会の理念は、「自分たちでできることは、自分たちで成し遂げる」こと。地権者の了解を得た空き地は自治会が管理を請け負い、契約を交わした住民が日常的に担当区画を美化整備している。新城会長は、「この方法だと各自の体力、タイミングで無理なく作業ができる。草ボーボーだった土地が四季折々の花で人々の目を和ませる場所に変わり、不法投棄はなくなった」と話す。
県道・市道沿いの美化活動や倒木の撤去作業も住民が積極的に行う。環境の維持管理に掛かる費用捻出のため、新城会長は行政や企業の助成金申請に奔走している。「行政任せにすると時間がかかる。住民の安心・安全を守るためには、地域づくりは自助努力の意識が大事」と力を込めた。

◆ ◆ ◆
地域づくりに取り組む自治会の思いに動かされた約20団体が、同地域の開発を目的に結束。2011年から民間独自の「つきしろ共同企業体」が発足した。新開発プロジェクトでまちは活気を見せる。認可保育園も建設中で、住民の地域づくりにかける熱い思いが波及し、未来への架け橋となっている。


つきしろ公民館で、毎週活動している太極拳サークルの皆さん。「腰痛がなくなった」「足腰が強くなり、かがめるようになった」と笑顔で話す=5月25日、南城市つきしろ公民館


つきしろ展望台から集落を見渡す。400区画に約1190人が住む


つきしろでは住民が主体的に環境美化活動に参加している


つきしろ自治会長  新城辰夫さん(76)


Q. 「健康NEWS」の内容は?
A. 新城  2008年から毎月発行している「健康NEWS」は、6月で97号を数えます。健康づくり推進部から行事のお知らせや特定健診の案内などのほか、住民の健康長寿に役立つと思う情報を、私が文章にまとめて紹介しています。

Q. 住民の健康づくりの取り組みは?
A. 新城  公民館では、平日早朝にラジオ体操を行っているほか、空手、太極拳、フラダンス、民踊、ボディーメークなどのサークルが毎週活動しています。つきしろは人口の28%が高齢者ですが、今後も「日本一元気で、魅力あるまちづくり」を進めていけたらと思います。
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1587号・2016年6月3日紙面から掲載
 

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