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2025年3月21日更新
ルールの中でおしゃれ 色・柄・形に地域性も|ラグの世界⑬
イランやトルコなどの中東で手織りされるラグを取り扱う那覇市西の「Layout(レイアウト)」のバイヤー、平井香さんによるラグ買い付け旅記。今回はイラン女性のファッションについて。イスラームの国は女性のファッションにルールがあるが、その中でも地域性や個性があり、女性たちはおしゃれを楽しんでいる。

エピソード⑬ 番外編・イラン女性のファッション
イランの女性は、頭からつま先まで真っ黒な服を纏(まと)っているというイメージがあるようだ。
いざ、イランへ行ってみると確かにルールはあるものの、女性たちはその中でおしゃれを楽しんでいた。そして、みんなが真っ黒なわけでもない。
イランでは、女性が頭に巻くスカーフをヘジャーブ、頭から体まで全身を覆う大きな布はチャードルと呼ぶ。黒い布を纏う女性たちはこのチャードルを身に着けている。1枚の布なので手で押さえている必要があり私はまだうまく着こなせないが、いつかかっこよくチャードルを纏ってバザールを歩きたい。
いざ、イランへ行ってみると確かにルールはあるものの、女性たちはその中でおしゃれを楽しんでいた。そして、みんなが真っ黒なわけでもない。
イランでは、女性が頭に巻くスカーフをヘジャーブ、頭から体まで全身を覆う大きな布はチャードルと呼ぶ。黒い布を纏う女性たちはこのチャードルを身に着けている。1枚の布なので手で押さえている必要があり私はまだうまく着こなせないが、いつかかっこよくチャードルを纏ってバザールを歩きたい。

トルクメンの女性たちのファッション。頭に巻くスカーフの形が三角形なのが特徴
遊牧民の黒いヤギの毛で織られた伝統的なテントも「スィアード チャードル(直訳で黒いテント)」と言い、本来テントという意味がある。比較的大きな都市では、黒いチャードルを纏った女性と現代的な洋服を着ている女性とどちらも見られるが、少しローカルな町や村へ行くと様子が変わってくる。多民族国家だからこそ、たくさんのラグがあるように女性のファッションもそれぞれだ。

全身を黒い布「チャードル」で覆った女性たち
意外と多種多様!
私が出逢ったラグにまつわる女性たちのファッションを紹介したい。
南部に暮らすカシュガイの女性は華やかだ。特別な時に着る伝統的な民族衣装は、スリットの入ったワンピースにボリュームのあるロングスカート。普段もカラフルなスカートや柄がしっかりと入ったものを着ている女性を多く見かける。

ちょっと特別な時に着るカシュガイ遊牧民の伝統衣装

普段の格好のカシュガイ遊牧民の女性

普段の格好のカシュガイ遊牧民の女性
東部のバルーチの女性はモノトーンや落ち着いた印象。だが、スカーフをアクセントにしたり、柄ものを合わせたりするファッションも得意。洋服の上からチャードルを纏うことも。

イラン東部バルーチの女性はシックな色合わせ
北東部に暮らすトルクメンのファッションは女性らしさがある。少しタイトなワンピースに大きな正方形を三角に折って頭に巻く。私はこのトルクメンスタイルのスカーフがお気に入り。三角頭巾のように被り、顎の下できゅっと端を結ぶと、下を向いてラグを見るときにずり落ちず集中できる。
旅行者も例外なく
外国人旅行者でも女性はスカーフが必須。飛行機が着陸すると機内の女性たちはスカーフを頭に巻きはじめる。私もこの瞬間に「よし!」と気合が入る。
そして大ざっぱな性格ゆえに、スカーフのおかげで毎日髪形を気にしないで過ごせることが実はとてもうれしい。
その土地の人たちのことを知りたいという気持ちと尊敬する気持ちを体現するのに、ファッションは大切な一つの要素だ。そして、ファッションもラグと同じように人々の暮らしに密接に関わっている。ラグを紐解くヒントがそこにあるのかもしれない。

執筆者/ひらい・かおり
ラグ専門店Layout バイヤー
那覇市西2-2-1
電話=098・975・9798
https://shop.layout.casa
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2046号・2025年03月21日紙面から掲載