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2025年1月31日更新
[蛇スポット]今年の主役 大小さまざま|残波岬公園・福州園・屋良ムルチ
今年は巳(み)年。「再生」や「復活」の象徴とされているヘビは縁起のよい動物として知られている。今回はヘビの壁画、彫刻、伝説がある場所を調べた。写真を撮りに行ってみては。
蛇スポット
今年の主役 大小さまざま
今年は巳(み)年。「再生」や「復活」の象徴とされているヘビは縁起のよい動物として知られている。今回はヘビの壁画、彫刻、伝説がある場所を調べた。写真を撮りに行ってみては。 残波岬公園(読谷村)
公園を見守る18メートルのヘビの壁画
公園を見守る18メートルのヘビの壁画

ヘビの胴体にはウサギやイルカなどの動物も描かれている。壁画の大きさは、手前にあるブランコと比較するとわかりやすいだろう
読 谷村にある残波岬公園には長さ18メートルもある巨大なヘビの壁画が存在する。この壁画は、前回の巳年の2013年に読谷高校の美術部員が3日かけて制作したもので、壁面はかつて園内を走っていたサイクル列車の倉庫を利用したそうだ。裏側には、県出身のアーティスト「MONGOL800」が自身のミュージックビデオの撮影のために描いた壁画もある。
公園の近くの残波岬には高さ30メートルの断崖が連なる雄大な景観が楽しめるほかにも、上まで登ることができる高さ31メートルの残波岬灯台、きれいに舗装された遊歩道など観光スポットがあり、大人から子どもまで楽しめる場所だ。

裏は、MONGOL800がアミュプラザおおいた2周年「とどけ2017」のテーマソングとして制作した楽曲「宝物」のMVで実際に使用した壁画

残波岬公園には遊具以外にも巨大なシーサー「残波大獅子」や、かつて中国に荷物を運んでいた船である進貢船(しんこうせん)を模した展望台などもあった
住所:読谷村宇座1233
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福州園(那覇市)
万寿橋を彩る十二支の彫刻

欄干にある石造のヘビの彫刻。高さは20㌢ほど。今年は巳年だからだろうか、ヘビに一番お金が置かれていた
那 覇市にある福州園は中国福州地方独特の伝統的手法を用いた庭園で、園内は樹木や草花が景観を演出し、一周することで四季を感じさせるつくりとなっている。
石造の彫刻が数多く配置されているのも福州園の魅力の一つ。上の写真のヘビの彫刻は、万寿橋の欄干に飾られたもの。この橋にはほかにも十二支の動物全ての彫刻が飾られている。

平坦な万寿橋からは小川の流れと静かな池の風景を楽しめる
住所:那覇市久米2-29-19 電話:098-943-6078 ※観覧料が必要
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屋良ムルチ(嘉手納町)
今も伝わる「大蛇伝説」がある池

石碑には「ムロキノ獄 神名 アキミウハリ ミウノ御イベ」と刻まれていた。「イベ(イビ)」とは、神聖な石やその場所で最も神聖な場所を意味するそうだ
屋 良ムルチは比謝川の上流、嘉手納町と沖縄市の境にある池。1934年の観測によると715坪ほどあったそうだが、戦後埋め立てられ現在は約半分ほどとなっている。
この場所には大蛇伝説が伝わっている。さまざまな言い伝えがあるが、おおよその流れは「かつてムルチ(漏池)には大蛇が住んでおり、干ばつや暴風を引き起こし村人や王を困らせていた。大蛇を静めるにはいけにえとして若い娘を差し出す必要があるとユタが言う。そこで王は、『いけにえになった者には褒美を出す』と立て札を立て、募集をかけた。それを見た貧しい暮らしをしていた娘は、親の病気を治す薬代のため、いけにえとなることを決意し池に向かった。それを見ていた神様がいけにえの儀式の最中に現れ、大蛇を退治し娘を助けた。それを聞いて喜んだ王から褒美をもらい、娘は幸せに暮らした」だそう。
現在も、屋良集落では祭事として村の繁栄と豊作を祈願する「ムルチ祈願」が行われているという。

石碑の奥に広がっている池。流れもほとんど無く水が濁っており、いかにも大蛇が現れそうな雰囲気だった

入口は立て看板が目印
住所:嘉手納町東621
取材/伊波克朗
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」
第2039号・2025年01月31日紙面から掲載