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2024年12月6日更新
「お出かけ動線」に置き場所を作る、持ち物リストを貼るなど|うっかり忘れ物! を防ぐ住まいの工夫|家と心理㉝
空間デザイン心理士Ⓡで一級建築士。2児の母でもある、まえうみ・さきこさんが、空間を心理的に解析する。今回は忘れ物を防ぐ住まいの工夫を伝授。外出などが増え、慌ただしい年末だが「外出時・帰宅時に通る場所に物の置き場所を作りましょう」とアドバイスする。
「お出かけ動線」に置き場所を作る、持ち物リストを貼るなど
うっかり忘れ物! を防ぐ住まいの工夫
財布、定期入れ、スマートフォン、家の鍵など、つい忘れて家を出てしまうことありませんか?
また、どこに置いたか忘れてしまって、外出前に探すのが大変! という人も少なくないと思います。そんな、うっかり忘れ物を防ぐための住まいの工夫を紹介します。
忘れ物が多い人の特徴
①物の置き場所・定位置が決まっていない
②あちこちに物を「ちょい置き」しがち
③置き場所が決まっているのに、そこに置かない
④外出時に持って行くものを確認しない
⑤外出時の持ち物が多い
玄関などを物の定位置に
忘れ物が多い人の帰宅後の行動は、カバン・スマホ・財布・メガネなどをあちこちに置いてしまう上、その置き場所が日によってバラバラになりがちです。そのため、翌日出かける際に持っていくのを忘れたり、探す手間が掛かったりするのです。 忘れ物を防ぐためのポイントはたった二つです。
シューズクローゼット内に物の置き場所を作った例。物別でボックスに収納し、誰でも中身がわかるよう、箱にラベルを貼っている
①お出かけ動線(外出時・帰宅時に歩くルート)を意識して物の置き場を決める
例えば「玄関」「玄関とリビングをつなぐ廊下」「リビングダイニング」など、外出時や帰宅時に必ず通って、目に付くところに物の定位置を作りましょう。最初は強く意識してそこに置くようにすると、次第に習慣化されて無意識に定位置化できるようになります。
これから新築やリフォームを予定している場合は、お出かけ動線上に物の定位置を計画しておきましょう。そこでスマホの充電などもできるよう、コンセントも設置しておくと便利ですよ。
賃貸住宅などスペースが限られている場合は、壁面収納を活用しましょう。市販の壁面収納家具や奥行きの浅い棚、突っ張り棚を利用して作ります。フックやマグネットを使えば、小物を効率的に収納できます。
反対に、広い玄関の場合は、ベンチ付きの収納家具を取り入れるのもおススメです。座りながら靴を履けるだけでなく、靴やバッグの置き場にもなります。
基本的に定位置の場所は、お出かけ動線上が良いのですが、スマホやメガネなど、寝る前に寝室で使う頻度の高い物の場合、寝室のドアの脇など、必ず目に付くところにまとめて置ける場所を作るのもおススメです。
バッグの中身が多い人や、毎日のようにバッグを変えるような人は、持ち物をリスト化して玄関ドアや目に付く壁に貼っておこう。 リストを作る際、「文字認知タイプ」なら、持ち物メモを必ず目に触れる壁や玄関ドアに貼り付けておく(右)。「画像認知タイプ」なら、持ち物を撮影した写真リストをドアに貼り付けたり(左)、携帯の待ち受け画面にしておくといつでも忘れ物チェックができて便利
②「見える化」する
また、忘れ物を防ぐには、「見える化」がとても有効です。透明な収納ケースやオープンシェルフを活用することで、必要なものが一目で分かります。さらに、玄関にホワイトボードや掲示板を設置して、家族全員で必要なものや予定を共有するのも手です。「6日はお弁当を持っていく!」といった一言を記載しておくと、さらに安心です。
また、持ち物をリストにして見える化するのもオススメです。特に持ち物が多い人は、管理の手間がかかり、忘れ物も多くなってしまうようです。人間が同時に覚えていられる物の数は多くても7個くらいだそうです。持ち物が8個以上なら、持ち物リストをつくると忘れ物防止に役立ちます。
リスト化する際に考慮する必要があるのが認知特性です。人は「文字」で物を認知しやすいタイプと、「画像」で認知しやすいタイプに分かれるそうです。文字タイプは箇条書きのリストを作成する、画像タイプは写真を撮るなど、自分が認知しやすい方法でリストをつくりましょう。
ほかにも、その日だけ確実に持って行かなければならない物があるなら、それを玄関ドアに貼り付けたりドアノブにぶら下げたり、靴の中に入れておくという方法もあります。
空間デザイン心理士Ⓡまえうみ的ポイント
種類別で玄関に収納&帰宅後に外す物は一つの引き出しに
外出時に必要なアイテムは種類別に分けて、玄関に収納するのがおすすめ(左イラスト)。例えば、マスクやティッシュ、ハンカチなどは衛生グッズゾーンに。傘やレインコートは天候対応ゾーンにまとめて収納しておくと取り出しやすく、探す時間も短縮できる。
またカバンをよく変える人は、物を一度カバンから出して引き出しに並べるのも手(右イラスト)。時計やアクセサリーなどもそこに置くようにすれば、帰宅後の作業が1カ所で済み、翌日の身支度の時短にもなる
いかがでしたでしたか? 住まいをちょっと工夫することで、忘れ物は予防できます。 忘れ物をしたときの不便さやストレスから解放されるだけでなく、忙しい朝に余裕ができたり、毎日の生活がスムーズになると思います。ぜひお試しくださいね!
[文・イラスト]
まえうみ・さきこ/1976年、嘉手納町出身。建築会社に20年勤務したのち、2021年6月に「ielie(イエリエ)」を設立。建築の知識やママの経験を生かして、住まいの悩みに応じたコンサルティングやインテリアコーディネートを行う。一級建築士、空間デザイン心理士®、夫、2人の子ども、猫2匹で暮らす。
http://ielie.net
第2031号・2024年12月06日紙面から掲載