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2024年9月6日更新

カギは①動線②作業スペース③収納|時短化キッチンの3ポイント|家と心理㉚

空間デザイン心理士Ⓡで、一級建築士。2児の母でもある、まえうみ・さきこさんが空間を心理的に解析。今回は料理の時短をかなえるキッチンのレイアウトについて説明します。

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カギは①動線②作業スペース③収納
時短化キッチンの3ポイント

仕事・家事・育児と毎日が目まぐるしく忙しい現代人に「時短」は必須です。一つ一つの作業時間を短くして暮らしの負担を減らすこつを、共働き夫婦でもある私の経験も踏まえて紹介します。

今回はキッチン編。料理の時短には、まずキッチンのレイアウトを整えることが大切です。


 

 1.流れるような作業動線  

キッチンの理想的な動線は、コンロとシンクと冷蔵庫が三角形に結ばれた「ワークトライアングル」。一般的にシンクとコンロの間は120㌢から180㌢、シンクと冷蔵庫間の距離は120㌢~210㌢、コンロと冷蔵庫の距離は120㌢~270㌢が理想的です
 


 2.作業スペースの確保   

料理をスムーズに進めるには十分な作業スペースがあることが大切。調理台やカウンターは料理の盛り付けなどに不可欠です

 

 3.機能的な収納      

調理器具や食材、調味料などがすぐに出し入れできる機能的な収納計画も重要です。引き出し式の食器棚やオープン棚は必要な物がどこにあるか分かりやすく、サッと取り出せます。また、吊り下げ式の収納ラックや隙間を活用したスライド収納などを使うことでデッドスペースを活用し、収納効率を上げることができます
 
 

①流れるような作業動線(ワークトライアングル)
キッチンの動線は、調理時間に大きく影響します。食材の準備から調理、盛り付け、そして片付けまでの一連の作業がスムーズに進むのが理想的です。

例えば、冷蔵庫から食材を取り出してシンクで洗い、調理台で切って、コンロで調理するという一連の作業が直線的に行えるように配置すると作業時間が短縮されます。

理想的な動線が「ワークトライアングル」です。コンロ、シンク、冷蔵庫を三角形に結んだ動線です。一般的にはシンクとコンロの間は120㌢から180㌢、シンクと冷蔵庫間の距離は120㌢から210㌢、コンロと冷蔵庫の距離は120㌢から270㌢が理想的と言われています。動線が長いとムダな動きが増え、短過ぎても収納や作業スペースが不足することもあります。

また、電子レンジやオーブンなどの調理家電は腰の高さに置くことでしゃがんだり立ち上がったりなどの動きが省けます。

対面キッチンも時短が期待できます=下図参照。調理をしながら家族と会話をしたり、食卓に料理を出したり片付けたりできるので、時間の節約になります。



●対面キッチンも時短に




対面キッチンは調理をしながら家族とコミュニケーションが取れ、時短が期待できます。ダイニングとの距離が近く、料理をしながら食事を出したり、片付けをしたりと効率的に動けます。壁付けのキッチンの場合は、ダイニングとの間に市販のカウンターなどを置いて対面キッチン風にするという手もあります。作業スペースも増えるので料理の効率アップにつながります



②作業スペースの確保&使うモノは使う所にしまう

料理をスムーズに進めるためには、十分な作業スペースを確保することも重要です。調理台やカウンターは、食材の準備や盛り付けに不可欠。このスペースが狭過ぎると、作業が窮屈になり、時間がかかってしまいます。

広い作業スペースを確保することに加えて、作業時に使う器具や食材は、すぐ手が届く場所に配置することで効率がよりアップします。


③機能的な収納
パントリー(食品庫)などの収納計画もキッチンの時短において欠かせない要素です。また、ものが探しやすく、サッと出し入れできる機能的な収納を設けましょう。オープンな棚や引き出し式の食器棚は中が見やすく、物の出し入れもしやすいので時短につながります。

さらに、ラベルを使って食材や調味料の収納場所を明確にすることも、探す手間を省き作業時間を短縮することができます。
 
◆  ◆  ◆  ◆  ◆

いかがでしたでしょうか?料理の時短は、料理の腕以外でもレイアウトでかなえられます。日々の暮らしの負担を減らして、大切な家族との時間や充実のひとり時間をたくさんつくりましょう!



●そのほかの時短術


★献立をあらかじめ決めて、買い物を時短
1週間分のメニューをあらかじめ考え、食材をまとめて買っておいたり、曜日ごとに肉・魚とメイン食材を決めておいたりすれば、献立を考える時間を短くできます。

栄養を考慮したメニューを、ルーティン化するのもおすすめです。例えば朝は、ご飯・納豆・卵・みそ汁と固定化するとだいぶラクですよ。


★食材をまとめて下処理、冷凍保存
買ってきた食材をまとめて切って小分けにして冷凍しておけば、まな板を洗う手間や食材の出し入れにかかる時間を短縮できます。仕事で疲れて帰ってきても、後は焼くだけ、炒めるだけの状態だと便利ですよね。


★加工済み食材・冷凍食材を活用
加工済み食材の活用も時短になります。切り干し大根やスライスされた干ししいたけは、汁物にすれば水で戻さなくても使えます。冷凍野菜や冷凍食材もカットする手間が省け、食べる分だけ使えてコストパフォーマンスも◎。


★ワンプレートにする&鍋を食器として使う
ワンプレートに盛り付けると、洗い物が少なく済みます。最近は、そのまま食卓に出せるタイプのフライパンも多く登場しています。


★時短家電やキッチングッズを活用
電子レンジ調理は手軽で早い上、洗い物が減らせます。人気の自動調理鍋や炊飯器も、ほったらかし調理ができて便利。予約タイマー機能で、帰宅したらすでにできているのもありがたいです。

また、キッチンバサミで食材を切ったり、フリーザーパックに食材や調味料を入れて振り混ぜたりと、ラクに仕込む工夫もいろいろあります。


 
まえうみさきこ
[文・イラスト]
まえうみ・さきこ/1976年、嘉手納町出身。建築会社に20年勤務したのち、2021年6月に「ielie(イエリエ)」を設立。建築の知識やママの経験を生かして、住まいの悩みに応じたコンサルティングやインテリアコーディネートを行う。一級建築士、空間デザイン心理士®、夫、2人の子ども、猫2匹で暮らす。
http://ielie.net


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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2018号・2024年09月06日紙面から掲載

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