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2024年10月4日更新

リビングや寝室の一角、クローゼットなどに|自分だけの居場所(なわばり)つくる|家と心理㉛

空間デザイン心理士Ⓡで、一級建築士。2児の母でもある、まえうみ・さきこさんが空間を心理的に解析。今回は自分だけの場所「なわばり」の大切さ、確保の仕方を紹介します。

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リビングや寝室の一角、クローゼットなどに
自分だけの居場所(なわばり)つくる

心理学的に住まいの中で大事だと考えている空間が二つあります。

一つは「家族のコミュニケーションがとりやすい空間」。もう一つは「自分だけの空間」です。

仕事・家事・育児と、何かと忙しい現代人にとって、1人になれる時間や好きなことに集中できる時間は、ものすごく大切です。その時間を確保するために必要なのは、1人になれる環境(空間)を整えることです。

「自分だけの空間」には自分の物だけが置かれ、自分だけが自由にコントロールできます。そして家族全員が、その場所をその人の場所と認識しています。そうした誰にも侵されることのない、自分だけの空間にいると安心できるはずです。

逆に、家の中に自分がコントロールできる場所が一切ないと、ものすごくストレスが掛かります。これは人間の本能である「なわばり(テリトリー)」の心理です。人間は野生動物から進化してきました。なので、私たちの無意識の行動には野生の本能が残っています。

例えば、花火大会や図書館で、場所取りのために自分の物を置いておく、という行為も「なわばり」行動です。


家族も触れない空間を
居場所は、必ずしも個室や書斎ではなく、一人掛けのソファでも良いのです。「自分だけがコントロールできる場所」がポイントです。

ダイニングテーブルを自分の空間として使っている人も多いですが、食事のときは自分のモノをどかさないといけませんよね。また、家族がペットボトルなどいろいろなものをテーブルに置きます。それだと自分がコントロールできず、心理的に落ち着かない空間になります。「なわばり」として考えるのであれば、ダイニングテーブルは不向きです。別にきちんと確保することをおすすめします。


押し入れ活用する手も
家の中に自分だけの空間をつくるには、どうしたらいいのでしょうか? 私が手がけた事例から、そのヒントをご紹介します。

まずは、まえうみ家です。

私の居場所は、リビングの一角にあります=下写真。落ち着けるようカラーボックスで囲いました。その分、家族が集う空間は狭くなりましたが、子どもも高学年になり、プライバシーを大切にする時期となったので一人一人の居場所の確保を優先しました。

次にAさん宅。夫婦と子ども3人家族です。コロナ禍で、夫婦ともリビングで仕事をしていたそうですが、ものがあふれて落ち着かないとのこと。そこで寝室や、使っていない押し入れを活用して、それぞれのワークスペースをつくりました。

居場所をつくるのにオススメなのはリビングや寝室の一角です。パーティションや家具などで仕切ると、自分だけの空間が手軽に作れます。Aさん宅のように押し入れやクローゼットの一部を活用する方法もあります。

心の余裕を毎日持つために、「なわばり=あなただけの安心できる居場所」をぜひ作ってみてくださいね!

 

 ケース①まえうみ家 リビングの一角に「居場所」確保 




カラーボックスで仕切る

リビングの一角をカラーボックスで囲って私の居場所(ワークスペース)をつくりました。机は幅140㌢の広々サイズのものにして、半分は子どものスタディスペースとして使っています



 
 ケース②Aさん宅 家族それぞれの居場所を確保 


リビングに子どものモノがあふれ、落ち着かない空間だった



まえうみさきこ
[文・イラスト]

まえうみ・さきこ/1976年、嘉手納町出身。建築会社に20年勤務したのち、2021年6月に「ielie(イエリエ)」を設立。建築の知識やママの経験を生かして、住まいの悩みに応じたコンサルティングやインテリアコーディネートを行う。一級建築士、空間デザイン心理士®、夫、2人の子ども、猫2匹で暮らす。
http://ielie.net


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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2022号・2024年10月4日紙面から掲載

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