特集・企画
2024年8月2日更新
限られたスペースを最大限に活用|多機能家具や壁面収納、デッドスペースの活用など|家と心理㉙
空間デザイン心理士Ⓡで、一級建築士。2児の母でもある、まえうみ・さきこさんが空間を心理的に解析。今回は「家が狭い」とお悩みの方必見。限られた空間を機能的に使う工夫を紹介します。
多機能家具や壁面収納、デッドスペースの活用などで
限られたスペースを最大限に活用
狭さを工夫で払拭
相談の多い住まいの悩みの中に「部屋が狭くて思い通りに過ごせない」というのがあります。その解決方法としては、
・空間を有効活用する
・機能的なアイテムを使う
などが挙げられます。
小さな空間でも、工夫次第で快適で機能的な住まいをつくることができます。今回は「限られたスペースを最大限に活用するインテリア術」の五つのポイントを紹介します。
1.多機能家具を取り入れる
①ソファベッド
ゴロ寝できるソファードロシーⅡ (モーブル社)
昼間はソファ、夜はベッドとして使えるので、リビングルームやゲストルームに最適です。わたしの自宅でもソファベットを取り入れています。
②収納付きベッド
ベッドの下に引き出しや収納スペースがあるタイプは、寝室の収納力を大幅にアップさせます。
③伸縮家具、スタッキング家具、折り畳み家具
伸縮テーブル
スタッキングテーブル
使う人数に応じて伸縮できたり、使用しないときには、折りたたんでコンパクトに収納できたり、重ねて収納できる多機能なテーブルは便利です。伸縮テーブル・バタフライテーブル・ネストテーブルなどがあります。
2.壁は第2の収納スペース
廊下収納
壁に吊り下げ収納を設けたり、マグネット式のパネルを貼ったり、賃貸であれば、キズがつかない突っ張り棒式のラックや有孔ボード(穴のあいたボード)などを活用するのがおススメです。廊下に壁一面の収納スペースを設ける方法も便利です。
3.デッドスペースを活用する
①ソファ下・ダイニング
テーブルの裏にくっつける
ソファ下・ダイニング テーブル下のスペース ソファの下の隙間にボックスを置き、掃除用具、リビングで使用する物を収納すると、すぐに手が届くのでささっと掃除ができます。ダイニングテーブルの下にもティッシュ箱や文具入れを張り付けたり、引き出しを取り付けたりすることができます。テーブルの上もスッキリします。
②キッチンや洗面台などの壁との隙間にスライド棚
冷蔵庫とキッチンシンクの間、洗面台と壁との隙間も有効活用しましょう。タイヤが付いた稼働式のスライド棚だと引き出しやすいです。
③ドアフック、ドアポケット
収納用品を置く場所がないとき、フックを引っかけるだけでドアに収納スペースを作りだしてくれます。おススメの場所は靴箱の扉やキッチンの扉、クローゼットの扉です。靴箱では、傘やスリッパをかけたり、キッチンでは調味料、クローゼットでは普段使いのものをまとめてかけておいたり、翌日の洋服などを用意できたりととても便利な収納場所になります。
4.小さめのパーティションやオープンシェルフを設置
4.小さめのパーティションやオープンシェルフを設置
薄手のカーテン
基本的に空間は仕切らない方が広く感じられます。ただ、境界を設けたい場合などは、小さめのパーティションや抜け感のあるオープンシェルフなどを用いて程よく仕切ることをおすすめします。
5.色使いで広く見せる
白やパステルカラーなどの明るい色を基調にすると、部屋が広く感じられます。逆に黒などの暗い色は、使う場所や面積によって圧迫感を与える場合もあります。
空間無駄なく使う5箇条
1.多機能家具を取り入れる
多機能家具とは、使い方が一つだけでなく、複数の使い方または目的を果たし、スペースを最大活用する家具のことです。
例えばソファベッドは、その名の通りソファとしてもベッドとしても使えます。ほかにも人数に応じて伸縮できるテーブルなどもあります。
2.壁面収納を活用
壁は第2の収納スペースです。床面積を節約しながら収納スペースを確保できます。
壁面収納が活躍する場所は、玄関、廊下、リビング、キッチン、洗面室、トイレなどです。天井までの容量たっぷりの収納棚が作れます。
3.デッドスペースを見つけて有効活用しよう
普段「狭い!」と思っている空間でも、気を付けて見てみると案外、デッドスペースが見つかります。
例えば、テーブルやカウンターの下、ドアの裏、階段下、家具と壁の間など。活用できそうなスペースはないか、家中を探してみましょう!
4.小さめのパーティションやオープンシェルフの活用
基本的に、狭い空間や小さな空間は仕切らずにオープンな空間にするのをおすすめします。
リビングダイニングなども一体にし、間仕切りを減らすことで、空間全体が広く感じられます。もし、空間に境界線をつくりたいという場合は、小さめのパーティションや背面がないオープンシェルフを間に置いてみてください。抜け感があり、程よく空間を仕切ってくれます。
5.カラーコーディネートの工夫
最後に、色の使い方次第で、空間を広く感じさせることができます。
ポイントは、明るい色を選ぶということです。ホワイトやパステルカラーなどの明るい色を基調にすると、部屋が広く感じられます。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
いかがでしたでしょうか?工夫やアイデア次第で住まいは快適になります。便利で機能的なインテリアアイテムがあることを知って、空間に活用してみてください。
[文・イラスト]
まえうみ・さきこ/1976年、嘉手納町出身。建築会社に20年勤務したのち、2021年6月に「ielie(イエリエ)」を設立。建築の知識やママの経験を生かして、住まいの悩みに応じたコンサルティングやインテリアコーディネートを行う。一級建築士、空間デザイン心理士®、夫、2人の子ども、猫2匹で暮らす。
http://ielie.net
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2013号・2024年08月02日紙面から掲載
第2013号・2024年08月02日紙面から掲載