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2024年8月30日更新

[防災・防犯特集]9月1日は防災の日①|地震保険Q&A

発生すると甚大な被害をもたらす地震だが、今年に入り大地震が立て続けに起きている。1月1日には「能登半島地震」、4月には地理的に近い台湾で「台湾東部沖地震」、今月上旬には宮崎県の日向灘を震源とする地震が発生。沖縄でもいつ襲ってくるか分からないからこそ、備えになるのが「地震保険」だ。

 

政府と損害保険会社が共同運営 公共性の高い「地震保険」

被災後の生活再建をサポート


発生すると甚大な被害をもたらす地震だが、今年に入り大地震が立て続けに起きている。1月1日には「能登半島地震」、4月には地理的に近い台湾で「台湾東部沖地震」、今月上旬には宮崎県の日向灘を震源とする地震が発生。沖縄でもいつ襲ってくるか分からないからこそ、備えになるのが「地震保険」だ。日本損害保険協会沖縄支部委員会の山里武司委員長は「地震保険は被災者の生活を支えるための保険。政府と損害保険会社が共同運営するため、公共性の高い保険」と話した。

Q1 そもそもどんな保険
A1 地震・噴火・津波による損害を補償


地震保険は被災者の生活の安定を図ることを目的とし、「地震保険に関する法律」に基づいて政府と損害保険会社が共同で運営している公共性の高い保険です。補償内容や保険料はどの保険会社でも同じです。

「地震・噴火またはこれらによる津波」(以下「地震等」)を原因とする火災や損壊、埋没、流失によって、一定の損害が生じた場合に保険金が支払われます。関東大震災規模の地震が発生しても保険金の支払いに影響を出さないよう、地震保険では「総支払限度額」が設定されています。必要に応じて見直されますが、現在の総支払限度額は12兆円となっています。
 
日本損害保険協会は地震保険の特設サイトを設置している=下記URLから。地震保険の詳細や都道府県別の地震発生リスクなどを知ることも。また、保険料のシミュレーションもできる。
https://www.sonpo.or.jp/insurance/jishin/index.html


Q2 契約の仕方と補償内容は?
A2 必ず火災保険とセット加入 保険金額は損害状況による


地震保険は単独で契約することはできず、必ず火災保険と付帯(セット)で契約する必要があります。「地震等」による建物の火災や損壊などは火災保険では補償されません。

補償対象は「居住用の建物」と「家財(生活用動産)」に分かれており、それぞれ別で加入する必要があります。契約できる金額の限度額は建物は5千万円、家財は1千万円です。 

 保険金は損害の程度に応じてかわり、「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の四つに分類されています=左表参照。住宅ローンを抱えている方は地震により家が倒壊すると、ローン残高に加え、立て直す際のローンも抱える「二重債務」に陥ってしまうことも。地震保険で住宅ローン負担を軽減できるほか、当面の生活費などに使えます。

 
※1 基礎・柱・壁・屋根などの主要構造部に着目して損害を調査する。地震保険でいう「主要構造部」とは、建築基準法施行令第1条第3号に掲げる「構造耐力上主要な部分」をいう


Q3 保険料はいくら?
A3 構造や所在地で異なる 免・耐震性能で割引も


保険料は建物の構造および所在地によって異なります。建物の構造は地震の揺れによる損壊や火災による焼損などの危険を勘案し、①「イ構造(主に鉄骨造やコンクリート造の建物)」と②「ロ構造(主に木造の建物)」に区分されています=図①。所在地については地震が発生する危険度などに応じて都道府県別に細分化されています。
 
図①地震保険の年間保険料(契約金額100万円あたり)

※2022年10月1日以降に保険期間が始まる契約に適用 ※イ構造は主として鉄筋・コンクリート造の建物。ロ構造は主として木造の建物 ※紙面の都合上、全都道府県は記載していない

沖縄だと年間の保険料は契約金額1千万円あたり、鉄筋コンクリート造で1万1600円、木造で1万9500円となります(2022年10月1日以降の契約の場合)。

また、建物の免震・耐震性能に応じて保険料が10%~50%で割引になります
=図②
 
図②割引制度
※割引を受けるためには所定の確認資料の提出が必要 ※①〜④の割引は重複して適用を受けることはできない


Q4 マンションでは?
A4 専有部分と共用部分で加入者・補償分かれる


マンションは建物の区分所有等に関する法律により、2つの部分に分かれます。①玄関ホール、廊下、外壁などの「共用部分」、②室内・間仕切り壁などの「専有部分」です。それぞれ地震保険に加入する必要があり、専有部分は入居者、共用部分はマンション管理組合が加入するのが一般的です。

共用部分の火災保険に対する地震保険の付帯率は年々伸びているものの、専有部分に比べて普及が十分ではありません。そのため、マンションの修繕積立金が不十分であれば、被災後に建物の修復がなかなか進まないという事例も確認されています。

 
 

山里武司委員長 に聞きました

(日本損害保険協会沖縄支部委員会)

6月26日付で日本損害保険協会沖縄支部委員会の新委員長に就任した山里武司氏(大同火災海上保険取締役常務執行役員)。県内の地震保険の世帯加入率について、「18%に届かず、全国ワースト」と述べた。また、今年4月に台湾近海で発生した地震にも触れ、「県内にも津波警報が発令されたことを踏まえ、改めて地震によるリスクを多くの方に周知していく。発生を予測できない災害だからこそ万全な備えをしてほしい」と語った。そのため、セミナーなどを開催して地震リスクの知識を正確に伝えるとともに、「被災後の生活再建を支える地震保険の加入を促進していきたい」。ほかにも、車社会の沖縄は自動車保険の加入率も全国最低であり、「地震保険とともに加入率を高めていく」と就任の抱負を語った。







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毎週金曜発行・週刊タイムス住宅新聞
第2017号・2024年08月30日紙面から掲載

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