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2024年5月31日更新

まだ間に合う!緑のカーテン[緑のある暮らし①]

当コーナーでは家庭菜園やガーデニングなど「緑のある暮らし」を、那覇市の老舗㈲わかば種苗の照屋清司さんに教えてもらう。今回は、窓辺で育てれば日射を遮ってくれ、実りも楽しめる「緑のカーテン」を紹介。照屋さんは「苗から植えればまだ間に合います。初心者でもたくさん収穫するこつは、丈夫な苗と適切な土を使うこと」と説明します。


 
まだ間に合う! 緑のカーテン
   育ててみよう(ゴーヤー編)   

①植え付け&ネットの設置

プランターに鉢底石を敷き、培養土を入れる。土は鉢の縁よりも2~3㌢低くしてウオータースペースを確保する。ネットはプランターの縁から窓の上部まで張る。ネットはS字フックで引っかける、支柱を使って自立させるなどさまざまな設置方法がある。近隣の迷惑にならないよう配慮し、避難経路の妨げにならないよう注意すること。また、台風に備え、取り外しできるようにしておこう。


②誘引、水やり

つるが伸びてきたら、ネットに絡ませるように導いてやる(誘引)。水やりは、土が乾いたら、プランターの底から染み出るくらいにたっぷりやる。


③摘心・追肥

1㍍以上に成長したら、親づるの先に出ている新芽を取り除く。これを摘心という。こうすることで、子づるや孫づるが伸び、実付きがよくなる。照屋さんは「私は子づる、孫づるも摘心しています」と話す。最初に摘心したタイミングで追肥する。


④受粉

雄花


雌花

花が咲いたら、受粉の時期。確実に実を付けたいなら人工的に授粉させる。花が咲いて時間がたたないうち(午前中)に行うこと。雄花を切り、花粉を雌花の中心にポンポンとくっつける。雄雌の見分け方は、雌花の根元には小さなゴーヤーが付いている。一つの雄花で三つくらいの雌花の授粉ができる。
 
 

必要な道具

ポット苗(2~3㍍ごとに1本)、培養土、鉢底石、ネット、プランター、肥料、支柱(必要ならば)など


初心者向け「接ぎ木苗」

「初心者は、苗から育てると失敗が少ないです。その中でも『接ぎ木苗』がオススメです」と話す。接ぎ木苗とは、実がなる方の「穂木」と根のある方の「台木」を接ぎ合わせた苗のこと。種苗店やホームセンターなどで販売されている。自根苗よりは価格が高め。

例えばゴーヤーは、カボチャを台木にした接ぎ木苗が売られている。「カボチャは病気に強くて馬力があるため、接ぎ木することで、病気に強くなり収穫量も増える。自根苗は後半、実付きが悪くなる場合もあるが、接ぎ木苗は最後までよく実る。連作障害にも強い」と説明する。

土は市販の「培養土」を使うと手軽。培養土には、植え付けから1カ月程度の成長を補える肥料や土壌改良材などがバランス良く混ぜ合わせられている。

プランターは「容量が大きめのものを選びましょう。深めでもOK。根がしっかりはり成長が良くなります」。

ネットは、設置する場所に合わせてフックで引っかけたり、支柱を立てて自立させたり、2階の手すりにくくったりとさまざな固定方法がある。近隣の迷惑にならないようにするほか、避難経路の邪魔にならないように配慮しよう。


初心者向き「接ぎ木苗」 実付きが多くて丈夫!
 
接ぎ木苗とは、二種の植物を接ぎ合わせた苗。実がなる部分を「穂木」、根の張る部分を「台木」と呼ぶ。「それぞれの苗の良いところを兼ね備えているのが特徴。例えばゴーヤーの接ぎ木苗は、病気に強くて馬力のあるカボチャを台木にしているものがあり、育ちやすくて実付きが良い。連作障害にも強いです」と照屋さんは説明する。ただし、普通の自根苗よりも価格は高め。
 

根元の双葉がカボチャで、上部がゴーヤ


「摘心」が収穫量を左右

つるが伸びてきたら、ネットに絡むように誘引する。「ひもなどを使ってくくりつけてやることもあるようですが、私はやわらかいつるを優しく広げて、ネットに直接絡めています」。

さらに1㍍程度まで育ってきたら、先端の新芽をカットする。これを「摘心」という。照屋さんは「収穫量を左右する重要ポイントです」と力を込める。「もったいなく感じますが、親づるの新芽を取り除くことで、子づる・孫づる・ひ孫づるが育ち、葉がたくさん茂って実付きが良くなります。私は子づる・孫づるも1㍍くらい伸びてきたら摘心しています」。摘心の時期には追肥も忘れずに。

葉が茂り、開花したら受粉の時期。虫や風による自然受粉が難しいならば、人工授粉させるのも手だ。雄花を切り、雌花の中心に花粉をポンポンとくっつけて授粉させる。照屋さんは「授粉は午前中で行いましょう。1本の雄花で、雌花3本程度の授粉ができます」とアドバイスする。

代表的な病気「ウドンコ病」や台風の対策は左記の通り。この夏、緑のカーテンで涼を得ながら家庭菜園を楽しんでみよう!

ウドンコ病に注意


ゴーヤーの代表的な病気が「ウドンコ病」。葉の表面がポツポツと白くなり、放置するとやがて葉が変色して枯れてしまう。予防、または初期の対策には市販の薬剤が有効。葉の裏・表に薬剤を散布する。重曹を散布する方法もある。


台風対策
ネットを取り外して地面に置き、飛ばされないよう重しを置く。プランターもしっかり固定しておく。台風が去ったらシャワーで潮を洗い流して元に戻す。


   形や色ユニークな〝シン・ゴーヤー〟 
 

パールゴーヤー
わかば種苗では、若者のゴーヤー離れ対策に、ユニークな〝シン・ゴーヤー〟を開発。県内のホームセンターなどに卸している。2020年ごろから発売しているのが、真珠のように白くて丸い「パールゴーヤー」。苦みが少なく、サラダやあえものなど生食にも向いているそうだ。「実付きも良いのでグリーンカーテンにもおすすめです」と照屋さん。真っ白な実は雪のようで、緑のゴーヤーよりも涼しげだ。

 

ハートゴーヤー
2017年ごろから販売しているのが「ハートゴーヤー」。その名の通り、かわいらしいハート形で手のひらサイズ。「こちらも苦みがマイルドで実付きも良いので、家庭菜園をやっている方のリピーターが多いです」


他にも緑のカーテン向きの野菜・果物


ナーベーラー、カボチャ、パッションフルーツ、シカクマメ、インゲン(つる性)、スイカ、メロンなど



教えてくれた人

てるや・きよし/創業約70年の老舗「㈲わかば種苗(那覇市樋川)の種苗部長。野菜ソムリエの資格も持つ。
わかば種苗
電話=098・832・5422
https://www.wakabaseed.com/

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2004号・2024年05月31
日紙面から掲載

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