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2024年3月1日更新

住みやすさに直結する「動線」|家具の配置や収納を見直そう!|家と心理㉔

空間デザイン心理士®で、一級建築士。2児の母でもある、まえうみ・さきこさんが空間を心理学的に解析。今回は「動線」について。毎日、頻繁に行き来する「動線」は住みやすさに直結するそうです。

住みやすさに直結する「動線」
家具の配置や収納を見直そう!

 
毎日使うからこそ重要

「住みやすい間取りの条件」って何だと思いますか? ムダなスペースがないことや、プライバシーがしっかり確保されていること、十分な収納量などいろいろありますが、私が重要視しているのは「動線」です。依頼を受けたときも、まずは動線をチェックします。

ちなみに動線とは、「人が移動する経路」のこと。「部屋の使い勝手が悪い」「家事がしづらい」という場合、移動が遠回りになっていたり、家具などのモノが動線を邪魔している可能性が高いです。

毎日頻繁に使うからこそ、ちょっとした使い勝手の悪さも積もり積もって、大きなストレスになっていきます。


「生活動線」と「家事動線」

動線の種類は、大きく分けて「生活動線」と「家事動線」の二つ。この動線をいかにスムーズに、間取りに組み込むかが大切です。

【生活動線】
①くつろぎ動線

例えばリビング・ダイニングの動線で、テレビとソファの間を横切らないと別の部屋へ行けない動線だと、テレビを見ている人が落ち着かないですよね。家族がリラックスする場所は、そこに居る人のくつろぎを妨げない動線にしましょう。

②入浴動線
服を脱ぎ、入浴して、着替える、または洗面台に移動するなど結構、動きが多い場所。そのため、移動がコンパクトに済むように洗面台や洗濯機の配置を考えましょう。

③外出・帰宅時の動線
朝の出勤前は、「1分1秒もムダにしたくない!」ですし帰宅後は、「1分1秒でも早く休みたい」ですよね。

出勤前は、洗顔、化粧、着替え、身支度、靴をはく。といった作業が、なるべく短い距離でスムーズに行える動線が好ましいです。

帰宅時は、玄関から室内へ移動しながら、カバンや買い物した品々をしまえる動線で、手洗い、着替えまでスムーズにできる動線にしましょう。

【家事動線】
①買い物・料理動線

買い物から帰ってきて、玄関から、冷蔵庫や食品庫までスムーズに移動できる動線を考えましょう。その動線を邪魔する家具があれば、配置を見直しましょう。

料理の際は、シンク、コンロ、冷蔵庫、食器棚が最短距離になるような動線だと作業がはかどります。

②食事動線
キッチンから食卓へ料理を出したり、食後に食器を片付けたり、途中で調味料を取りに行く場合などに動きやすい動線を考えましょう。

③洗濯動線
汚れ物の仕分け、洗濯、干す、取り込む、畳む(アイロン)、仕分け、収納。この過程が流れるようにできると洗濯作業がラクになります。

④掃除動線
掃除道具が掃除する場所の近くにあり、すぐに取り出せ、スムーズに掃除できることがポイントです。最近は、お掃除ロボットを使う方も多いですが、その場合はロボットがスムーズに動けるようドアを引き戸にしたり、段差をなくすなどの配慮も必要です。
 
◇     ◇     ◇

動線の良しあしが、いかに生活に関係しているか、感じ取っていただけましたでしょうか? 動線が良いと

・家事や片付けが流れるようにできてラクになる。

・自然に片付く家になる。

・子育てもラクになる。

良いコトづくしなんです!

新築でなくても、大丈夫! 家具の配置や収納の位置を見直すことですごく住みやすくなりますよ!
 
 



★移動しやすい通路の幅は60センチ



リビング・ダイニングが狭くて動きづらい、とお悩みのお宅。ダイニングテーブルの幅が180センチあり、リビングとの間の通路に飛び出していて、歩きにくくなっていました。人が通りやすい通路の幅は60センチですが、20センチほど足りませんでした。そこでテーブルを幅160センチのものに変えて通路の幅を確保しました。スムーズな動線計画には家具の購入時に、部屋の広さや通路の幅まで考えることが大切です。




まえうみさきこ
[文・イラスト]
まえうみ・さきこ/1976年、嘉手納町出身。建築会社に20年勤務したのち、2021年6月に「ielie(イエリエ)」を設立。建築の知識やママの経験を生かして、住まいの悩みに応じたコンサルティングやインテリアコーディネートを行う。一級建築士、空間デザイン心理士®、夫、2人の子ども、猫2匹で暮らす。http://ielie.net


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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1991号・2024年3月1日紙面から掲載

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