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2023年12月1日更新

後悔しない間取りの決め方|広さや収納「使う人本位」で!|家と心理(21)

空間デザイン心理士®で、一級建築士。2児の母でもある、まえうみ・さきこさんが空間を心理学的に解析。今回は家づくりの重要ポイント「間取り」の決め方を説明します。広さや収納などは、一般論よりも「自分や家族の使い勝手を重視しましょう」と説明します。

後悔しない間取りの決め方
広さや収納「使う人本位」で!

 
 

家づくりの過程の中で楽しいのが「間取りの検討」です。その半面、建築士さんから図面を渡されても「どこをどう確認すれば良いか分からない」という方も多いようです。間取りの診断やアドバイスをする私のところにも相談が多くあります。

私の経験から「最低限ここだけは確認しておきたい」というポイントをまとめてみました。

①家族にあったサイズ(広さ)かどうか

サイズ感(広さ)は、早い段階で確認しましょう。図面の落とし穴の一つは、本来は狭い場所も広く見えること。実際の幅や大きさを一つ一つ確認しておかないと、「思っていたより狭い…」「こんなに小さいなんて…」など後悔することになりかねません。

また、建築士さんが提案する空間の広さは一般的な広さに基づいていますが、価値観は人それぞれ。提案された広さを自分や家族がどう感じるかが大切です。

広さが自分に合っているか効率よく確認するためには、ショールームや住宅展示場に足を運んでマイホームの図面と照らし合わせながら、実際の広さをイメージしましょう。


②窓の位置と風通し

窓は、取り方一つで風の流れと光の入り方が変わり、室内の温度や湿度に大きく影響します。

風通しを良くするためには、窓の大きさより、位置が大切。一つの空間に窓を2カ所以上設ければ、風の通り道が生まれます。対角線上にあるとより効果的です。図面では窓の位置や、風の通り道に遮るものが置かれていないかなどを確認しましょう。

また、図面では分かりづらいのですが、「窓の高さ」も大切な確認ポイントです。冷たい空気は下に、暖かい空気は上にたまる性質があるため、天井近くに窓を作ると効率的に熱気を逃がせます。


③収納は生活動線に合った収納かつ、適切な量か

収納の量よりも大切なのが、場所です。

「とにかく収納スペースをたっぷり取ってください」と開口一番におっしゃる方は少なくありません。しかし、収納がたくさんあっても「必要な場所に出し入れしやすい適切な収納」という視点がないと、出し入れが面倒になって、結局モノが出しっ放しになってしまいます。

「必要な場所に出し入れしやすい適切な収納」を設けるためには
・この物はどんなところで使うのかを把握
・それをどこに収納したら、出しやすく戻しやすいかを考える
・この場所で使う物の量はどのぐらいか。必要なスペースはどのぐらいかを考える

の三つに基づいて決めることです。今住んでいる家をじっくり観察して検討しましょう。


④コンセントの位置と数

住んだ後で後悔しやすいのが、「コンセントの位置と数」です。電化製品を使わない日のない現代において、コンセントの数と位置は生活しやすさに直結します。

コンセントの場所は、間取り検討の段階で、家具や家電の配置を具体的にシミュレーションしながら決めましょう。子どもの成長に合わせた模様替えや、将来巣立った後の部屋の使い方なども合わせて、いくつかパターンを考えておくと安心です。

所有するであろう家族分のスマホやパソコン、タブレットなどの充電も考えて数を決めると良いでしょう。

さらに、意外と見落としがちなのがコンセントの高さです。例えば、扇風機や掃除機などを使うためのコンセントは床に近い場所のほうが使いやすいですが、炊飯器・電子レンジなどの調理家電や、ドライヤーなどは立ったまま抜き差しできる高さの方が使い勝手が良いでしょう。

また、ペットがいる家庭なら、少し高い位置にコンセントを配置する場合もあります。使い勝手と安全性を考慮して高さを考えましょう。
 

   ◆      ◆      ◆


いかがでしたか? 間取りのチェックはまだまだありますが、この四つを押さえておくだけでも暮らしの満足度は大きく変わりますよ。



間取りの確認ポイント

 ①自分や家族に合ったサイズ(広さ)か
図面だと十分に見える広さでも、実際は狭いと感じる場合もあります。正確かつ効率的に確認するには、住宅展示場やショールームに足を運びましょう。自邸の図面と照らし合わせながら広さを体感し、自分や家族に合った広さかどうかを確認しましょう。

広さのチェックポイントとしては
・玄関の間口の幅
・各部屋の収納のサイズ
・キッチンの幅
・浴室・トイレの広さ
・家具を入れても広さは適切か

などがあります。

 

 ②窓の位置と風通し
窓の位置だけでなく、風の通り道に遮るものがないかも確認しましょう。風通しが悪いと
・結露やカビが発生しやすくなり、家具や建具が傷む
・湿気やにおいがこもり、不快な空間になる
・ダニやハウスダストが発生しやすくなり、アレルギーの原因になる
・家の中に熱がこもる
など、暮らしにくくなってしまいます。

通風のためだけであれば、窓の大きさよりも位置が大切。一つの空間に、対角線上に2カ所窓を配置すると風の通り道ができ、効率的に通風できます。また、天井近くに高窓を設けると、熱気を外に逃がしやすくなります。

 

 ③収納の場所と量は適切か
散らからない家にするためには収納の量よりも場所が大切です! 「必要な場所に、出しやすく戻しやすい適切な収納」を設けましょう。
 

「必要な場所に適切な収納を設ける」のポイントは
・この物をどんなところで使うか
・どこに収納したら、出しやすく戻しやすいか
・この場所で使う物の量はどのぐらいか、必要なスペースはどのぐらいか

を考えることです。現在の暮らしを見直しながら確認しましょう。

 

 ④コンセントの位置と数 
 

よくあるのが「欲しい場所にコンセントがない」「家具の裏にコンセントが隠れてしまって使えない」「コンセントの数が足りない」など。コンセントの位置は後から変更することが難しいため、事前に使いやすさを考えて設置することが大切です。実際の暮らしをイメージし、家具や家電の配置をシミュレーションして数や位置を決めましょう。その場所で使う家電に合わせて、コンセントの高さを検討することもお忘れなく!

 

まえうみさきこ
[文・イラスト]
まえうみ・さきこ/1976年、嘉手納町出身。建築会社に20年勤務したのち、2021年6月に「ielie(イエリエ)」を設立。建築の知識やママの経験を生かして、住まいの悩みに応じたコンサルティングやインテリアコーディネートを行う。一級建築士、空間デザイン心理士®、夫、2人の子ども、猫2匹で暮らす。http://ielie.net


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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1978号・2023年12月1日紙面から掲載

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