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2023年11月3日更新
既存の部屋活用&家具の配置で快適に|子育て世帯向け 模様替え術|家と心理⑳
空間デザイン心理士®で、一級建築士。2児の母でもある、まえうみ・さきこさんが空間を心理学的に解析する。今回は子育て世帯向けの模様替え術を紹介。「子どもの成長に合わせて考えるとうまくいく」とアドバイスします。
既存の部屋活用&家具の配置で快適に
子育て世帯向け 模様替え術
工事せずに悩み解決
みなさんは、どんなときに模様替えをしますか? 「気分転換のため」という方が多いんじゃないでしょうか。
一方、私がおススメするのは、ライフスタイルが変わるときや、住まいの悩みを解決するための模様替えです。効果的に模様替えをすれば家事・育児の負担を軽くできるほか、空間とは関係ないような、夫婦・親子関係の悩みまで解決できるんです。
なんだか「部屋が狭い」と感じている家は、家具の大きさ、家具の配置が空間に合ってないことが多いです。
また、家族の会話が少ない家では、家具の向きや子ども部屋の配置などに原因がある場合も。そういったことを工事でなく、模様替えでも解決できます。
子の年齢に合わせて
模様替えの実例を紹介します。新婚で3LDKのマンションを購入したHさんご夫婦。4カ月後には、1人目のお子さんが生まれる予定で「これから家族が快適に暮らせるよう、家具やインテリアの選び方、配置を相談したい」とのことでした。子どもは2人欲しいと考えています。
Hさんのお宅は、子どもの成長に合わせて四つの時期に分けて模様替えする必要があると考えます。
①夫婦2人の時期
②子ども0歳~幼児期 親の目が届く位置に、キッズスペースや子ども部屋を設ける。
③子ども幼児期~小学校低学年 机での勉強が始まる時期。だが、子どもは親の姿が見える場所が安心な年代。リビングに学習できるスペースを確保する。
④子どもが小学校高学年以上~ 子どもが個室(1人になれる空間)を欲しがり始める年代。個室を希望する子どもには、子ども部屋を確保しよう。ただし勉強できる場所は複数ある方が良い。引き続きリビング学習もできるよう準備しておくことがおススメ。
この四つの時期を踏まえて模様替えの提案をさせていただきました=下記参照。
家族のライフスタイルに合わせて家具の選定や配置をすれば、工事をせずとも子どもの成長に合わせた空間をつくることができます。
もう一つ、模様替えの大きなメリットは、賃貸や既存の家でもできることです。
新築やリフォームだけでなく、模様替えでも、住まいの悩みを解決できますよ。ぜひやってみてくださいね。
Hさん宅の模様替え
今年、3LDKの新築のマンションに入居。4カ月後には、1人目のお子さんが生まれる予定。将来も見据えながら、家族が快適に暮らせるような間取り、家具・インテリアの選び方や配置を知りたい
以前の間取り(①夫婦2人)
夫婦とも在宅ワークなので、それぞれの個室を設け、夫婦の時間と個々の時間を大事にした空間
以前の様子
引っ越し当初は、どんなインテリアや家具が合うのか分からず、とりあえず持ってきたものを置いていた。特にキッチンはゴミ箱の置き場に困っていた
模様替え後(②・③子ども小学校低学年までを見据えて)
当初ご夫婦は奥の個室を子ども部屋にするつもりだったが、子どもの様子が分かるリビングそばの個室を子ども室にするよう勧めた。さらにリビングにもキッズスペースと収納を設けた。将来、子どもがリビング学習をするようになったら、このキッズスペースを学習スペースに変更する
その後の模様替え提案(④子ども小学校高学年以上)
子どもが小学校高学年以上になった時の間取り。子どもは2人欲しいと考えていらっしゃるので、それぞれ1室ずつ個室をあてがう提案と、共同部屋を提案した。いずれも同じ家具で配置
子育て世帯向け 模様替えのポイント
・スッキリした家事動線
・子どもの成長に合わせ、親も子も安心して過ごせる部屋の位置や家具の配置や向き
[文・イラスト]
まえうみ・さきこ/1976年、嘉手納町出身。建築会社に20年勤務したのち、2021年6月に「ielie(イエリエ)」を設立。建築の知識やママの経験を生かして、住まいの悩みに応じたコンサルティングやインテリアコーディネートを行う。一級建築士、空間デザイン心理士®、夫、2人の子ども、猫2匹で暮らす。http://ielie.net
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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1974号・2023年11月3日紙面から掲載