「成長ホルモン」と「メラトニン」の分泌を促す空間を|睡眠の質を高める寝室づくり|家と心理㉒|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

スペシャルコンテンツ

特集・企画

2024年1月5日更新

「成長ホルモン」と「メラトニン」の分泌を促す空間を|睡眠の質を高める寝室づくり|家と心理㉒

空間デザイン心理士®で、一級建築士。2児の母でもある、まえうみ・さきこさんが空間を心理学的に解析。今回は新年を健康的にスタートすべく「良質な睡眠を促す寝室のつくり方」を解説してもらいます。

「成長ホルモン」と「メラトニン」の分泌を促す空間を
睡眠の質を高める寝室づくり

 
 

睡眠は人間にとって必要不可欠で、脳の疲労を回復させるためにも大事なものです。睡眠不足によって引き起こされる症状は以下のことが挙げられます。

◆ストレスの増加

人は睡眠中に頭の中の情報を整理するそうです。ストレスも睡眠中に整理され、減っていくとされています。睡眠不足が続くと、ストレスを整理することができなくなります。ストレスは睡眠障害を引き起こし、負の循環につながる恐れがあります。

◆血圧の上昇

睡眠が足りないと交感神経が優位になり、血圧や心拍数を上昇させると言われています。

◆集中力の低下

睡眠不足が続くと集中力が低下し、勉強や仕事などの効率が落ちてしまいます。

◆頭痛の原因

寝不足による頭痛は「緊張型頭痛」と呼ばれるそうです。主に筋肉の疲労が原因で起こると言われていますが、睡眠不足によって全身が緊張し筋肉が凝り固まってしまうことでも起こるそうです。慢性的に続くと、肩こりや眼精疲労、全身倦怠感といった症状を引き起こす恐れもあるそうです。
 

◇        ◇        ◇


そのほか、太りやすくなったり、落ち込みやすくなったりするといった実験結果もあります。


睡眠は量も質も

睡眠は量も質も大切です。

良質な睡眠は「成長ホルモン」と「メラトニン」の分泌を促すそうです。

成長ホルモンはノンレム睡眠(深い睡眠)中に分泌が盛んになると言われています。入眠後3時間ほどが最も眠りが深くなることから、寝付いてから3時間以上しっかり熟睡することが重要です。

また、夜になると脳の松果体という場所からメラトニンというホルモンが分泌されるそうです。このメラトニンは「睡眠ホルモン」と呼ばれ、眠気を催すとともに成長ホルモンの分泌を促す働きがあるとされています。メラトニンをしっかりと分泌させるには、規則正しく、適切な睡眠時間を確保することです。

こうしたホルモンの分泌を促す寝室は、ズバリ!「心と身体がリラックスできる空間」です。参考になるのは、あなたが訪れて「いいなあ」と思ったホテルや旅館。その理想の空間と「ぐっすり寝室7カ条」とすり合わせて寝室をコーディネートしてみてくださいね♪ 

 

睡眠の質高める6つの習慣

1.毎日同じ時間に起き、同じ時間にベッドに入ることを心がける

2.午前中に太陽光を浴びて、夜のメラトニン分泌を活発にする

3.寝る前にベッドの中でスマホを見ない(スマホから出るブルーライトはメラトニンの分泌を抑制する)

4.入浴はベッドに入る1時間前に済ませる(ぬるめのお風呂に20分ほど入ると副交感神経が活発になり眠くなりやすい)

5.休日にダラダラと寝続けない(体内時計が狂って睡眠の質が悪くなる)

6.深く眠りやすく、リラックスできる環境(明るさ、温湿度、寝室、寝具)を整えること



ぐっすり寝室7カ条


ベッドと机の間に仕切りを付けよう


①寝るためだけの空間にする

寝室は寝るためだけの専用の空間にすると、気持ちのオンオフの切り替えができてリラックスしやすくなります。在宅ワークなど、寝室にデスクを置きたい場合は、パーティションなどでしっかり仕切りましょう。


 


電球が直接見えない照明がオススメ


②光の刺激を避ける

寝室が明る過ぎるのは睡眠の妨げになります。メラトニンの分泌を促す明るさは、500ルクス以下と言われています。日常より、やや控えめな明るさにしましょう。電球の色は、白よりも温かみのある光の方がリラックスできます。電球が直接見えると刺激により脳が覚醒するので、シェードなどで覆われているタイプの照明や間接照明がオススメ。

また、朝日が少しずつ入ってくるような位置の部屋を寝室にすると、空間自体が目覚まし時計になってくれます。ゆっくり光で起こしてくれるのがポイントです。


 

エアコンの冷気や熱気が不快な場合は扇風機を上に向けて回し、体に風が当たらないよう工夫を


③快適な室温と空気環境

寝室に理想的な温度は夏は25度、冬は15~18度と言われています。エアコンや窓からの冷気・熱気が不快な時は扇風機を上に向けて回し、部屋に風を巡らせるようにすると風が直接当たらず、温度も均一化されます。

ホコリや臭いが少ない快適な空気環境を保つのも大切。ほこりがあるとせき込んで起きることもあり、臭いもリラックスには邪魔になります。


 

エメラルドグリーンとダークブラウンの落ち着いた空間


④視界を落ち着かせる

壁の色味やインテリアは温かみのある落ち着いたカラーをセレクトしましょう。ベージュやブラウン、リラックス効果のあるグリーンなどがおススメです。あれこれ色を使わず、目から入る情報を落ち着かせましょう。



⑤騒音をなるべくなくす

眠気に必要なメラトニンを促すためには、音も重要。騒音をなるべくなくすよう工夫を。トイレや浴室の水音が響かない位置にベッドや枕をレイアウトしましょう。



⑥肌に触れるものは低刺激に

ぐっすり眠るためには寝具選びも大切です。かけ布団、敷布団、シーツは通気性がよく、吸湿性が高いものを選びましょう。冬には保温性、夏には放熱性の高いものと、季節ごとに変えるのもおすすめです。

パジャマも重要です。通気性・吸湿性に優れた素材を意識すると、快適な肌触りのまま朝を迎えることができ、質の良い睡眠につながります。


 

⑦香りを取り入れる

リラックスや安眠につながる香りはラベンダーやカモミール、イランイラン、シダーウッドなどがあります。ティッシュや布にアロマオイルを1、2滴たらして枕の下に置くとほのかに香ってGOOD!




 

まえうみさきこ

[文・イラスト]
まえうみ・さきこ/1976年、嘉手納町出身。建築会社に20年勤務したのち、2021年6月に「ielie(イエリエ)」を設立。建築の知識やママの経験を生かして、住まいの悩みに応じたコンサルティングやインテリアコーディネートを行う。一級建築士、空間デザイン心理士®、夫、2人の子ども、猫2匹で暮らす。http://ielie.net


↓広告をクリックすると「ielie(イエリエ)」のHPに移動します


これまでの記事は、こちらから。

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1983号・2024年1月5日紙面から掲載

特集・企画

タグから記事を探す

この連載の記事

この記事のキュレーター

スタッフ
週刊タイムス住宅新聞編集部

これまでに書いた記事:2128

沖縄の住宅、建築、住まいのことを発信します。

TOPへ戻る