2023年11月24日更新
[沖縄]専門技術者育てる工業高校② 電気・電子系|同じ電気でも違い
ものづくりの知識と技術を磨ける工業高校には、さまざまな学科がある。今回は、機械や部品の設計・加工・制御などを学ぶ「機械系」と、電力からプログラミングまで扱う「電気・電子系」の学科について紹介。そのほか独自の魅力を持つ7学科についても取り上げる。
電気・電子系の学科がある工業高校
◆名護商工(工業技術科・電気コース)
◆美里工業(電気科)
◆美来工科(電子システム科)
◆浦添工業(情報技術科)
◆那覇工業(電気科)
◆沖縄工業(情報電子科)
◆南部工業(電気科)
◆宮古工業(電気情報科)
◆八重山商工(機械電気科・電気コース/情報技術科)
工業高校の多くに「電気」「電子」とつく学科がある。沖縄工業・情報電子科の新垣保先生は「どちらも『電』がつき、学ぶ範囲もほぼ同じだが、それぞれ重点を置く分野が異なる」と話す。
「電気」とつく学科は、電気をエネルギーとして捉え、発電所から住宅などに届くまでの高い電圧の電気「強電」と呼ばれる分野がメイン。授業では電力の発電や送電、配電などについての専門的な知識や技術を学ぶ。実習では、電気配線をしたり、模擬送電装置や同期発電機など大型の機械を使いながら、設備の扱い方や電力の供給技術などを身につける。
一方、「電子」系の学科は、低い電圧で、電気を信号として捉える「弱電」の分野がメイン。マイコンと呼ばれる小さなコンピューターなどの電子部品を基盤にはんだ付けして電子回路を作る電子工作実習などを通して、さまざまなものに使われる電子回路の原理や仕組みなどを学ぶ。
また、電子系の学科は「情報」の要素も加わる。「C」を始めとするプログラミング言語で、LEDを点灯させたり、パソコン画面上のキャラクターを動かしたりするためのプログラミングについて学ぶ。そのため「電子工作やプログラミングを学んで、ロボットやゲームを作りたい」と入学する生徒も多いという。そのほか、インターネットや無線などの「通信」について学んだりもする。
美来工科・電子システム科の知名淳先生は「電気・電子・情報などを学ぶ割合は、学校によっても異なる。どこの学校・学科にしようか迷っている人は、オープンキャンパスや工業祭などで体験してみるといい」とアドバイスする。
電力会社やIT系に就職
電気・電子ともにさまざまな資格を取得可能だが、電気系の学科がある学校は第三種電気主任技術者の認定校となっているため、卒業後に実務経験を積んで手続きをすれば資格を得られる。
卒業後は、電力会社や電気工事会社などに就職し、電線工事やコンセントなどの屋内配線、電気設備のメンテナンスなどに従事するほか、電子系だとシステムエンジニアなどIT系に進む割合も多い。那覇工業・電気科の比嘉暢木先生は「電気は生活に不可欠なもの。家をつくる時にも必ず立ち会うし、今後の産業が変化しても働き口に困ることはない」と話した。
目指せる資格の一例
※学校が重点を置いている分野によって、目指せる資格の種類は変わる
◆第1種・第2種電気工事士
◆第3種電気主任技術者
◆工事担任者(第2級デジタル通信・第2級アナログ通信)
◆基本情報技術者
◆ITパスポート
◆第2級陸上・海上特殊無線技士
◆技能検定(電子機器組み立て作業)
◆パソコン利用技術検定(2級・3級)
◆情報技術検定(2級・3級)
◆危険物取扱者 など
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取材/東江菜穂、出嶋佳祐、市森知
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1977号・2023年11月24日紙面から掲載
◆名護商工(工業技術科・電気コース)
◆美里工業(電気科)
◆美来工科(電子システム科)
◆浦添工業(情報技術科)
◆那覇工業(電気科)
◆沖縄工業(情報電子科)
◆南部工業(電気科)
◆宮古工業(電気情報科)
◆八重山商工(機械電気科・電気コース/情報技術科)
電気工事
模擬送電装置
電子工作
制御
プログラミング
マイコン制御
工業高校の多くに「電気」「電子」とつく学科がある。沖縄工業・情報電子科の新垣保先生は「どちらも『電』がつき、学ぶ範囲もほぼ同じだが、それぞれ重点を置く分野が異なる」と話す。
「電気」とつく学科は、電気をエネルギーとして捉え、発電所から住宅などに届くまでの高い電圧の電気「強電」と呼ばれる分野がメイン。授業では電力の発電や送電、配電などについての専門的な知識や技術を学ぶ。実習では、電気配線をしたり、模擬送電装置や同期発電機など大型の機械を使いながら、設備の扱い方や電力の供給技術などを身につける。
一方、「電子」系の学科は、低い電圧で、電気を信号として捉える「弱電」の分野がメイン。マイコンと呼ばれる小さなコンピューターなどの電子部品を基盤にはんだ付けして電子回路を作る電子工作実習などを通して、さまざまなものに使われる電子回路の原理や仕組みなどを学ぶ。
また、電子系の学科は「情報」の要素も加わる。「C」を始めとするプログラミング言語で、LEDを点灯させたり、パソコン画面上のキャラクターを動かしたりするためのプログラミングについて学ぶ。そのため「電子工作やプログラミングを学んで、ロボットやゲームを作りたい」と入学する生徒も多いという。そのほか、インターネットや無線などの「通信」について学んだりもする。
美来工科・電子システム科の知名淳先生は「電気・電子・情報などを学ぶ割合は、学校によっても異なる。どこの学校・学科にしようか迷っている人は、オープンキャンパスや工業祭などで体験してみるといい」とアドバイスする。
電力会社やIT系に就職
電気・電子ともにさまざまな資格を取得可能だが、電気系の学科がある学校は第三種電気主任技術者の認定校となっているため、卒業後に実務経験を積んで手続きをすれば資格を得られる。
卒業後は、電力会社や電気工事会社などに就職し、電線工事やコンセントなどの屋内配線、電気設備のメンテナンスなどに従事するほか、電子系だとシステムエンジニアなどIT系に進む割合も多い。那覇工業・電気科の比嘉暢木先生は「電気は生活に不可欠なもの。家をつくる時にも必ず立ち会うし、今後の産業が変化しても働き口に困ることはない」と話した。
目指せる資格の一例
※学校が重点を置いている分野によって、目指せる資格の種類は変わる
◆第1種・第2種電気工事士
◆第3種電気主任技術者
◆工事担任者(第2級デジタル通信・第2級アナログ通信)
◆基本情報技術者
◆ITパスポート
◆第2級陸上・海上特殊無線技士
◆技能検定(電子機器組み立て作業)
◆パソコン利用技術検定(2級・3級)
◆情報技術検定(2級・3級)
◆危険物取扱者 など
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取材/東江菜穂、出嶋佳祐、市森知
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1977号・2023年11月24日紙面から掲載