防災
2023年7月21日更新
[万全ですか?住まいの防災・防犯②]知っておきたい!災害の種類と補償①保険代理店
火災保険の対象は「火災だけ」と思われがちだが、集中豪雨に伴う「排水機能オーバーが原因の床上浸水」や、台風時の「強風による室外機の故障」も対象となる。事例をもとに保険代理店の担当者が紹介。“わが家の耐風チェック”リストも事前対策に役立てて!
第一総業(株)
集中豪雨への備え 水災補償で
保険部 多和田 智さん
事例① Tさん宅
被害箇所、状況
ベランダからの浸水で住宅および家財に損害
被害の原因
台風・大雨による床上浸水
-被害の原因や経緯
5年前の大型台風の際、Tさん宅2階のベランダ排水口が集中豪雨に伴う排水設備の能力オーバーであふれ、床上浸水。2階の畳間や壁に加え、寝具・家電製品などの家財まで広範囲で被害を受けた。
-どのように対応したか
加入していた火災保険に、台風被害時の「風災」だけでなく、床上浸水の損害を補償する「水災」も含まれていたため、修理費用に約60万円が支払われた。また、「建物」だけでなく「家財」の補償も付帯していたため、復旧による費用負担が軽減された。
-同じような状況に備えるため読者にできることは?
まずは、ご自宅の水害リスクについてハザードマップを確認しましょう。知らない方も多いのですが、水災補償には集中豪雨による「土砂崩れ」での家屋損害も含まれています。ハザードマップを確認すると、意外にもご自宅が土砂崩れの警戒区域に入っていた、という声もいただきます。
また最近ではハザードマップで危険度が低いと思われる地域でも、水災が発生する可能性もあります。「内水氾濫」という現象で、線状降水帯などの大雨により排水機能が追いつかず、処理しきれない雨水で土地や建物が水に浸(つ)かってしまう状況をいいます。
過去に例を見ない集中豪雨が頻発する中、水災による損害が増える可能性が高まっています。まずは現在加入している火災保険に水災補償が含まれているか、保険会社や保険代理店にご確認ください。
大雨で排水が追いつかずベランダから浸水することも(写真はイメージで記事とは関係ありません)
(株)琉球総合保険サポート
エアコン以外の家電は「家財」
保険部 玉城 翔平さん
事例② Kさん宅
被害箇所、状況
室外機のファンが故障。エアコンが使用不能に
被害の原因
強風によるファンの損害
-被害の経緯は?
今年6月の台風2号による強風で、Kさん宅の室外機のファンが逆回転し故障した。
-どのように対応したか?
見た目には損害はないものの、室外機内部のファンが故障しエアコンが使えなくなったため、事故として受け付け。夏場に向かう季節だったこともあり、保険会社に早めの対応を依頼した。被害の模様を撮影した写真と見積書をメールで送付したところ、Kさんが加入していた火災保険の範囲内で対応可能と連絡あり。修理費用として21万円の補償が確定した。
-同じような被害に備えるため読者にできることは?
台風時における室外機の損害は、飛来物による破損、室外機そのものが飛ばされるほか、Kさん宅のように逆回転によるファンの故障も意外と多く発生しています。エアコン(室外機も含め)は建物に取り付けられているため保険では「建物」に含まれますが、台風による損害はテレビなどそのほかの家電や家具類といった「家財」に及ぶことも。台風通過後、スムーズに普段の生活に戻るためにも、建物だけでなく家財まで補償範囲を広げられるよう検討してみてはいかがでしょうか?
また、火災保険で補償する台風被害時の「風災」は、あくまで風による損害が対象です。雨の吹き込みや雨漏りによる損害については、建物外部に損害がなければ補償対象外となることが多いので、ご注意ください。
室外機は見た目に損害はないが、強風で内部のファンが故障。エアコンが使用不能に
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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1959号・2023年7月21日紙面から掲載