2023年6月23日更新
空調・照明の使い方提案|省エネ診断②
文・写真/名嘉光男(NPO法人 沖縄県環境管理技術センター)
空調・照明の使い方提案
中小企業のエネルギー使用状況を調査し、省エネの工夫を提案する「省エネお助け隊」。県内でお助け隊として活動するNPO法人・沖縄県環境管理技術センターの名嘉光男さんが実際の調査結果をもとに省エネのヒントを紹介する。
築35年、1階が事務所で2階が多目的ホール、延べ床面積431㎡
今帰仁村商工会が入居している村商工会館は、1階に事務室、2階にコミュニティーセンターとして使用されている多目的ホールがあります。
同商工会は日頃から省エネの取り組みを行っていました。
数年前には事務所やホールの照明設備をLEDに変更しましたが、電気料金の高騰により光熱費は前年度比約30%上昇していました。今後も電気料金が大幅に引き上げられることから、さらなるムダを省き、効率的な事務所運営を図る目的で省エネ診断の依頼がありました。
同商工会が率先して診断を受けることで、会員事業者の経営改善のきっかけになることも期待しての受診でした。
◆今帰仁村商工会館の現状
照明はLED化済み
事務所はパッケージエアコンを使用
同商工会館は数年前に事務所の照明などをLED化した。空調は業務用のパッケージエアコンと住宅用のルームエアコンを併用。オンオフや温度管理はそれぞれの場所で行っている
省エネ診断は、まず現状把握から始まります。
同商工会が事務所内で使用しているエネルギーは電気のみでした。照明はすでにLED化しています。空調設備は業務用の大型エアコンと住宅用のルームエアコンを併用しており、それぞれでオンオフや温度調整をする個別空調方式でした。空調設備は順次、高効率型に更新予定です。
今回の省エネ診断では、空調では設定温度の適正化やフィルター清掃、照明では不要時の消灯とトイレの照明を人感センサーで制御することを提案しました。実行により、3万4837円(年間)のコスト削減となる見込みです。
また、今回の診断には含まれていませんが、コピー機の電気代と印刷料がとても高いことも判明しました。ペーパーレス化も経費の削減につながります。
今帰仁村商工会館は、建物の規模が小さく、商工会も普段から省エネ意識の高い事業者でした。このような事業者でも、省エネ診断により、さらにエネルギーコストを削減することができました。今回の診断は、経済産業省による補助事業「中小企業等に向けた省エネルギー診断拡充事業補助金」制度を活用しました=下記参照。
これを機に地域の中小企業などのエネルギーコスト削減に寄与することを期待します。
◆省エネ診断による提案事項
運用改善
・空調の設定温度の適正化
・空調フィルターなどの定期的な清掃(室外機熱交換器フィンの清掃含む)
・不要照明の消灯
投資改善
・トイレの照明を人感センサーで制御
上記の実行により削減電力量は683kWh/年、削減金額は34,837円/年の見込み
省エネ診断の補助事業(中小企業向け)
執筆者
なか・みつお/NPO法人沖縄県環境管理技術センター理事長、エネルギー管理士、一級管工事施工管理技士。電話=098・853・3739
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1955号・2023年6月23日紙面から掲載