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2019年11月22日更新

From沖縄建築賞[11]第5回建築賞

県内の優れた建造物・建築士を表彰する「沖縄建築賞」(主催・同実行委員会)。今回は、第5回沖縄建築賞一般建築部門で奨励賞を受賞した、水間啓氏((株)国建・設計者代表)が手掛けた「JTAドーム宮古島」について、発表時に掲載しきれなかった部分を紹介する。

第5回(2019年) 一般建築部門 奨励賞
JTAドーム宮古島 設計者代表・水間啓/国建


構造美とコスト減追求
「JTAドーム宮古島」はスポーツ観光交流拠点として、雨天などでもイベントが開催できる全天候対応の多目的施設。立地は宮古島空港の入り口から徒歩で約7分、周辺には農地が広がる。雨風をしのぐ大屋根は緩やかなアーチを描き、周辺景観に溶け込む。三角形を立体的に組み合わせ、中央部に2重膜を張った構造は、審査員から「躍動的でシャープな姿が美しい」と評価された。

大屋根を支える斜めの柱は、沖縄の伝統的な竹垣「チニブ」を模していて沖縄らしさを表現するだけでなく、柱の基礎を集約できてコストダウンにつながっている。設計者代表の水間啓氏は「斜めの柱は広い開口がとれ、中央の膜屋根と天井膜とが相まって、屋内がやわらかい自然光に満たされる」と説明する。

同ドームのアリーナは人工芝で覆われているが、仮設のフロアパネルを敷き詰めれば、バスケットボールや相撲などの多様なスポーツができる。地域の保育園の運動会から宮古島トライアスロンの開会式まで、さまざまな規模のイベントを許容する同ドームは、ランニングコストの削減にも注力。空調熱源の半分を自家発電で担い、イベント時は仮設発電機を持ち込むことで、基本電気料を削減している。



(上2枚)立体トラス構造はイベント時の照明や音響機材などが天井に吊り下げできるようにした。天井裏を見ると、立体トラスの鉄骨が屋根膜と天井膜に挟まれているのが分かる。2重膜にしたことで、日射の暑さを抑え光が広がる


仮設の樹脂製フロアパネルはバスケット公式戦の水準を満たす性能を持つ


▼位置図

立地の特性から空港利用者の一時避難場所としての機能も持たせた。空港入り口の交差点から新設されたアプローチ道路には、太陽光パネルと風車を利用したハイブリッド外灯が設置されている
 

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1768号・2019年11月22日紙面から掲載

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