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2023年5月19日更新

子ども部屋を整える 賃貸での実例|家と心理⑭

空間デザイン心理士®で、一級建築士。2児の母でもある、まえうみ・さきこさんが空間を心理学的に解析。今回は子どものための空間づくりについて。賃貸アパートに住むNさんの事例をもとに紹介します。

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子ども部屋を整える 賃貸での実例


 
 

Nさん宅のお悩み

【家族構成】4人(40代夫婦、小学6年生の長女、小学1年生の長男
【間取り】賃貸アパート3LDK 
【悩み】
子ども部屋は1部屋しか確保できない。
・子ども部屋内に姉と弟のモノが混在していて、それがもとで よくケンカをする。
リビングにも子どものモノが散乱している。



姉弟一室でケンカも

新年度が始まって1カ月たち、子どもの勉強環境を整えたいというご相談が多くなってきました。今回は相談いただいた事例をもとに、子どものための空間づくりのお話をします。

3LDKの賃貸アパートに住むNさん。小学6年生の長女と、小学1年生の長男がいて「長男の持ち物や勉強道具が増えるのを機に子ども部屋を整えたい。長女は1人の時間や空間を欲しがるようになったので、1人で落ち着ける空間も確保してあげたい」というご相談でした。

現状は1部屋を姉弟で使っており、それぞれのモノが一緒に収納され混在している状態でした。また、弟がお姉ちゃんにしょっちゅうちょっかいを出してケンカになっていたそうです。

個のプライバシーが保たれないと、成長するにつれてストレスを持つようになります。プライバシーとは、他人から干渉・侵害を受けない権利のこと。「自分で環境をコントロールできる空間」というのが重要です。

 

空間デザイン心理士® まえうみ的改善策

・高さ120㎝のシェルフで仕切る
高さ120㎝の家具を仕切りに使うことで、椅子に座るとお互いが見えなくなりプライベート空間が増す。勉強する際も、視界を邪魔するものが少なくなり集中力が増す。

・境界を作って互いのプライバシーを確保(特に長女に対して)
境界線を作ってあげることで、弟は無意識に姉の領域(スペース)に入らなくなってくる。ゆくゆくは、真ん中にベッドを置いて仕切る予定。



家具で仕切り個空間

そこで、高さ120㌢のシェルフで空間を仕切って互いのプライバシーを確保しました。心理的な境界をつくることで、弟は姉の領域に入らなくなったそうです。そのほかの工夫については左上の「現在の子ども室」を参考にしてください。

Nさんは「子どもたちは自分のプライベート空間ができて喜んでいる。明確に各自のモノの収納場所を決めたことで自分自身で管理できるようになり、リビングや家族共有の空間に子どものモノが散乱しなくなった。家具の移動だけで、悩みが一気に解決でき、家族みんなが快適に過ごせる場所ができた」とおっしゃっていました。


モノは各自で管理

何件か子ども部屋に関する依頼を受けて、気づいたポイントがあります。

①個のプライバシーを確保
同性のきょうだいでも自分だけがコントロールできる環境や空間、領域が必要です。

②勉強机周りは視界を遮る
集中して勉強できるよう、机に座っている時は周りの視界を遮る工夫をしましょう。

③各自の持ち物や収納場所は明確に分ける
各自のモノの置き場を決めることで片付けしやすくなるだけでなく自分の空間に愛着が湧きます。自分でモノの管理をすることにより自立心を促す効果もあります。

お子さんが快適に過ごせる環境づくり、ぜひ参考になさってください。



 以前の子ども室 
部屋の真ん中にお互いの持ち物が混在し、片づけのときにケンカが起こる。弟はいたずら好きで、姉のデスクによくちょっかいを出すので困っている


以前は弟のスペースから姉のデスクが丸見えで、心理的な境界が無い状態だった


 現在の子ども室 
中央に間仕切り家具を置き、机の向きも互いに目線が合わないようにした。子ども室自体も、リビングに近い位置に移動した
 
シェルフ(無印良品/スタッキングシェルフ/幅122センチ×高さ121センチ)で区切った。圧迫感なく、ゆるく境界を作ってくれるのでおすすめ


写真左手が姉のスペース、右手奥が弟のスペース
 
小1の弟も自分の空間ができたことで落ち着いて勉強するようになったり、自分のモノは自分の場所以外に置かなくなったそう



子ども室におすすめの家具

2段ベッドは、狭い空間におすすめだが高さがあると、圧迫感を与えてしまったり、布団の上げ下ろしが大変。また天井近くは熱気もこもりがち。同性のきょうだいであれば、2段ベッドでも低めが使いやすい
 
模様替えに対応できるよう、デスクはシンプルに。こだわるべきは椅子! 椅子は姿勢や肩こり、腰痛などに大きく関係する。しっかり選ぼう(デスク:IKEA チェア:ベルメゾン)



 
まえうみさきこ
[文・イラスト]
まえうみ・さきこ/1976年、嘉手納町出身。建築会社に20年勤務したのち、2021年6月に「ielie(イエリエ)」を設立。建築の知識やママの経験を生かして、住まいの悩みに応じたコンサルティングやインテリアコーディネートを行う。一級建築士、空間デザイン心理士®、夫、2人の子ども、猫2匹で暮らす。http://ielie.net




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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1950号・2023年5月19日紙面から掲載

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