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2023年3月10日更新

写真や絵 自由に印刷できる三線|知財 この人あの会社④

琉球古来の楽器である三線にも、新しい技術で新たな息吹を吹き込もうとするアイデアは数々ある。今回紹介するのは、三線の胴にPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂を使うことで、好みのデザインをプリントできるようにした三線。音色良し、飾って良し、強度良し、お祝いや記念品に適したオリジナル三線を製作している。

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 おもいで三線/三線うるま屋 新里紹栄さん 

写真や絵 自由に印刷できる三線

琉球古来の楽器である三線にも、新しい技術で新たな息吹を吹き込もうとするアイデアは数々ある。今回紹介するのは、三線の胴にPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂を使うことで、好みのデザインをプリントできるようにした三線。音色良し、飾って良し、強度良し、お祝いや記念品に適したオリジナル三線を製作している。


首里城のデザインの三線とともに、三線うるま屋代表の新里紹栄さん。「首里城復興支援三線」は新里さんが首里城復興の願いを込め販売するもので、販売価格の3分の1を首里城へ寄付する。


雨天も演奏できる三線を

「三線うるま屋」代表の新里紹栄さん(71)は、建築会社の経営者を退いた後、それまで趣味で作ってきた三線を本格的な事業とすべく三線店を始めることにした。

父の手ほどきで幼いころに三線を手にして60年余、現在は老人ホームやデイサービスセンターで演奏することも多い。またエイサーのときなど屋外での演奏もあり、雨や湿気で破れたり音が変わったりする蛇皮の三線ではなく、雨天でも演奏でき耐久性の高い三線が欲しいと思っていた。


PET樹脂で音色や響きも

1990年代から沖縄の三線には、胴に本革ではなく人工皮革が使われるようになったが、より耐久性や音質を高められる素材はないか、と探し始めた新里さんは、ドラムのヘッドやパラシュート生地、テント生地などで試作を繰り返し、ポリエチレンテレフタレートというPETボトルや写真フィルムの素材としても活用されている材料にたどり着いた。

この素材は、湿度や雨の影響を受けず、また薄く剛性も高いため、三線の胴に求められる張力も十分だ。これまでの本革や合成皮革では破れてしまうほどの1.5トンもの強い張力をかけて胴に張り、クリアな音色と十分な響きを実現することに成功した。またポリエチレンテレフタレートは表面に印刷をすることが容易で、自由なデザインで発色の良い胴を製作できる。知財総合支援窓口へも相談いただき、ポリエチレンテレフタレート製シート部材を胴に張る「三線」について実用新案権を登録した。

新里さんは、「沖縄の伝統的な蛇皮を使った三線の音は味わい深いが、今後の三線文化の発展のために、より安価で丈夫な三線を開発した。世界にこの三線を広げていきたい」と語る。



利用者の新田朋希さんの注文を受け、お子さんたちのイラストをプリントした三線


プレゼントや記念品に

「おもいで三線」は2019年に発売し、うるま市の店舗や自社のホームページで販売している。ハイビスカスやシーサー、首里城のデザインなど沖縄を感じさせるうるま屋オリジナルの三線の他、来店者が用意した写真やイラストを胴に印刷し、生年、結婚、出産、卒業などのお祝いの贈り物として、また飲食店や会社の開業、新築の祝いの記念品として、オーダーメードの注文を受けている。

義理の母親に孫たちのイラストをあしらった三線をプレゼントしようと、うるま屋に注文した新田朋希さんは「お気に入りのイラストが三線という形で残ることがとてもうれしいです」と語った。


問い合わせは、三線うるま屋(うるま市赤道179-6) 電話090・7469・5186まで。




[執筆者]
宮川準(みやかわじゅん)
1967年、東京都出身。大学卒業後、都内で就職。2012年、沖縄に移住し沖縄県発明協会に入職、以来INPIT沖縄県知財総合支援窓口を担当。

 
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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1940号・2023年3月10日紙面から掲載

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