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2022年10月21日更新
[沖縄]片づいた状態をキープするコツ|家と心理⑦
県内唯一の空間デザイン心理士®で、一級建築士、2児の母でもある、まえうみさきこさんが空間を心理学的に解析。前回に引き続き「片づけ力」について説明します。
片づいた状態をキープするコツ
モノの定位置を決めよう
前回は、自分にとって必要なモノをじっくり吟味し、適正なモノの量を知ることが大切だと説明しました。今回は「片づいた状態をキープするコツ」です。
その答えは、とってもシンプル。「モノの定位置を決める」ことです。定位置が決まれば、9割はキープできるといっても過言ではありません!
一つでも住所不定のモノがあると、不思議とその周りにはモノが集まってきて、あっという間に散らかってしまいます。
モノの定位置を決めるときのポイントを紹介します。
①最初に「本当に得たい、理想の暮らし」を具体的に描く
以前にあったご依頼でも、まず最初に「本当に得たい理想の暮らし」をヒアリングし、イラストに描いて見える化しました。これが片づけのモチベーションを保つことにつながります。
理想の暮らしをイメージするコツは、自分が満足する過ごし方や行動をイメージし、あなたがその空間で何ができれば幸せかを考えます。
例えば「ゆったりお茶を飲みながら好きな映画を見たい」「子どもと一緒にお菓子づくりをしたい」など、あなたの価値観で具体的にイメージします。すでに体感している幸せな時間を思い出してみることもおススメです。
②使う場所に使うモノを置く
キッチン用品はキッチンに、トイレットペーパーはトイレに、下着やパジャマは洗面所に、といったように、使う場所に使うモノを配置します。
そのとき「普通、これはこんなところに置かない」という固定観念は捨てましょう。
あくまで住まいは、あなたや家族が使う空間です。使う人の使い勝手を優先してください。それが、ムリのない心地よい暮らしにつながります。
廊下収納スペースA
ビフォー
▼
アフター
近くにある玄関や洗面室、トイレ、キッチン用品のストックを収納した。また、動線を考えて、掃除機やモップもここに収納
洗面室
ビフォー
▼
アフター
小さな壁付けの棚を取り外し、収納ラックを置いた。縦に収納量を増やして洗面台にあふれていたモノたちを収納。洗面室のストック用品などは廊下の収納スペースに移動。この2カ所の収納に、モノの定位置を決めたことで洗面室がだいぶスッキリした
③自分にとって心地よい収納方法を選ぶ
モノの収納方法は、大きく分けて「引き出しにしまう」「棚に置く」「つるす」「箱にしまう」の四つしかありません。収納方法を選ぶときは自分にとって、どれが便利で心地よいかを基準に決めます。例えば衣類の場合、
①タンスや衣装ケースにしまう
②たたんで棚に並べる
③ハンガーにつるす
④箱にざっくり入れる
この中から自分に合う方法を選べば、片づけや出し入れにかかる負担も軽くなります。
◆ ◆ ◆
モノの定位置を決めた後は、5分程度の「プチ片づけタイム」を毎日1~2回設けましょう。朝起きたときや、作業がひと段落したとき、寝る前などに「プチ片づけ」をします。1回の手間が小さいので、負担になりません。
そして、最初にイメージした理想の暮らしから離れていないか、常に意識しましょう。理想の空間を見える化しておくとギャップが分かりやすいですよ。
収納計画が整っていないと、せっかくの新居でも家事や片づけに必要以上の労力がかかり、心も体も疲れたままです。だからこそ、マイホーム計画の前に「片づけ力」を身につけることをオススメします!
[文・イラスト]
まえうみ・さきこ/1976年、嘉手納町出身。建築会社に20年勤務したのち、2021年6月に「ielie(イエリエ)」を設立。建築の知識やママの経験を生かして、住まいの悩みに応じたコンサルティングやインテリアコーディネートを行う。一級建築士、空間デザイン心理士®、夫、2人の子ども、猫2匹で暮らす。http://ielie.net
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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1920号・2022年10月21日紙面から掲載