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2022年11月18日更新

[沖縄]快適な家具配置はモノよりコト主体に|家と心理⑧

県内唯一の空間デザイン心理士®で、一級建築士、2児の母でもある、まえうみさきこさんが空間を心理学的に解析。今回は、暮らしやすさを考えた家具配置について説明します。

快適な家具配置はモノよりコト主体に


模様替え 失敗の原因は

今年も残すところ1カ月半、大掃除がてら部屋の模様替えを考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

おしゃれな家具を買って、雑誌を参考にコーディネートしてステキなお部屋が完成したはずなのに、なんか暮らしにくい!という経験はありませんか? 部屋を何往復もするため身支度がしづらくなったり、掃除がおっくうになったり、片づけてもすぐ散らかってしまったり。

それは、その部屋でどんな行動をするかを考えずに家具を配置していることが一因かもしれません。

快適な空間をつくるためには、モノ主体ではなく自分や家族がその部屋で「やるコト」を考えて家具を配置することが大事です!

「やるコト」を把握するには、その部屋で行っていることを書き出して見える化しましょう。起床から順序よく自分の行動を書き出していくのもおススメです。書き出したら、その行動に必要なモノや家具を配置していきます。


まず「やるコト」を見える化

家具配置をする前に、自分や家族の行動を書き出して見える化することをおすすめします。その際は「朝、出勤までにやること」「家事でやること」「夜・休日などの余暇時間にやること」の三つに分類すると、その後の家具配置が考えやすくなります。









生活スタイルに合わせて

例として、4人家族(夫婦、小学生の子ども2人)のリビング・ダイニングの模様替えを解説します。

このお宅は、子どもたちがリビングで宿題などをしていました。しかし、本来のリビングは、家族が集まってくつろいだり食事をする場所なので、学習机や勉強道具を置くスペースはありません。そのためランドセルや体操着などで散らかってしまい、居心地が悪く、イライラしてくつろげないとお悩みでした。

そこで、「ゾーン(区分分け)」を考えました。モノの置き場所(ポジション)を決めるのではなく、行動にそって空間を大きくゾーン分けをするのです。

このご家庭は、家族が集うリビング・ダイニングゾーン(①)に加え、学習ゾーンとランドセルや衣類を置くための収納ゾーン(②)が必要となります。家族の優先順位に沿って、②のゾーンを中心に据えました。①のゾーンは減りましたが、収納が1カ所にまとまって作業がラクになり、散らかりにくくなりました。

どのゾーンが必要で、なにを優先するかは、各家庭のライフスタイルによって変わります。一般常識では考えられない配置になる場合もありますが、暮らしやすさを重視します。

あなたの暮らしで、優先順位の高いものは何でしょう。家事の時短? 育児や介護のしやすさ? ペットとの共同生活? ワーキングスペースの確保?

そういった、暮らしの中で「外せないコトやモノ」を、思い切って間取りの中心に据えることも、居心地よい快適な部屋づくりの視点として大事なのです。



リビングで勉強をする子どもたちのランドセルや学習用品などが散らかり、なかなか片づかない!


 
リビング学習空間、収納空間を新たに設けた。収納が1カ所にまとまって動線が短くなり、収納作業がラクになった



[文・イラスト]
まえうみ・さきこ/1976年、嘉手納町出身。建築会社に20年勤務したのち、2021年6月に「ielie(イエリエ)」を設立。建築の知識やママの経験を生かして、住まいの悩みに応じたコンサルティングやインテリアコーディネートを行う。一級建築士、空間デザイン心理士®、夫、2人の子ども、猫2匹で暮らす。http://ielie.net




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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1924号・2022年11月18日紙面から掲載

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